ATMにコーラ? 中国でも急増! 振り込め詐欺の信じられない手口【中国トンデモ事件簿】

カテゴリ:話題

  • 中国でも急増する振り込め詐欺事件。2017年には前年比70%増
  • 「ATMの機械にコーラを入れたら領収書が出ます」という手口に女性は?
  • 「あなたに逮捕状が出ています!」と脅し「変装」。増加する“詐欺2.0”とは?

日本では増加する一方の振り込め詐欺だが、中国でも被害は急増している。2017年には、電話やインターネットでの詐欺の件数は前年比70%増。

老若男女問わず騙される手口は、日本では見られない巧妙なものだ。人間の心理を巧みに利用する中国の振り込め詐欺は、トンデモなかった。

「ATMにコーラを入れろ」

ウェイボ上に出回っている“ATMにコーラを注ぎ込んでいる”画像

中国・重慶市の女性(33)にかかってきた、一本の電話。
「身分証の情報が流出しているかもしれない」

女性はすぐに、連絡先として伝えられた“北京公安局”の番号に電話した。


詐欺犯:
銀行口座から金が盗まれないようにするため、公安局の口座に金を振り込めば安全です。


不安になった女性は、5300元(約9万円)を振り込んだ。しかし、不審に思い翌日、電話で返却を求めた。


女性:
金を返して欲しい。

詐欺犯:
銀行のATMの機械にコーラを入れたら領収証が出てきます。それを地元の警察に持って行けば金は返してもらえます。


とんでもない指示だが、焦っていた女性は自宅からコーラのボトルを持参し、言われた通りにATMに流し込んだ。しかし、領収証が出てくるはずもなく、機械は故障してしまった。
女性は再度、“北京公安局”に電話した。


詐欺犯:
原因は機械の故障か、コーラの量が足りなかったからでしょう


女性は、今度は大ボトルのコーラを買って別の銀行のATMに行き、再びドボドボと流し込んだ。
当然、金は戻るはずもなく、女性はATMを壊したとして逮捕されてしまった。
壊れたATMの被害はおよそ6万元(約100万円)に上るという。


女性:
何とか金を返してもらおうと焦って、よく考えられなかった。バカだった。


自ら思わぬ事態を招いてしまった女性は、“振り込め詐欺”に騙され、正常な判断が出来なくなっていた。
誰もが突然ターゲットになり得る“振り込め詐欺”は、中国でも後を絶たず、その手口は恐るべき「進化」を遂げている。

「あなたに逮捕状が出ています」 “詐欺2.0”の実態とは

驚きの手口:1「マネーロンダリング」

被害について語る女性  「看看新聞」HPより

遼寧省大連の女性(32)はある日、北京市通信管理局を名乗る女から電話を受けた。


女:
あなた名義の電話番号に関して訴えが多数来ています。急いで通報した方が良いでしょう。電話を北京の警察署に転送します。


転送先では、韓と名乗る男が出た。


男:
あなたの身分証が盗まれている可能性があります。身分証の番号を教えてください。何か他にも問題があるか調べます。


韓と名乗る男はしばらく時間をおいてから、再度電話をしてきた。


男:
電話番号がマネーロンダリングに使われています。電話も2ケ月余りの間盗聴されているので、今後はSNSで連絡してください。


すると、男は女性のSNSに“検察院”のホームページアドレスを送付。それを開いた女性が目にしたのは…なんと自分の“逮捕状”だった!

「SNSで連絡してください」と指示され・・・  「看看新聞」HPより

女性:
逮捕状には、私がマネーロンダリングに関わった疑いがある、と書かれていました。身分証の番号や写真もすべて同じだったので、とても怖くなりました。どうしたらよいか分からなかった。

男:
銀行のキャッシュカードを2枚作り、パスワードと一緒にこちらに送ってください。“保証金”を納めれば、あなたの逮捕を遅らせることが出来ます。

要求通り作ってしまった銀行のキャッシュカード2枚 「看看新聞」HPより

男は保証金として口座に20万元(約340万円)入金するよう求めた。その後も数日にわたり様々な理由で入金を迫られ、女性は自身の潔白を証明したいがため、家族や友達、仕事の顧客から借金して入金を続けた。

しかし「何かおかしい」と感じた女性は、警察署に連絡。すると、韓という人物はいないと伝えられ、ようやく騙されたことに気づいた。
一方、男は一言だけを残して既に女性のアカウントをブロックしていた。


男:
謝謝(ありがとう)。


女性が騙し取られた金は155万元(約2635万円)にのぼった。
自分と家族の貯金でやりくりしたのは50万元(約850万円)、残りは全て借金だった….。

男からの最後の一言「謝謝」   「看看新聞」HPより

驚きの手口:2 「変装」

今年8月、湖北省武漢市。一人暮らしの高齢女性に北京人民検察院を名乗る人物から電話があった。


検察院課長を名乗る人物:
調査の中で、あなたの銀行口座が経済事件に関わっていることが判明しました。あなたの全ての銀行カードとパスワードなどを調査します。


女性は信じなかったが、数時間後、自宅に検察官の制服を着た女が現れ、北京人民検察院の身分証を見せたうえで1枚の紙を見せた。


女:
経済事件に関して、あなたに逮捕状が出ています。


見せられたのは自分の名前や写真、身分証番号が書かれた“逮捕状”。女性は自分が無実だと証明するため、あわてて女にキャッシュカードとパスワードを渡してしまう。
カードを受け取った女は、すぐに銀行で全額を引き出した。
その後、警察はこの女を逮捕。しかし、この女も騙された被害者だったのだ。

さかのぼること数日、詐欺犯は広東省広州にいたこの女に電話していた。


詐欺犯:

あなたは経済事件に関わっています。

女:

そんなはずはない、何とかならないのか?

詐欺犯:
言う通りにすれば罪が軽くなります。


 女は指示されるまま、送られてきた偽の検察官の制服を着て先の高齢女性の家に行き、キャッシュカードを受け取って金を引き出した。その金を詐欺犯が指定した口座に振り込んだのだ。同じ手口で3人から金を騙し取ったという。

「逮捕状が出ている」と騙し、解決のためだとして警察官などに変装させて詐欺に協力させる手口は最近増えている。現地メディアはこれを“詐欺2.0”などと呼び、「手口がレベルアップしている」と注意を呼び掛けている。

巧妙化する詐欺の手口

中国メディアなどによると、中国の振り込め詐欺の被害件数は、2016年から2017年に70%も増加した。警察の摘発が進んだことなどから今年に入り件数や被害額は減少しているものの、今年1月~3月の被害額は24億元(約408億円)に上っている。

政府や警察などの公的機関や銀行を名乗る手口で、「犯罪に関与している」などと脅す。手口は日々進化していて、詐欺犯は、騙す相手の個人情報(名前、連絡先、写真、身分証番号、クレジットやキャッシュカード情報、最近の出来事や買い物履歴など)をあらかじめ入手。本当の情報を突き付けられた被害者は、信じて騙される…。

中国消費者協会の調査によると、スマートフォンのアプリで個人情報が漏洩したと答えた人は85%に上る。漏洩ルートは「管理者の同意なしの情報収集」「故意の情報漏洩」が、いずれも60%を超える。アプリの普及などで個人情報を入力する機会が増えているが、情報を守ることはもはや不可能とも言える時代。便利になる一方で、それを悪用する振り込め詐欺の手口は日々進化している。

(執筆:FNN 上海支局 城戸隆宏)

中国トンデモ事件簿の他の記事