中国への制裁関税第3弾で日米FFR協議が困ったことに

カテゴリ:話題

  • 予想されたことだがショッキングな制裁関税第3弾
  • 『恐怖』を与えて譲歩を迫る典型的トランプ・ディール 
  • トランプの足元が崩れて“落としどころ”がみえない

ショッキングな制裁関税

トランプ大統領が中国に対する制裁関税第3弾を9月24日に発動すると発表した。対象品目はおよそ5700品目。これで中国からの年間輸入総額(およそ5000億ドル≒55兆5000億円)の半分に追加関税をかけるという前代未聞の事態に至ることに。

追加の税率は当初は10%とし、小売業の書き入れ時の感謝祭~クリスマスのシーズンが終わってから25%に引き上げる。対象品目も当初の6000品目からアップルウォッチなど300品目を除外し、アメリカ国内のビジネスや消費者感情に配慮を示した。逆に自国以外への様々な影響への配慮は感じられない。

内外の受け止めは、やっぱりやるのか‥そこまでやるか‥という受忍と驚きと諦めがないまぜになったものだと思う。

『恐怖』を与えて譲歩を迫る

トランプ大統領の狙いとしては、
・中間選挙を見据えて内幕本など不都合な国内状況から有権者の目を外にそらす
・25日からの国連ウィークで強くてぶれないリーダーぶりをアピール
・中国に対する脅しを強め11月のトランプ・習近平会談で取引する

などなどが考えられる。が、一番の狙いは、「簡単に勝てる」と言い放った中国との『貿易戦争』で、なかなか譲歩してこない中国を何が何でも屈服させる。追加関税のエスカレーションに躊躇なんてないことを見せてやる!ということ。

『恐怖』を相手に与えて取引に持ち込む、それがトランプ流のディール手法だからだ。

トランプの足元が崩れて“落としどころ”がみえない

こうした中、日本政府にとって気懸りなのは、1週間足らず先に迫ってきた日米FFR協議にどう影響するかだろう。
アメリカ政府としては、対中国ではボールを中国側に打ち込んだので、一段落。
カナダとの貿易交渉は月末までまだ間があるので、目の前の相手は日本ということになる。
トランプの先兵ライトハイザー通商代表は、トランプ大統領の事情・狙いなどもろもろ抱えて協議に臨んでくる。貿易交渉で大統領は、中国に対してもカナダにも、攻めてはいるがまだ結果を出せていないことが気懸りのポイントだ。

アピールできる結果を求めるアメリカ、かわしたい日本‥という基本構図は同じだが、対中制裁第3弾の発表を受けての日本側の悩みは、これまで国内的に調整してきた『落としどころ』でトランプ大統領がOKしてくれるのかどうか見えずらくなったことだろう。もう一段、二段、譲歩が必要なのかもしれない。当初は予定されていたニュージャージー州での首脳ゴルフが取りやめになった理由も改めて考えてみると気味が悪い。

ほんの1ヵ月半前、第一回FFR協議をして以降、トランプ大統領の足元はボロボロにもろくなっている。
ロシア疑惑がらみで元側近が有罪判決を受けたり司法取引をしたりして、ムラー特別検察官の捜査が着実に迫ってきていることは米国民の目から見て明らかだ。
ボブ・ウッドワードの『恐怖』や政権幹部によるニューヨークタイムズ紙への投稿など相次ぐ内幕の暴露もある。中間選挙まであと50日を切ったが、大統領の支持率は下降気味。野党民主党の勢いは衰えていない。

ニューヨークでのシンゾー・ドナルド会談は失敗してはならない。そのためにはFFR協議での実質合意が不可欠だ。しかし、下手な譲歩は国内的に許されない。だが、苦境に陥っているトランプ大統領の腹の中が読み切れない。
中国への制裁関税第3弾がこのタイミングで出たことで、政府関係者の苦悩は深まっているに違いない。

(執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋)