【東京五輪】メダルの金属集めは、逆に“不要パソコン”を無料で廃棄するチャンスでもある

カテゴリ:国内

  • 不要になったパソコンを無料で回収してくれると話題
  • 「小型家電リサイクル法」周知のため、環境省がメダルプロジェクトに協力
  • パソコンをメダルに「東京五輪に参加した新しい思い出に」

あなたの家には使わなくなったパソコンやスマホ、USBメモリなどがないだろうか?

「リサイクルにうるさくなってから電化製品を処分するのがめんどうになった」と感じている人も多いと思うが、SNS上では東京五輪に向けた『都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト』がにわかに注目されている。
不要になったパソコンを無料で回収してくれるというのがその理由だ。


出典:環境省

このプロジェクトは、「都市鉱山」と呼ばれている使用済みになった携帯電話やパソコンなどの小型家電から、金・銀・銅をリサイクルして2020年東京オリンピック・パラリンピックのメダルを製作しようとする取組みのこと。

日本の各家庭に埋蔵されている資源は世界有数の天然鉱山に匹敵する規模だとも言われているが、東京五輪では金・銀・銅あわせて5000個のメダルを用意するため、少なくとも金10kg、銀1,233kg、銅736kgが必要で、材料ロスを考慮するとさらに4倍の金属を集めなければならず、資源集めは難航しているという話も伝えられている。

出典:環境省

こうした金属集めを「戦時中のようだ」と批判的な意見も見られる中、Twitterでつい最近になって注目を集め始めたのがパソコン。

「オンボロPCを処分できるじゃん!」
「コレは地方は無理なのか?」
「初めて、オリンピック関連で有益な情報を頂きました」

など、パソコンの処分に困っていたユーザーが好意的な反応をみせたのだ。
東京五輪への貢献は結果としてであって、お金もかからず持て余していたものを処分できることに、より魅力を感じているように思える。

「家で眠っている小型家電に約840億円の価値」

そもそもこのプロジェクトは、2013年4月1日に施行された「小型家電リサイクル法」に基づいている。
これは、2001年4月1日に施行された「家電リサイクル法」とはまったく違う。

まず「家電リサイクル法」は、「エアコン」、「テレビ」、「冷蔵庫」、「洗濯機」の4品目から、有用な部品や材料を有効利用する法律で、小売業者が回収して製造メーカーがリサイクルを行う。

一方、「小型家電リサイクル法」は、携帯電話やデジカメ・ゲーム機など全28品目の家電を対象に、「鉄」「銅」「金」「銀」「リチウム」「プラチナ」などの金属をリサイクルするもので、自治体が回収して認定事業者がリサイクルを行う。


出典:環境省

家電リサイクル法で扱われる4品目は対象外なので注意してほしいが、今回のプロジェクトと小型家電リサイクル法について、環境省の担当者に詳しく聞いてみた。

――小型家電リサイクル法とは?

エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が対象の「家電リサイクル法」があります。
「小型家電リサイクル法」は、それ以外の家電が対象になると思っていただければいいと思います。


――小型家電リサイクル法とメダルプロジェクトの関係は?

いま日本には様々なリサイクル法があります。
小型家電リサイクル法は2013年4月から施行されたので、かれこれもう5年、全国の自治体を中心にして取り組んでいただいていますが、よくわからない人もまだいるのが実態だと思います。

小型家電リサイクル法で何ができるのかを含めてもっと多くの人に知ってほしいと思っていたところ、東京2020組織委員会が、入賞メダルを小型電子機器からのリサイクルで作るプロジェクトをやると発表しました。(2016年11月)
その公募には、いろんな方が応募したそうです。
小型家電リサイクル法を全国で推進する事業者は40~50社あるんですが、その中の代表的な会社も3社立候補したのです。
そこでこのプロジェクトは、小型家電リサイクル法をより多くの人に知ってもらう機会としては有効だということになり、環境省も協力することになったのです。
つまりプロジェクト自体の進行は、東京2020組織委員会なんです。


――そもそもどうして小型家電リサイクル法が始まったのか?

処分の仕方に困っているパソコンやガラケーなど、使い終わったのに捨てずに家にある小型家電は、約65万トンぐらいあるだろうと私たち推測しています。
その中にある有用金属を全部集めたとすると約840億円の価値があるという計算になります。
それがいま、机の中とか押し入れの中とかに眠っているんですよ。

もしかしたらそのままだと、破砕されて埋め立てられてしまうかもしれません。
それなら「小型家電リサイクル法」にのっとって処理させていただけると、今なら金銀銅はオリンピックパラリンピックのメダルになります。
それ以外の資源も、売却することによって地域に還元できるでしょう。
しかし、今のところ65万トン眠っているうち、集められているのは6~7万トンぐらいです。

「パソコンはどの回収方法でも無料」

出典:都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト

そして、こうした小型家電を回収してもらう方法は大きく分けて4つある。
スマホやデジカメを、役所や店頭に置かれた箱に入れてもらう「ボックス回収」。
自宅や職場など指定した場所に業者が来て持って行ってもらう「宅配回収」。
業者指定の場所に家電を持っていく「拠点回収」。
不燃ごみや粗大ごみとして、ごみステーションに捨てられた家電を自治体が選別する「ピックアップ回収」。
基本的にはすべて無料だが「宅配回収」は、パソコンが入っていないと回収料金がかかるので注意が必要だ。逆に言うと、パソコンならどの回収の方法でも無料なのだ。
(※詳細は各自治体の対応を確認してください)

――なぜパソコンは無料で宅配回収できるのか?

これはリネットジャパンという会社がやっているオリジナルのビジネスモデルです。
パソコンには様々な有用金属がいっぱい入っています。
送料を負担したとしても会社としてはペイできるという仕組みになっているんですね。
逆に、同じ小型家電でも資源価値が高くないものもあります
最たる例は扇風機などで、カサが大きいのにほぼプラスチックの塊なのでリサイクルする価値が低いんですね。

――Twitterには「自作パソコンでもいいのか」という質問が出ているが?

マザーボードが重要です。
基盤には金銀銅やチタンなど有用な資源が入っているので、それを分別して売却することによってサプライチェーン(供給の連鎖)に乗せているんです。

――「ハードディスクを抜いてもいいのか」という質問もあるが? また情報漏えいは大丈夫なのか

ハードディスクは、それほど価値がないと私は聞いています。
また情報漏えいについては、ハードディスクをフォーマットした証明書を発行するなどのサービスもあります。
認定事業者というのは、リサイクルする技術や、会社の財務体質、情報の取り扱いなどのハードルをクリアしているので、安心してお出しいただけると思います。

東京五輪後も回収を続ける

――組織委員会によると、回収期限は2019年3月末となっているがそれ以降はどうなるのか?

プロジェクトをお店に例えると、オーナーが2019年3月までと決めてるんですね。
いわば店員である私たちや、東京都、小型家電リサイクル法認定グループなどは、それにしたがってお店を運営しているわけです。
ただ「小型家電リサイクル」はその後もずっとやります
19年3月になったらメダルプロジェクトのロゴマークなどがなくなるだけです。
むしろメダルプロジェクトをやることで、多くの人に知っていただいてリピーターが増えているんじゃないでしょうか。

今も「小型家電リサイクル法」を知らなかったり、家電リサイクル法と混同している方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし都市鉱山はものすごく大きな価値があるので、メダルプロジェクトを通じて多くの人に知っていただきたい。

私もこのプロジェクトを担当するまで、ガラケーが机の中に何台かありました。
そういう家電に思い出があるのは事実ですが、オリンピックのメダルになることで今度は大会に参加した新しい思い出になります。
私はいろんなところでこういうお話しさせていただく機会が多いんですが、リサイクルについて知っていただくと、結構みなさん好意的に「出してみます」と言っていただけます。
だからやはり知っていただく努力をもっとしなければいけないのだと思っています。


メダルプロジェクトが終わっても、パソコンのリサイクルは続くということだが、どうせ処分するなら、今のうちに回収してもらい、メダルプロジェクトに貢献してみてはいかがだろうか。
あなたのパソコンで作られたメダルが世界一の選手をたたえることになると思うと、競技を一層楽しんで見られるかもしれない。


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