前園真聖も驚き?「最初はつまらなかった」と話すブラインドサッカー選手のパススピード

カテゴリ:暮らし

  • ブラインドサッカーで活躍する落合啓士選手
  • 当たり前のことができずつまらないと感じたが、魅力に気がついた
  • 試合の時と同じパススピードを見ると前園さんも驚きを隠せずにいた

当たり前のことができなくてつまらない

「目が見えると、ボールを止められるのは当たり前だし、蹴れるの当たり前だし、前にボールを運べるのって当たり前じゃないですか。でも目が見えないとそれが全部できないんですよ、だからつまらないと思いました」

8月25日に開催されたパラスポーツの祭典『かわパラ2018』でそう話したのは、ブラインドサッカーの「おっちー」こと落合啓士選手だ。

落合選手は小さな頃から活発で、「憧れはキャプテン翼だった」と話すように、W杯出場を夢にサッカーを始めた。しかし、徐々に目が見えなくなる網膜色素変性症を発症し、その夢を諦め、パラスポーツの世界に足を踏み入れる。
運動神経が良かった落合選手は、2003年にはゴールボールの日本代表に選ばれ、ゴールボールに夢中になっていたが、その頃、知人に誘われてブラインドサッカーと出会う。

しかし冒頭の発言のように、最初は「つまらない」と感じたという。ゴールボール日本代表だったこともあり、ブラインドサッカーを始めるつもりは無かった。

「初めての練習の2ヶ月後に行われる試合に出てよと言われて、やはりプレーは思うように行来ませんでした。でもその大会で、当時の日本代表の監督が目に留めてくれて、日本代表選考会に呼ばれ、正直練習してなかったんですけど、ありがたいことに日本代表に選んでいただきました。
前園さんもわかると思うんですけど、日本代表に選ばれたからには色々な人の思いを背負うじゃないですか。そこから真面目に練習しました。それまでは片手間でやっていて…(笑)」

そう笑顔で話した落合選手。しかしその後ブラインドサッカーが盛んだった大阪のチームに4年間に渡って入り、「週4回の練習や、代表の監督やスタッフも関西だったんで、技術的にも精神的にも人間的にも成長できました。他に笑いと人情も学ばせてもらいました(笑)」と振り返った。

前園真聖も驚いたパススピード

大阪で学んだコミュニケーション。

司会を務めた元サッカー日本代表の前園真聖さんも「サッカーもそうですけど、スポーツって色々なことでコミュニケーションを取らないといけないので。ブラインドサッカーもやはりそうですよね」とコミュニケーションの大切さを語る。

落合選手も「話すことだけがコミュニケーションではなくて、例えば我が強い人が行っていることはコミュニケーションではなく、プレッシャーになってしまったりします。片方だけがコミュニケーションを取っているつもり、ということは結構あって。ブラインドサッカーはコミュニケーション一つとっても難しいです。奥が深いですね」と話した。

ステージ上では、前園さんもブラインドサッカーを体験した。
鉛の玉が入って音が鳴るブラインドサッカー専用のボールを前園さんが蹴ると、落合選手は右に一歩程ずれたボールをしっかりとトラップ。音から軌道を予測するそうだ。
普段の試合でのパススピードは相当早く、前園さんもブラインドサッカーの時に着用するアイマスクをつけてパスを受けようとすると、「ボールが通り過ぎてから音してます」と驚き、アイマスクを外しても改めて驚くほどのスピードだった。

ブラインドサッカーでは、ボールの動き以外にも他の選手や、ゴールやコートの位置も頭の中で描き、頭の中でサッカーが映像として見えるそうだ。

「ゴールとかサイドフェンスとか動かないものは頭に作っておいて、どこに自分がいるのかをイメージして、相手の選手が声を出したら人間型のピンがその中に出てくる感じですね。声がなくなればそのピンは消えるし、声が聞こえたら出てきます」

音を聞いて判断して試合を行うため、終了の笛がなると体はもちろん、頭もパンクしそうになるそうだ。

落合選手は、2013年から15年までは主将として日本代表を引っ張り、怪我の影響があり今は代表から外れているが、東京2020では日本代表復帰を目指している。

「2020年には必ずピッチに戻って、自分のプレーで視覚障害者の人の勇気になったり、応援してくれる人への感謝をピッチの上で表現したいと思っているので、2年後にピッチに立てるように応援よろしくお願い致します」と締めくくった落合選手の表情は引き締まっていた。

大盛り上がりだった「かわパラ2018」

PARA☆DO!公式アーティスト清貴さんのライブ

落合選手が参加した「かわパラ2018」は、川崎市とフジテレビのパラスポーツ応援プロジェクト「PARA☆DO!」がタッグを組んだ、パラスポーツ体験や音楽ライブ、トークショー等が楽しめるイベントだ。
川崎市では2020東京オリンピック・パラリンピックを契機として、ダイバーシティとインクルージョン(さまざまな人が自分らしく社会の中に混ざり合えること)の象徴としてパラリンピックに重点を置き、「かわさきパラムーブメント」として様々な取り組みを進めている。

セレモニーでは、福田紀彦川崎市長と、東京2020の事前キャンプ地として川崎市を選定した英国を代表して、駐日英国大使館首席公使のデイヴィッド・エリス氏がそれぞれ挨拶したほか、PARA☆DO!公式アーティストの清貴、川崎純情小町☆、新人Hソケリッサ!のライブ&パフォーマンスも行われ、会場には多くの人が集まった。

パラスポーツ体験コーナーでは、アンプティサッカー、カローリング、ボッチャ、車いすレーサー、義足体験、サウンドテーブルテニスなど普段体験できないパラスポーツを参加者が興味津々で体験。また、VRを使ったCYBER WHEELやVR体験コーナーも設置され、最新技術を使った体験も行われていた。

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