日本バスケの希望と課題。Bリーグ・アーリーカップから見えたもの

アーリーカップ2018関東総括

カテゴリ:芸能スポーツ

  • アーリーカップはアルバルク東京が2連覇した。
  • チームも選手も持ち味を出し、米米CLUBの登場など興行面も盛り上がった。
  • 開催時期など課題も見えた。

アーリーカップ関東は、アルバルク東京が2連覇

全国6都市で開かれたBリーグの大イベント「アーリーカップ2018」。

栃木ブレックスの本拠地、ブレックスアリーナ宇都宮で開催されたアーリーカップ関東は、アルバルク東京の2連覇で幕を閉じた。

アルバルク東京が2連覇

ワールドカップ予選を戦う日本代表メンバー3人を欠いての戦いを勝ち抜いただけでなく、決勝で開催地のチーム相手に競り勝っての優勝は、選手層の厚いチームであることを証明。ルカ・パヴィチェヴィッチコーチの「アーリーカップのファイナルでお互いに勝ちたいという気持ちが全面に出た試合だった」という言葉は、会場や映像で試合を見た方の大半が同意できるだろう。

今季もアルバルク東京の中心選手として活躍が期待できそうなカーク

栃木も、東京との決勝と千葉ジェッツとの準決勝で、レギュラーシーズンに負けず劣らずの試合を展開してくれた。

決勝のラストチャンスでシュートを決められずに惜敗したことはファンにとって残念だったが、攻防の切り替えの速さ、リバウンドやルーズボール争いの強さといった持ち味を発揮。田臥勇太が「手応えしかなく、いい意味で課題が見つかった2試合」と語ったように、開幕に向けた準備が良い方向で進んでいることを示したのは間違いない。

田臥はアーリーカップでの2試合で今季に向けた手応えを実感 ©TOCHIGI BREX

3位の千葉ジェッツは、オフェンスの爆発力がリーグトップレベルのチームであることを示した。ジョシュ・ダンカンとトレイ・ジョーンズの新外国人選手は、対戦相手からすると非常に厄介な存在になるかもしれない。天皇杯2連覇を経験したメンバーに、新戦力をいかにフィットさせ、チームの質を高めていくかが、成功をつかむためのカギになるだろう。

経験を積む絶好の場

アーリーカップのプラス要素は、出場機会の少なかった選手が経験を積む絶好の場であること。その恩恵を受けた選手として、サンロッカーズ渋谷の杉浦佑成と川崎ブレイブサンダースの林翔太郎という2人の名前を挙げたい。

杉浦は千葉との3位決定戦でチーム最多となる32分26秒プレーした。17本中4本のシュート成功と確率は低かったが、アグレッシブに攻める姿勢を見せていた。ディフェンスでは、身体能力が非常に高いジョーンズ、ボールのないところでの動きが激しい田口成浩と言った様々なタイプの選手を相手にマッチアップ。この経験を糧に成長できれば、レギュラーシーズンでの活躍も十分期待できる。

林は昨季、東海大九州から特別指定選手で川崎に入団したスモールフォワードで、杉浦同様に今季が実質のプロ1年目。横浜ビー・コルセアーズ戦ではスティールから豪快なダンクやドライブからのフィニッシュで得点するなど、非凡な身体能力を持っていることをBリーグファンにアピールした。日本代表メンバーが戻ってくると、出場機会は限られたものになるかもしれない。しかし、今後が楽しみな選手であることは、アーリーカップで十分に示したと言える。

各チームのファンによる熱い声援もアーリーカップの特徴

6位に終わった横浜は、トーマス・ウィスマンコーチの下でチーム再建をスタートしたばかり。千葉戦の大敗は、ディフェンスの破綻と17本中13本という高確率で3Pシュートを決められた両方が同時に起こったことが大きい。外国籍選手もすべて入れ替えたことからすれば、アーリーカップでの戦いで力の差が出てしまったのは仕方ないところもある。「チャレンジすることが大好き」と語るウィスマンコーチの手腕によって、横浜がどこまで成長するかは、レギュラーシーズンで注目すべき要素の一つと言っていい。

開催時期が早すぎる?

アーリーカップ2018関東は、米米CLUBのオープニングパフォーマンス、6チームのチアリーダーによるハーフタイムショーなど、試合以外での盛り上げに大きく貢献。テーマソングの“Shake Hip!”は、みんなで楽しもうという雰囲気を存分に醸し出していた。

米米CLUBのスペシャル・パフォーマンスにブレックスアリーナ宇都宮は大いに盛り上がった ©TOCHIGI BREX
各チームから集まった70人を超えるチアリーダーのパフォーマンスも大会の盛り上げに大きく貢献

地震の影響で、レバンガ北海道はアーリーカップ2018北信越に参加できない事態に見舞われてしまう。それでも、チームの代表を兼任するガードの折茂武彦による感謝のメッセージに加え、Bリーグが地域貢献に力を入れている組織であることは、試合終了直後に選手たちが救援募金活動参加した点でも明らか。

選手のコンディションを優先すると、レギュラーシーズンの試合後に実施するのは難しかったかもしれない。しかし、いろいろなことを試せるアーリーカップだからこそ、選手とファンが一体となった活動がスムーズに実現されたという気がする。

土曜日と日曜日は4000人以上の観客がブレックスアリーナ宇都宮に駆けつけた

敢えて課題をあげるとすれば、開催の時期ではないだろうか。会場の確保が大変という事情があるといえ、ワールドカップ2次予選の1週前だったため、日本代表選手が不参加となり、東京と川崎は8人で戦うことを強いられた。一部のコーチや選手からは、質の高い試合をファンに見せるために、開催時期をもう少し遅らせた方がいいという意見もある。

8人という限られた選手数ながらタフに戦い抜いて2連覇を達成したアルバルク東京

また、来年以降観客数とチケットの売り上げ増を目指すのであれば、敬老の日か秋分の日を含めた3連休を使ったほうが得策という印象を持った。

楽しいイベントも開催。3連休の方が得策?

Bリーグは、アーリーカップを日本バスケットボール界にとって「第3のタイトル」にしたいという意向を持つ。東京と栃木の間で行われた決勝は、それに値する盛り上がりを見せた。と同時に、これは繰り返しになるが、選手、コーチ、チームがいろいろなことを試せる点でも貴重。Bリーグの成長とビジネス規模の拡大という観点でも、アーリーカップは継続に値するイベントと言えるだろう。

「Bリーグの成長」と「ビジネス規模の拡大」

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https://www.fnn.jp/features/YMO0092

「B.LEAGUEアーリーカップ2018関東」の模様は、フジテレビにて9月23日(日) 深夜2時10分~3時10分放送される。

取材・文/青木崇 Interview and text by Takashi Aoki

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