安倍vs石破!推薦人に見る両陣営の思惑と“3日間自粛”の波紋【自民党総裁選】

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  • “2021年までの首相を決める戦い”ついに開戦
  • 推薦人の裏側に見える安倍・石破両陣営の思惑 
  • 地震の影響で“3日間自粛”に、延期唱える石破派の不満

波乱の幕開け、まさかの「震度7」

9月7日、ついに自民党総裁選挙が告示された。この戦いの勝者が自民党総裁としての任期3年の間、つまり2021年まで、総理大臣としてこの日本を率いる資格を得る重要な選挙だ。

しかしそれは、前日に北海道で最大震度7の大地震が起き、その対応に追われる中という、波乱の幕開けとなった。

告示日にも関わらず安倍首相は、首相官邸にこもり地震への対応に多くの時間を割いた。記者団から総裁選告示についてのコメントを求められても、地震への対応に全力を挙げていることをアピールする狙いもあってか、コメントを避けた。


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告示日7日の朝 官邸に入る安倍首相

一方の石破氏も、告示日にあたって、小規模な記者会見を行ったものの、それ以外の表立った活動は控えた。党の選挙管理委員会が、地震を受けて、告示から3日間の選挙運動をとりやめる方針を決めたのを受けたもので、出陣式も討論もない異例の静かなスタートとなった。

記者会見に臨む石破氏。妻が作った朝食に話が及び笑顔を浮かべる

「20人の推薦人」の深い意味

そうした中で、告示日唯一の公式な動きとなったのが、立候補の届け出だ。

午前10時、安倍陣営の選対本部事務総長の甘利元経済再生相らと、石破陣営の選対本部長、尾辻元参院副議長らが出馬の条件となる20人の推薦人の名簿を提出し、立候補を届け出た。そしてくじ引きによって、届け出順が安倍、石破の順に決まった。

立候補の届け出のため、自民党本部に揃う両陣営

注目は、この両陣営20人ずつの推薦人の顔ぶれだ。推薦人が誰であるかは、その陣営がどういった勢力から支持を受けているかを表し、同時に、議員や党員に対し「この人が推薦人なのだからこの候補に投票して欲しい」というメッセージにもなるのだ。

推薦人の顔ぶれはこれだ!

安倍首相の推薦人

橋本聖子(細田派 参4比例)、甘利明(麻生派 衆12)、石原宏高(石原派 衆4)
衛藤征士郎(細田派 衆12)、遠藤利明(谷垣G 衆8)、大岡敏孝(二階派 衆3)、坂本哲志(石原派 衆6)
平沢勝栄(二階派 衆8)、堀内詔子(岸田派 衆3)、宮腰光寛(岸田派 衆8)、渡邉博道(竹下派 衆7)
青山繁晴(無派閥 参1比例)、(有村治子 麻生派 参3比例)、佐藤正久(竹下派 参2比例)
高階恵美子(細田派 参2比例)、柘植芳文(無派閥 参1比例)、塚田一郎(麻生派 参2)
羽生田俊(細田派 参1比例)、三木亨(二階派 参1)、水落敏栄(岸田派 参3比例)

石破元幹事長の推薦人

尾辻秀久(竹下派 参5)、古川禎久(石破派 衆6)、石井準一(竹下派 参2)、松村祥史(竹下派 参3)
青木一彦(竹下派 参2)、島田三郎(竹下派 参1)、舞立昇治(石破派 参1)、中西哲(石破派 参1比例)
村上誠一郎(無派閥 衆11)、中谷元(谷垣G 衆10)、渡海紀三朗(無派閥 衆9)、橘慶一郎(無派閥 衆4)
伊藤達也(石破派 衆8)、田村憲久(石破派 衆8)、赤澤亮正(石破派 衆5)、平将明(石破派 衆5)
福山守(石破派 衆3)、田所嘉徳(石破派 衆3)、神山佐市(石破派 衆3)、冨樫博之(石破派 衆3)

各派閥のバランスをとった安倍陣営と、石破&参院竹下派中心の石破陣営

まず、それぞれの推薦人を派閥別にみてみたい。

安倍陣営:細田派4人、麻生派3人、岸田派3人、二階派3人、竹下派2人、石原派2人、谷垣G1人、無派閥2人

石破陣営:石破派11人、竹下派5人、谷垣G1人、無派閥3人

まず言えるのは、安倍陣営は、ものの見事に派閥のバランスをとりつつ、幅広い支持を得ていることを印象付ける構成になっていることだ。
安倍首相の出身にして選挙対策本部の中心となる最大派閥の細田派が4人で最多、安倍支持の党内第2、4、5派閥の麻生派、岸田派、二階派を3人で並べ、衆院側中心の支持に留まった竹下派と、小派閥の石原派は2人、自主投票の谷垣グループからも1人を入れて、無派閥も加えている。
幅広い支持のアピールと、各派への配慮、それに少し細田派の最大派閥の自負がにじみ出るメンバーだ。また、石破氏支持の参院竹下派の中で、安倍支持にまわった佐藤正久氏を入れているのも、幅広い支持を印象付ける材料になっている。

一方の石破陣営の推薦人は、派閥の支持が少ない分、石破派と参院竹下派がほとんどを占めるのはやむをえないところだ。一方で谷垣グループのベテラン中谷氏が入っていることや、無派閥議員を安倍陣営より多く入れている所は、少しでも組織以外への支持を広げていきたいという狙いも見て取れる。
また、名簿の記載順で、石破派中心の衆院議員よりも、竹下派を中心とした参院議員を先にしていることは、石破派から参院竹下派に対する、支持への感謝、配慮も見える。

安倍陣営には組織票を持つ参院比例議員がズラリ

続いて、衆院議員と参院議員の内訳を見てみよう。

安倍陣営:衆院10人、参院10人 (うち比例選出8人)

石破陣営:衆院13人 参院7人     (うち比例選出1人)


石破陣営が、石破派の参院議員が2人しかいない事情も反映して、衆院議員の方が多いのに対し、安倍陣営はきれいに衆参半々の構成となった。

ここで特筆すべきは、安倍陣営の推薦人の参院議員10人中、8人が比例区選出議員であることだ。その顔ぶれを見ると、郵便局長会の支持を受ける柘植氏、医師会の支持を受ける羽生田氏、看護連盟の支持を受ける高階氏、遺族会の支持を受ける水落氏、自衛隊OBの佐藤氏と、大きな自民党支援団体の全国的組織票で比例区を勝ち抜いた議員が名を連ねている。
安倍陣営として、この面々を推薦人にすることで、全国規模の党員票獲得に向けた、組織票固めを狙っていることがわかる。

当選回数と男女割合

続いて推薦人の衆院議員を当選回数で見ると、

安倍陣営:当選1~3回2人、4~7回3人、8回以上5人

石破陣営:当選1~3回4人、4~7回4人、8回以上5人

このように、ベテランにやや比重を置きつつ、老壮青のバランスをとっていることがわかる。

また、安倍陣営を見ると、女性が4人入っているのに対し、石破陣営はゼロだ。安倍首相の掲げる「女性活躍」を意識した安倍陣営と、女性議員と縁の薄い石破陣営ということか…ちなみにFNNの世論調査では、石破氏への女性からの支持は、安倍首相と拮抗している。

こうして推薦人名簿を比べてみると、「大組織と派閥バランス重視」の安倍陣営VS「組織票以外に活路を見出したい」石破陣営という構図が見えてくる。

「地震対応に専念するも総裁選日程変更なし」に石破派内から反発

議員票では劣勢なだけに、候補者同士の討論などにより一般世論にアピールし、党員票で挽回したい石破氏の陣営なのだが、北海道の地震を受けての党の対応に、不満が噴出する事態が生じた。

地震発生当日の6日、自民党が緊急役員会と総裁選挙管理委員会を開き、地震対応に専念するために、告示から3日間の討論会などの予定をとりやめることを決める一方、総裁選の日程は延期せず、予定通りとしたためだ。

石破派からは、「どう考えたっておかしい。討論も政見(発表)もやらないでどうやって党員に判断してもらうんだ」「投開票日はずらさない、討論はやらない、でも外遊は行く、こんなことがあっていいはずがない」「1週間、2週間の延期は当然だ」との声が相次いだ。

石破派の総会(6日)

石破氏自身も「総裁選の延期は当然ありうることだと思っている。災害対応に万全を期すことと、我が国の将来をどうするかという論戦をきちんと行い、党員の判断を仰ぐことは両立させないといけない」と強調した

しかし、総裁選の後の首相には、外交日程が控えていることなどもあり、投開票日は変更されず、3日間選挙活動を自粛する代わりに、党員への投票用紙の発送も遅らせ、10日の演説会や記者会見を踏まえて投票できる環境を整えるということで、とりあえず決着した。

ただ、地震がなければ、テレビなどでも安倍首相と石破氏の討論も予定されていただけに、そうした討論に活路を求めていた石破陣営としては、あてがはずれた形だ。

それでも、当初の予定よりは遅れるものの、候補者同士の討論の機会は設けられる方向で調整は続いている。その時点で党員票がどの程度すでに投票されているかはわからないが、2人の討論の中身にはしっかりと注目したい。

(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)

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