トランプ大統領の生みの親は“政敵”マケイン議員? それは氏の最大の功績か、罪過か

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  • マケイン米上院議員について、リベラルサイトが話題に
  • マケイン議員がトランプ大統領の「産みの親」だったと指摘
  • 大統領とマケイン議員の対立を米マスコミは批判

マケイン氏がトランプ政権の親?

25日に亡くなったジョン・マケイン米上院議員について米国のマスコミが揃ってその人柄と功績を称賛する中、リベラルなニュースサイト「Vox」は同議員がトランプ政権を産み出すきっかけを作ったとする記事を掲載して注目されている。

「マケインは扇動政治家を勢いづけ、共和党をトランプに結びつける道筋をつけた」

Voxの編集長のローラ・マクガンさんの記事にはこういう小見出しがつけられた。

マケイン議員と並ぶペイリンさん

マクガンさんは、マケイン議員の政治上の最大の間違いは2008年の大統領選挙に出馬した際、副大統領候補に当時アラスカの知事だったサラ・ペイリンさんを指名したことだとする。

マケイン議員自身は「一匹狼」と呼ばれるように党派を超えた政治活動で知られ、反対党の民主党にも知己が多く、この時も元民主党の上院議員で無所属のジョー・リーバーマン氏の登用が真剣に検討したと伝えられた。

ペイリンさん

しかし、それでは共和党支持者の幅広い支援を得られないと右派で既存の政治体制に批判的なペイリンさんを選んだのだった。

ペイリンさんはマケイン議員の期待通り「よそ者」ぶりを発揮し、副大統領候補の討論で「私は異端者」を連発してマスコミの顰蹙を買う一方で保守層の間で絶大な人気を集めた。

大統領選挙ではオバマ大統領に敗れ、マケイン議員は政治の第一線から退いたがペイリンさんはテレビのパーソナリティなどで引き続きその政治スタイルや価値観を広め、当時下火になっていた「ティーパーティ」運動を活性化させると共に、その後トランプ大統領が登場する基礎を築いたとマクガンさんは分析する。

トランプ大統領との確執

親指を下ろすマケイン議員

しかし、マケイン議員は同じ共和党でありながら何かにつけトランプ大統領に反発した。同大統領の最初に勝負を賭けた医療保険改革法案の審議でマケイン議員は議場で親指を下ろすジェスチャーをして反対票を投じたり、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と共同記者会見をしたことについて「歴代米大統領の中でも最も恥ずべき行動」と批判した。

「英雄」発言をするトランプ大統領

一方のトランプ大統領もマケイン議員について「(ベトナム戦争で)捕虜になって何が英雄だ」と言い、その死に当たっても弔辞を発表するのを拒んだと言われたり、ホワイトハウスに揚げられた半旗も2日後には通常の位置に戻され物議をかもした。

一方、マケイン議員もその遺言で「葬式には大統領を招ばないで欲しい」と伝えたと言われ、二人の確執は議員の死後も続いているようだ。

米国の主要なマスコミは、この対立の構図を利用して「善玉」のマケイン議員と相入れないトランプ大統領は「悪玉」と位置づけて批判しているが、その実マケイン議員がトランプ大統領の「産みの親」だったというVoxの指摘は、政治が意外性の産物であることを思い出させてくれる。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)

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