“重すぎランドセル”問題で文科省が通知へ…そもそも何で「置き勉」はダメだった?

カテゴリ:国内

  • 文部科学省が「置き勉」を認めるよう教育委員会へ通知の方針
  • メーカーの調査によると、最も重い日でランドセルを含めて平均約6キロを背負う
  • 教育評論家「今回の方針は子どもたちに大きなメリットがある」

教科書などを学校に置いて帰る、いわゆる「置き勉」。

これまで一部の学校では、「置き勉」を認めず、原則、教科書などを自宅に持ち帰るよう指導しているが、子供のランドセルが重いとして対策を求める意見が寄せられていた。

こうした事態を踏まえ文科省が動き出した。
宿題や家庭学習で使わない教科書や、書道の道具などを教室に置いて帰ったり、学校で栽培したアサガオなどを持ち帰る際は保護者に協力してもらうなど、子供の負担を軽減するよう、近く全国の教育委員会に対して通知する方向で調整している。

最も重い日は、ランドセルを含めて平均約6キロ

小中学校で教科書のページ数が増え、副読本なども追加された結果、腰痛となる子どもたちが問題となっているように、実際に小学生が持ち運ぶ勉強道具は重い。
ランドセルメーカーのセイバン(兵庫県)は今年3月、全国の小学生とその母親合わせて2000人に「小学生が実際にどれくらいの重量の荷物を背負って通学しているのか」などについて、ネット調査を実施した。

その結果によると、1週間のうち、ランドセルが最も重い日の荷物の重量は、平均で約4.7キロ。ランドセルの重さも含めると平均約6キロを背負って登下校しているという。中には、10キロ以上と回答した人が全体の1.8パーセント存在した。

ランドセルを背負った時に痛みを感じる児童は約3割

さらにランドセルを背負った時に痛みを感じる部分については、約7割(68.8%)が「特にない」と回答した一方で、約3割(31.2%)がどこかに痛みを感じているという。

痛む箇所として最も多く上がったのが、「首の付け根」で11.6%、次いで「首の後ろ」が10.7%と、”首まわり”に痛みを感じる割合が高い。話題となっている小学生の「腰痛」に注目すると、「腰」との回答が3.4%だった。

そもそも、なぜ体に痛みが出るほどの重い勉強道具を毎日、学校に持ち運びしないといけなかったのか?
教育評論家の石川幸夫氏に話を聞いた。

教育現場では予習復習を家庭で毎日することを求めている

――なぜ多くの学校では“置き勉”を禁止にしてきたのか?

教育現場において、授業の予習復習を家庭で毎日することを児童生徒に求めており、そして家庭で勉強をするには教科書がないとできないという考え方が昔からありました。宿題がなくても家庭で学習する姿勢が大切だという認識が続き、勉強道具を全て持ち帰るように指導していたのでしょう。

――昔に比べて、小中学生の荷物が重くなったと言われている。その理由は?

かつてのゆとり教育の反省から、現在は学習指導要領が変わっています。保護者からの要望もあり、小中学生が学習する量はぐっと増えました。科目によってはページ数が1.5倍となった教科書もあり、それが複数科目に渡っています。以前に比べて、全体として平均2~3割ほど増えている印象です。

さらに、教科書の拡充に比例して副読本なども追加されました。そしてこれらを全て収納できるようにと、ランドセル自体の容量も以前に比べて大きくなったため、結果として重量がかさんだのだと思います。特に小学校低学年の児童の体力的な負担は相当なものです。

――今回の文科省の方針をどう評価する?

以前と比較にならないくらい、子どもたちの肉体的負担が大きくなっています。さらに中学生になると、これらの荷物に部活動の用具なども増えることになります。

そのような状況を鑑みて文部科学省は、各学校や教育委員会に判断を任せていた“置き勉”について、家庭学習に差し障りのない範囲で教科書等を置いて帰っていいという省としての方針を示したのでしょう。

また重い荷物を背負った状態では、登下校時に車が突っ込んで来るなどの事故が起きた場合に、児童らは咄嗟に避けるなどの行動が取れません。その意味でも、今回の方針は子どもたちに大きなメリットがあると思います。


文科省は、「実情にあわせて、それぞれの学校で検討してほしい」としている。家で勉強をすることはもちろん大切だが、時代とともに変化する教育現場で、まずは子どもが学校に元気に通えるように臨機応変に対策をとっていくことが重要だろう。