西日本豪雨で被災したチャンピオン 連覇への絆【岡山発】

カテゴリ:国内

  • 7月の豪雨で甚大な被害を受けた岡山県 
  • 「岡山桃太郎」という全国制覇を果たした障害者野球チームがある
  •  連覇に向け、被災した選手を支えあうチームの絆

被災したチャンピオン

岡山県高梁市のグラウンドで練習をする野球チーム「岡山桃太郎」
10代の中学生から70歳台まで幅広い年齢層の約40人が練習に励んでいる。
この「岡山桃太郎」は去年11月に行われた全日本身体障害者野球選手権大会で悲願の初優勝を果たした。

しかし7月に西日本を襲った豪雨の影響で倉敷市真備町では川の堤防が決壊。
町の3割が浸水し今でも多くの人が避難生活を送っている。

岡山桃太郎がいつも使っていた倉敷市の練習場も使えなくなってしまい普段とは違うグラウンドでの練習を余儀なくされている。

そして、岡山桃太郎には被災して練習に参加できない選手もいる。真備町に住む高越麻文さん(53)
両親と暮らす高越さんの自宅は1階部分が浸水し避難生活を送っている。

高越さんは小学生の時、交通事故で右足を失い義足での生活を送っている。
今から約20年前に同じ障害のある「桃太郎」のメンバーから誘われ障害者野球を始めた。

かつてはピッチャーとしても活躍していた高越さん。2005年の取材時に野球をする喜びをこう語っていた。
「野球をしている以上、夢というかバッターボックスではホームランを打ちたい…」

そんな高越さんを含めた「岡山桃太郎」は、本来ならばこの時期、全国大会の2連覇に向けチーム一丸となって練習に励んでいるはずだった。

チームの絆

被災したチームメイトを助けようとキャプテンの赤岩さんが立ち上がった。
岡山県北部の真庭市から駆け付け被害の大きさに驚いた赤岩さんは仲間にSNSで呼びかけた。

「だれかーてのあいているかた倉敷市の真備町 高越宅に応援ねがいたいのですが?たかが1時間でも
暑いので飲み物持参で!」「軽トラックあると助かります、猫押し5台で家財を出しています」
(原文のまま)
すると、仲間の一人、樋口さんがすぐさま反応、軽トラックで駆け付けた。

ともに喜び泣いてきた仲間の樋口さんも義足だ。そんな樋口さんは、笑顔交じりにこう話す。

高越さんが困っているこんな時に、彼の役に立っておけば、今度、宴会の時にお酒の一杯でも多めに注いでくれることもあるのかな!!と思って・・・

水につかった優勝メダル

あの日、高越さんは水が迫りくる中、大切なものだけをもって避難した。

それは岡山桃太郎のユニフォーム、そして去年優勝した時にもらった優勝メダルは、水に浸かったものの流されてはいなかった。

8月のある日、岡山桃太郎のチームメイトからお見舞いの気持ちとメッセージが高越さんのもとに届けられた。

35年前,障害者にとっては、まだまだ生きづらい時代。
障害のある人たちの「居場所」を作りたいと始まった野球チーム「岡山桃太郎」。
長い時間を過ごしてきたチームメイトは高越さんにとって家族も同然、仲間として特別な存在だった。

高越さんは、秋に開かれる全国大会2連覇に向け、9月に松山で行われる地区予選までには練習に参加したいという。同じ白球を追いかけた仲間たちの「絆」はこの苦難を乗り越える大きな力となるに違いない。