ポケベルが再び脚光! “電波”の特性をいかし防災に活用されていた

カテゴリ:国内

  • ポケベル電波の受信機が“防災目的”で活用が進んでいる
  • 従来の無線よりも整備費用が安く、受信力が高い
  • 西日本豪雨でも「役に立った」という声

防災目的で再び脚光

西日本豪雨に台風21号、北海道で最大震度7を観測した地震と、自然災害が相次いでいる。
こうした中、脚光を浴びているのが1990年代に一世を風靡した「ポケベル」だ。

提供:東京テレメッセージ

ポケベルと言っても、今、脚光を浴びているのは皆さんの記憶にあるこういった端末ではなく、「ポケベル電波の受信機」。

自治体が住民に避難情報を伝える手段として活用が広がっているのだ。

「ポケベル電波の受信機」 提供:東京テレメッセージ

自治体が住民に避難情報を伝える手段としては「市町村防災行政無線」というものがすでにあるのだが、この「市町村防災行政無線」に比べ、「ポケベル電波の受信機」は何が優れているのだろうか。

1990年代にポケベルを販売し、今は国内で唯一、ポケベル電波を使った防災無線事業を手掛ける「東京テレメッセージ」の担当者に聞いた。

従来の無線よりも整備費用が安く、受信力が高い

――今、再びポケベルが脚光を浴びている理由は?

自治体が住民に避難情報を伝える手段に「市町村防災行政無線」というものがあります。
8割以上の自治体が使っている防災無線です。

この「市町村防災行政無線」は屋外拡声放送が主体なのですが、豪雨時には屋外放送が聞こえない。
そこで最近、「戸別受信機」がクローズアップされるようになってきました。

ところが、無線電波を受信するというのは簡単なことではなく、また「市町村防災行政無線」で使っている電波は建物の中に入りにくいのです。

その結果、屋外アンテナを必要とするため、「戸別受信機」の整備単価が10万円以上にもなってしまう。
また、それでも受信が不安定なため、利用者から毎日のように防災担当課に苦情が寄せられるのが現状のようです。

これが、ポケベル電波を使った「戸別受信機」が広がり始めた理由です。

ポケベル電波は屋外アンテナがなくても受信するから整備単価は2万円以下と安く、何より受信しないという苦情もほとんどありません。


――ポケベル電波が屋内でも屋外でも受信力が高いのはなぜ?

音声放送ではなく文字放送という点が一つ。文字は受信しやすいのです。
また、電波が建物の中に入りやすいということもあります。

――受信機はどのようなかたちで防災情報を伝えてくれるの?

受信した文字を、受信機が音声合成で読み上げてくれます。
音声合成ソフトの進化がポケベルを蘇らせたと言えるのではないかと思います。

――避難情報は従来のポケベルでも受信できる?

できません。

26の自治体が活用し、17万台が売れている

――防災無線事業はいつ始めた?

10年前に始めましたが、本格化したのは東日本大震災の翌年(2012年)からです。

――受信機は今、どのぐらいの自治体で利用されている?

活用しているのが26の自治体、整備中が6の自治体、計画中が10の自治体です。

その数は月ごとに増えているという状態になってきました。

――受信機は今、何台ぐらい売れている?

受注ベースで17万台を超えたところです。

2022年に向けて活用はさらに広がる見込み

――ポケベルが再び脚光を浴びていること、どのように受け止めている?

脚光といっていいのか、実はまだ9割以上の自治体さまは弊社の防災無線システムの本当の姿を知りません。
少しでも多くの自治体のご担当者の目に留まり、これがどういうものか知ってほしいと思っています。

――今後も活用する自治体は増えていきそう?

2022年に向けて大きく増えていくものと予想しています。

――なぜ2022年に向けて大きく増えるの?

防災情報伝達システムの整備に対する、国の財政補助の期限が2022年度とされているからです。
「戸別受信機」を導入するのであれば、この期限の持つ意味が大変重要になります。

――北海道で震度7を観測した地震を受け、問い合わせは増えている?

本日(9/7)時点では、とくに問い合わせが増えたということはありません。


現在、北海道で利用している自治体はないが、芽室町が2019年3月に利用開始予定だという。

従来の無線より整備費用が安いことや屋内での受信力が高いことで、防災目的での利用が増えている「ポケベル電波の受信機」だが、実際にどのようなかたちで活用され、自然災害の際に役立てているのか。
西日本豪雨の被災地で、この受信機を活用している岡山県高梁市の担当者に聞いてみた。

西日本豪雨でも役に立った

――高梁市ではポケベル波の受信機をいつから活用している?

去年(2017年)からです。
東京テレメッセージから市が購入し、希望する世帯の世帯主に対して、1台を限度として無償で貸与しています。

――何台、購入し、何世帯に貸与している?

約1500台を購入し、約1500世帯に無償貸与しています。

――受信機は家の中でどうやって使うの?

コンセントを差しておけば、大音量で避難情報などの緊急放送が流れるようになっています。

また、単三電池3本をセットしておけば、停電時に2~3日は使用可能。
交通規制や火災情報等の一般放送は、各個人で設定した音量で放送されます。

――避難情報というのはたとえば?

「台風の接近に伴って、土砂災害発生の恐れがあるため、本日○時に○○地区に避難勧告を発令しました。避難行動を始めてください」といった情報が流れます。

――西日本豪雨でも役に立った?

一部の住民からは「役に立った」という声が届いています。

ピーク時のポケベルの加入台数は130万台。
ポケベル電波の受信機は現在17万台と約10分の1だが、これまでの常識が通用しない自然災害が次々に日本を襲い、防災意識が高まる今、さらに注目度が増すかもしれない。


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