関空“水没”の背景に地盤沈下…羽田空港は大丈夫? 対策を取材

  • 深刻な浸水被害に見舞われた関西空港の元は“人工島”
  • 開港当初から3m超の地盤沈下「護岸かさ上げ」で対策
  • 羽田空港を緊急取材。緊急時の備えは万全?

アクセスが寸断され、3000人が孤立した関西空港。
なぜ、異常事態を招いてしまったのか? そして、東京の空の玄関、羽田では対策はとられているのか?緊急取材した。

開港から「3m超」続く地盤沈下

最強クラスの台風21号がもたらした高潮により、深刻な浸水被害を受けた関西空港。

滑走路や駐機場が一面水に覆われただけでなく、地下のエリアにも水がたまった。 
さらに、空港と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突したことにより、車と鉄道によるアクセスが寸断。
その結果、およそ3000人の利用客が取り残され、食料や水を求める長い列ができた

奇しくも開港記念日の9月4日に起きた大規模冠水。異状事態に陥った背景に迫った。

関西空港は、大阪湾の南東部にある人工島に作られ、1980年代に工事が始まるまで、そこは何もない海だった。

埋め立て工事がスタートしたのは1988年。
そのおよそ3年後に、今回浸水した第1ターミナル側の空港島およそ510ヘクタールが完成した。
開港したのは1994年。日本初の24時間空港として、関西の新たな空の玄関となった。

しかし、埋め立てによって作られた関西空港では、現在も地盤沈下が進行。
関西エアポートによると、収束傾向にはあるものの第1ターミナル側は開港から平均3.4m沈下したという。 

大阪市立大学 地盤工学の大島昭彦教授は、「粘土がある地盤を埋め立てているので、沈下は避けられない。ただし、沈下の予測もしていて、それに応じて盛土量を考えて造っている。対策のために、防潮堤を一期島(浸水したエリア)の周りに壁を造って高潮対策をしていたが、それを越える高潮がきた」と解説する。

最強台風もたらした“想定外”

関西空港では、2004年にも台風による高潮と高波により道路などがえぐりとられた。

これを機に、関西空港は護岸のかさ上げを重ね、50年に1度の高波がきても防げるような高さまで、コンクリートを継ぎ足したという。
しかし、今回の台風21号は想定を超える高潮をもたらしたのだ

これまでに観測された大阪の最高潮位は、1961年の第2室戸台風による293cmだったが、4日午後2時過ぎには、それを上回る329cmを観測した。
この想定外の高潮と高波の影響で、全長約3500mのA滑走路や駐機場は、ほぼ全域が冠水。
一部では、水深が約50cmにまで達した。

被害を受け、今後の対策については、「想定していた高潮より高いものが来たということなので、今回の高潮でも守れるような高さまで増し打ちするという感じですね」(大阪市立大学 地盤工学・大島昭彦教授)ということだ。

羽田では冠水を想定「備蓄食料1万人分」

では、同じく海に面する羽田空港は大丈夫なのだろうか。
首都・東京の空の玄関の水害対策を緊急取材した。

年間8500万人以上が利用する羽田空港。
高潮や高波による被害に備え、ある対策を講じていた。

羽田空港では、冠水などを想定して備蓄倉庫を2階以上のフロアに配置しているというのだ。
約10mの高さにあるという倉庫の中を日本空港ビルデングの柴田浩一施設課長が案内してくれた。

「いくつか種類があるんですけれども、例を挙げるとカレーピラフとか。災害用の毛布も準備しています」

食料や水、毛布など、1万1000人が3日間過ごせるだけの数を備蓄。
さらに、お湯を沸かすための巨大な釜や非常用発電機などが保管されていた。

 利用者の増加とともに重要性を増す自然災害への備え。
どのような場合にも利用者が安心できる対策が求められている。


(「プライムニュース イブニング」9月5日放送分より)

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