ピッタリ7分で靴ひもを結ぶ田臥勇太と、何度も見るロシター。Bリーグ選手の信頼関係

特別対談:田臥勇太&ライアン・ロシター(栃木ブレックス)

カテゴリ:芸能スポーツ

  • 栃木ブレックスの田臥とロシターは互いのプレーを称え合う
  • ロシターはチーム最優先で、田臥は行動で示すリーダー
  • シーズン最初の真剣勝負のアーリーカップはホームで開催、その想いは?

2012-13シーズンの栃木ブレックスは、13勝29敗と低迷し、3季連続の負け越しと低迷期に突入していた。しかし、ライアン・ロシターの獲得は、栃木の状況を大きく変える。外国人選手に求められる得点だけでなく、リバウンドの強さ、速攻で先頭を走ることの機動力を持っていたため、すぐにチームにフィット。ロシターが入団して以降の5年間、栃木はレギュラーシーズンでは197勝85敗と大きく勝ち越し、2016-17シーズンにBリーグ制覇を成し遂げている。

チームメイトになって5年。田臥が英語を話せるため、ロシターとのコミュニケーションは円滑

チーム最優先を体現できるロシターの真面目な人間性は、チームリーダーである田臥勇太とすぐに良好な関係を構築。栃木が低迷から脱却し、勝てるチームに変貌できたのは、2人が存在したからと言っていい。本拠地ブレックスアリーナで行われるアーリーカップを前に、出会いからの5年間と今季に向けた意気込みについて、2人から話を聞いた。

「ロシターとは、初日から楽しかった」

通訳を挟まず英語で行われた対談 ©TOCHIGI BREX

ーーロシター選手は田臥選手が元NBA選手であることを知っていたと思いますが、初めて会った時、一緒にプレーした時の印象はどんなものでしたか?

ロシター:
5年前の彼は31歳。でも、まだまだ若かったし、すごくいい選手だと思いました。NBA選手たちと毎日プレーしていたわけだから、あのころがどのくらいよかったのかと感嘆しましたね。契約する前に映像を少し見たけど、彼のゲームやスタイルをすごく気に入ったし、自信に満ちていました。決して派手じゃないけれど、常に正しいプレーをしていたので、いいなと思いました。


ーー田臥選手にとってロシター選手の第1印象はどうでしたか?

田臥:

5年前、彼がここ来る前に映像を見ましたが、よく走れるし、リバウンドも強かったので、とてもエキサイティングな気分になりました。実際に来てからは、初日から楽しかったですね。

攻防両面で頼りになるロシター

ーーロシター選手がチームに違いをもたらす存在と思えたのはいつでしたか?

田臥:
初日からです。我々にとって最高のアメリカ人選手だと思えました。バスケットボールはもちろんですけど、性格がとてもよかった。彼はすばらしい選手ですよ。


ーーブレックス・ファンのサポートには驚かされましたか?

ロシター:

もちろん。野球が人気なのは知っていましたけど、ファンの皆さんの熱さを見られたことが素晴らしかったです。特にアウェイでプレーした時、ホームのファンよりも多いこともときどきありましたからね。

「シューズの紐を結ぶのに、ぴったり7分かける」

大ベテランになっても田臥のスピード感あふれるプレーは健在

ーー田臥選手にとってロシター選手がいいと思えるところは何ですか?

田臥:

常にチーム最優先のところがとても気に入っています。これまで数多くのアメリカ人とプレーしてきましたけど、彼はちょっと違いますね。人間性という部分では、みんなが彼のことを好きになること。チームメイトはもちろんのこと、ファンも彼のことが大好き。フィットネスジムに行くと、「ライアンはどこ?」「ライアンはどう?」って声をかけられます。それはすごいことですし、彼がいかに栃木の方々に好かれているかがわかりますね。


ーーロシター選手にとって田臥選手の好きなところは?

ロシター:
彼もチームプレーヤーです。最も重要なことは、チームのベストプレーヤーであるリーダーが最も一生懸命に取り組んでいること。彼の年齢を考えると、練習の2時間前からワークアウトするわけではないけど、体育館に必ず来て、練習に向けて体を整えることや映像をチェックすることを怠りません。大声を出して物事を言うタイプではなく、行動で示すタイプのリーダー。常に責任を持ってやることを我々に伝えてくれますね。

よくジョークを言うのだけど、彼は毎日同じことを繰り返しているのです。75分間。どんな人間で、高いレベルでプレーできているか、いかに高いプロ意識を持っているかを知り、学ぶことができました。彼は本当にいい人だし、5年前初めて話をした時に歓迎されていると私が思えるようにしてくれました。どんな質問にも答えてくれましたから、短時間で友人関係を構築できました。

ーー2人の関係でおもしろいストーリーはありますか?

ロシター:
勇太がシューズの紐を結ぶのに、ぴったり7分をかけること。ジョークじゃなく、本当のことです。1分というのではなく、文字通りの7分。以前スマホで計ったことがあるけど、バスケットボールシューズの紐をビッタリ7分で結んでいるのです。それも常に同じルーティンで。私からすれば、本当におかしなことですよ。

田臥:
ライアンだけじゃなく、チームメイトはみんな見ていますね。

ロシター:
1000回以上見たと思います。勇太のほうに目をやると紐を結び始めているので、私はそこから6分間座り続け、シューズの紐を結ぶプロセスのすべてを毎回見ていますよ。

田臥:
おもしろいストーリーですか?
(熟考後)先ほど言いましたように、スポーツジムで60代や70代の方が彼についての質問をしてくることですね。東京と違って栃木のようなそれほど大きくない都市で、彼らがライアンのことをすごく知りたがっているのはおもしろいと思っています。


ーーロシター選手は栃木のスーパースターというわけですね?

田臥:
今の彼はスーパースターです。

「アーリーカップはエキサイティング」

B1でトップレベルの盛り上がりを見せるホームゲームが大好きと田臥は語る

ーー昨年から始まったアーリーカップですが、やってみてどんな印象を持ちましたか?

ロシター:

シーズン最初の真剣勝負という感じでした。選手全員のコンディションがベストではないといえ、勝つという意味があって決してエキシビジョンゲームでないから、楽しめました。相手チームがどんなことをやるのかを知ることも、自分が万全な状態までどのくらい届いていないのかを確認することもできますね。

田臥:
彼が言うように、今のチーム状態がどんなものか、相手がどんなチームかを知る絶好の機会。僕自身も楽しめますし、ファンの方たちにとっては、1試合でなく3試合見られるなど、いいイベントだと思います。

自身だけでなく、チームメイトの得点チャンスをクリエイトできるロシター   視野の広さを生かしたゲームメイクは田臥が持っている武器の一つ

ーーホームゲームとなる今年のアーリーカップについては、どのように思っていますか?

ロシター:

我々のファンは必ずアリーナにやってきますから、チケットが売り切れになるでしょう。彼らは我々のプレーを見るのを楽しみにしていますし、いいバスケットボールの試合に対する感謝の意を示します。ファンの方たちは今回トーナメント全体を見られますし、我々の試合が千葉相手となれば、その試合はぜひ見たいと思っているはず。だから、トーナメント全体の雰囲気がすばらしいものになるという気がしています。

田臥:
アーリーカップだろうが、ライバル相手の試合であろうが、僕はホームゲームが大好きなので、すごくエキサイティングな気持になっています。


ーー最後に、今季に向けた最大のチャレンジは何だと思っていますか?

ロシター:

チームケミストリー(調和)の構築をより早く済ませること。昨季は多くの変化があり、安斎(竜三)がシーズン序盤でヘッドコーチとなり、様々な状況に対する答えを導き出さなければなりませんでした。今季は昨季とほぼ同じメンバーで戦えるので、到達したいというレベルに早くできますし、それが最も重要なことだと思っています。

田臥:
彼が言ったように、より早くチームとしてまとまるかがカギになるでしょう。あとは毎日成長し続けることですけど、コーチが同じ、メンバーもほぼ同じというのはすごく大きい。一体感はより早くできるべきだと思います。毎日、毎試合、成長することが本当に大事ですね。

【B.LEAGUE EARLY CUP 2018 KANTO】
https://www.bleague.jp/earlycup2018
関東大会:9月7日(金)8日(土)9日(日)会場:ブレックスアリーナ宇都宮https://www.fujitv.co.jp/sports/basketball/earlycup/index.html

取材・文/青木崇 Interview and text by Takashi Aoki

Bリーグのススメの他の記事