「“デマ”拡散に憤りの経験」熊本の大学生が北海道地震のサイバーパトロールで活躍

カテゴリ:国内

  • 災害時のデマ情報を拡散させない! 熊本の学生たちがサイバーパトロール
  • 「4時間後に電波塔が停電」など北海道地震関連の約40件のデマを発見
  • “発見の方法” と “今回の地震での特徴”を学生代表に聞いた

“デマ”を見逃さない

9月6日、最大震度7の地震が発生した北海道。
大きな被害を受けた厚真町では、11日からボランティアの受け付けが始まり、避難所の清掃や被災者のマッサージなどの活動を行った。

ボランティアは、被災地での活動だけに限らない。
10日、北海道から遠く離れた熊本県では、県内の大学生で結成されたサイバー防犯ボランティア団体「KC3(熊本サイバースリー)」が、ネット上で北海道地震に関するデマ情報が書き込まれていないか調べて拡散を防ぐ「サイバーパトロール」を実施した。


災害時には情報が錯綜しがちだが、中には虚偽や確証のない噂話がまぎれ込んでいて、度々物議をかもしている。
2016年4月の熊本地震直後、デマ情報がSNSで拡散されて大きな混乱が生じたことは記憶に新しい。
「動物園からライオンが放たれた」という嘘の文章と画像がツイッターに投稿されると、熊本市動植物園に100件以上の問い合わせが殺到し、職員が電話の対応に追われる事態となった。
「悪ふざけでやった」という男は、その後、偽計業務妨害の疑いで逮捕された。

(イメージ)

こうした有害な書き込みを熊本県警サイバー犯罪対策課と連携しながら監視しているKC3には、現在、県内4つの大学(熊本学園大学・熊本県立大学・東海大学熊本キャンパス・崇城大学)の学生71名が所属。
10日のパトロールには、熊本学園大学の学生約15人とサイバー犯罪対策課の2人が参加し、約40件のデマ情報を発見した。

KC3は、安全なインターネット環境づくりと、犯罪のない社会づくりに貢献することを目的として2011年11月に発足し、サイバーパトロールのほかに、小中学生等を対象とした防犯講話などの活動を行っている。

しかし、数あるネット上の書き込みの中から、どのようにして“デマ”を見つけ出しているのだろうか?
活動内容や参加理由について、熊本学園大学商学部4年生でKC3 代表の髙村俊喜さんに話を伺った。

学生から提案「不安を煽る書き込み多かった」

ーーなぜ北海道地震のデマ情報を監視することになった?

普段は週1回、未成年が被害に巻き込まれないように、援助交際や売春、薬物などの書き込みを探す活動をしているのですが、北海道での地震を受けて、災害時にはデマ情報が出てくるので、いつもより多くのメンバーを集めてのサイバーパトロールを私たち学生が提案しました。
普段の活動は各大学で学生たちだけで行っていて、結果をまとめて県警に報告しています。
しかし、今回のように災害のデマ情報をパトロールする時は、県警のサイバー犯罪対策課の方が大学に来て、活動を監督・指導してくれます。


ーーどうやって“デマ”を見つける? 難しくはない?

SNSの中でも多くの人が利用するツイッター上で検索しています。
今回は、検索欄に「北海道地震」「拡散希望」「デマ」といったワードを入力して、抽出した投稿を順に見ていきました。
地震雲を発見」や「4時間後に電波塔も停電して携帯がつながらなくなる」といった不安を煽るような書き込みが多かったです。
中には、「この内容はデマ情報です」と注意を促しているものもありました。
デマではないかと思われる投稿を見つけたら、それをスクリーンショットしてプリントアウトし、サイバー犯罪対策課の方に提出します。
学生たちは日常的にスマートフォンやパソコンを使ってSNSを利用していますし、毎週サイバーパトロールをしているので、検索には慣れています。
だから、スピーディーに有害な情報を見つけることができます。


県警は、学生らが発見した虚偽や真偽不明の情報を精査し、違法性があれば立件を視野に調べるのだという。では、プロではない学生がサイバーパトロールをするにあたってルールなどはあるのだろうか。

「熊本地震でデマに遭遇し、憤りを覚えた」

10日のサイバーパトロールの様子(提供:熊本学園大学 広報室)

ーーサイバーパトロール時のルールは?

個人の携帯電話などを使用することは禁止されています。
万が一、デマ情報の発信者にパトロール活動をしていると特定されてしまったら、リベンジ(仕返し)を受けて事件に発展してしまう可能性があるので、専用のパソコンを使うと決まっています。
また、地震・台風などの災害時のデマ情報パトロールや防犯講話など、県警と連携して活動を行う際には、オレンジ色のビブスを着用しています。

ーー髙村さんがKC3に参加した理由は?

私は大学2年生時に熊本地震を経験し、「ライオンが動物園から逃げた」というデマ情報にも遭遇しました。
いとこの家が動物園の近くだったので、心配になって連絡をしたのですが後日デマだったと知り、とても悪質だなと憤りを覚えました。
被災地にいる人は不安を抱えていて、特に災害直後は情報に流されやすくなっています。
そんな人たちを混乱させるような情報を取り締まる活動があることを知り、3年生時から参加しています。


ーー今回のパトロールはどうだった?

6月に発生した大阪地震でもサイバーパトロールを行い、「シマウマが脱走した」というデマを見つけました。
このように、今までは被災地外に住んでいる人による愉快犯的なデマ情報が多かったのですが、今回はそうではなくて、被災者自身が不安を共有しようとして、デマになり得る不確かな情報を書き込んでいたり、広めているという印象を受けました。
災害時には、安易な情報の発信・拡散を避け、国や自治体などの正しい情報を伝えるようにしてほしいです。

ルールを守って活動(提供:熊本学園大学 広報室)

KC3によるボランティア活動に対し、ネット上では「こういう学生団体があるのね。とてもありがたい」「SNSアカウントがあったらフォローしたい」といった称賛の声が上がっている。

地震という同じ経験をしたからこそ、わかることもある。
熊本の大学生たちの活動は、災害時の情報拡散において、その発信元を確認することの重要性を改めて教えてくれた。

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