「今や異常気象は異常ではない」 危険を察知し“行動する”ために必要なこと

「とくダネ!」気象キャスター 天達武史

カテゴリ:国内

  • 「想定外」ではなく、起こるべくして起こっている
  • 情報の出どころを確認した上で、「必ず最新情報をとること」が大事
  • 防災3Kの1つ「行動する」がなかなかできない理由

異常気象、ゲリラ豪雨、記録的猛暑、大雨…
夏から毎日のように話題に上がっています。

私が担当している「とくダネ!」でも今年は天気の話題が例年以上に多いですね。

「異常気象」って頻繁に使われていますが、ちゃんと定義があるんです。

異常気象=ある場所で30年に一回程度しか起こらない、まれな現象です。

ただ最近、そんな異常気象が30年どころか1年のうちに何度も起こる。
異常気象はいまや定常化してしまい「極端気象」などと言い方を変えたほうがいいかもしれません。

「想定外」ではなく、起こるべくして起こっている

これら「極端気象」の背景には地球温暖化がかかわっていることがあります。

温暖化というと気温がどんどん上がっていくイメージがあるかもしれませんが、正しくは気温がアップダウンしながら、数十年単位でみたときにベースが上がっていたというのが温暖化です。

だから、日々の私たちの生活の中で感じることが難しい現象なんです。

それよりむしろ、温暖化が進むと気象が極端化するので、「昔はこんなに激しい雨が降らなかったな」とか「きのうまで涼しかったのになんでこんな急に暑くなったんだろうね」みたいなほうが、温暖化の体感としては合っているのかもしれません。

2018年7月 岡山・倉敷市

最近は「想定外」という言葉をよく耳にしますが、実際は起こるべくして起こっていることが多いです。

例えば、今年7月の西日本豪雨の主な原因は、
・雲のもとになる大量の水蒸気が日本列島に送り込まれたこと
・梅雨前線が同じような場所に停滞したこと

めったに起こらない珍しい現象が複雑に絡み合っていたわけではありません。
条件さえ揃えばこの先も西日本豪雨級の大雨が発生してもおかしくないことに怖くなったのは正直ありました。

もう、気候は昔と変わってきています。

もう異常気象は異常ではない。

日本の気候区分は「温帯」ですが、冬を除けば「亜熱帯化」しているといっても過言ではありません。

実際に、北海道には1年に1回台風が来るか来ないか?のはずが、2年前にはひと夏に3個連続で上陸するなど熱帯の空気が北日本まで入りやすくなっています。

また、今年は梅雨がないはずの北海道に梅雨前線が停滞してしまい、関東よりも梅雨らしい梅雨になりました。
夏が涼しい北海道でも最近は冷房がないと過ごせない日が多いと聞きます。


もう異常気象は異常ではない。定常化しています。

もう昔の常識は通用しなくなっています。

2018年7月 北海道・旭川市

実際に、今年7月の西日本豪雨では、雨が少ない岡山、広島などの瀬戸内側で、7月の月間雨量の2倍以上の雨が一気に降り、大きな災害が発生してしまいました。

今やこうした大雨がどこで降ってもおかしくありません。
日本のどこかで大雨などの災害があったら、自分のところでもあると思って過ごさなければいけません。

インフラが整備された今、昔のように台風で1000人規模の人が亡くなることはなくなりましたが、その分、都市型災害などが心配です。

街がアスファルトに覆われることで雨が降ってもしみこまず、一気に冠水してしまったり、本来人が住んでいなかった山の斜面に住宅地が増えて、大雨時に大規模な土砂災害に見舞われるケースもあります。

「必ず最新情報をとること」が大事

ではどうしたらいいのか?

まず大切なことは自分の地域をよく知ることです。
ハザードマップなどで確認することも大切ですが、自分自身で身の回りを見渡して、どこが危険でどこが安全なのか?自分の目で確かめることです。

災害が起こる危険があるときには、インターネットやテレビ、ラジオなどからたくさんの情報が発信されます。

よく「どの情報を信じていいのかわからない」という声を聞きますが、情報の出どころが気象庁などきちんとしていれば、どれを信用してもいいんです。

イメージ

ただ、一つだけ気を付けたいのは必ず最新情報をとることです。

たとえば私が朝の天気予報で「あすの東京は晴れるでしょう」と言ったとします。
でも夕方になって森田さんが「あすの東京は大雨です」って言ったら、みなさんは私の予報より、森田さんの予報を信じなければいけません。

これは私の予報が当たらないと言っているのではなく、特に災害が起こるようなときは私たち気象予報士が見る資料も刻々と変化しているので、皆さんは最新情報をとることが大切なんです。

「自分の身は自分で守る」と言うと、ちょっと冷たく感じられますが、正しく災害から身を守ることができれば、必要以上に恐れることはありません。


「気づく、考える、行動する」

大切なのは防災の3K「気づく、考える、行動する」です。

危険に気づく、どうするか考える。そして避難するなどの行動をおこすことです。
みなさん「気づく」⇒「考える」まではできるんです。
ただ、危険な状況にも関わらず、なかなか最後の「行動する」ができない。

でもこれはあたりまえだと思います。

私たちはサバンナのシマウマのように常に危険にさらされているわけではありませんから。
あと危険だとわかっていても、過去の経験などから大丈夫と思ってしまうものです。

でも災害は突然やってきたり、忘れたころにやってくるものです。
大雨などの気象現象に限っていえば、その頻度は近年増えています。

2018年7月 広島市安芸区矢野

よくテレビで大雨の災害にあわれた方のインタビューで「こんなことになるとは思ってもみなかった。〇〇年住んでいるけどこんなの初めてです!」というフレーズをよく聞きます。

でも今は、これまで何百年と起こらなかったことが普通に起こってしまう時代です。

そんな危険を前にすぐに行動を起こせるようにするには、たとえば家族、町内会や学校などで大雨や台風の避難訓練をやってほしいですね。

昔から地震や津波の避難訓練はするけど、大雨とか台風の避難訓練はあまりしていませんよね。
しかも気軽にゲーム感覚でやってほしいんです。
そうすれば昔のように地域の輪も広がりますし、自然に行動できる人になれるはずです。

何度も言いますが、異常気象は今や異常ではありません。

過去の常識にとらわれず、正しい知識をもって向き合っていくことが大切です。

常識が通用しない…いま備える防災の他の記事