メルカリなどが出品禁止! 夏休みで困ったときの「宿題代行」は法的に問題ない?

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  • 夏休みが訪れるたびに話題になるのが「宿題代行」の存在
  • 最近では代行サービスのほかに、ネット上のフリマなどで売買も
  • 親や業者は法的な責任は問われないのか?弁護士に聞いた

文科省の要請で、3社がネット上の“宿題の出品”禁止

一部地域では2学期が既に始まっているが、夏休みが8月いっぱいという学校は多いのではないだろうか。
そんな夏休みで気が重いのは、大量に課される絵日記やドリル、自由研究といった宿題だ。新学期前日に、泣きながら溜めた宿題を一気に終わらせた経験がある人も多いかもしれない。

そして、夏休みが訪れるたびに話題になっているのが、宿題代行業者の存在だ。
学習塾などの勉強で忙しい小中学生の宿題などを請け負い、代わりに遂行するサービス。小学生の宿題で、相場はドリル1冊5000円から、読書感想文や作文は400字詰め原稿1枚につき、2500円~5000円程度とも言われている。

さらに最近では、学校の宿題として提出されることを想定した読書感想文や自由研究などの作品がネット上のフリーマケットサイトなどに出品され、売買が成立することがあるという。

文部科学省は、8月上旬に「宿題は自分でやるべきで、他人の作品を提出するのは望ましくない」として出品禁止を要請し、フリーマーケットやオークションサイトを運営する「メルカリ」「楽天」「ヤフー」の3社が、学校の宿題を想定した作品の出品を禁止した。

子どものためにならないと思える宿題の代行だが、一方で、頼んだ親や業者には、宿題を課した先生を騙したなどとして、法的な責任を問われることはないのだろうか?
教育問題に詳しいレイ法律事務所の高橋知典弁護士に話を聞いた。

「詐欺罪」や「偽計業務罪」に該当するとは考えがたい

ーー子供の代わりに宿題代行業者の利用やフリマサイトで購入。親や代行会社が「詐欺罪」などにはならないの?

宿題代行について、「詐欺罪」や「偽計業務罪」に該当する可能性は考えがたいかと思います。

「詐欺罪」は、「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立する罪であり、今回は人(先生)を欺いて、宿題を提出するのであって、学校や先生からお金等の「財物」を交付させたわけではありません。そこで「詐欺罪」にはならないと考えられます。

「偽計業務妨害罪」は、「偽計を用いて」「業務を妨害した」場合に成立する罪です。
今回は、学校の先生は当然生徒本人に宿題をやってきてもらうことを前提に、宿題を出しています。ですから、生徒本人がやらずに、宿題代行がやった宿題を先生に提出することは、「偽計を用いて」ということはできる可能性があります。

また先生は、生徒本人が解答していない偽の宿題であれば、やらなくてよかった採点・検討業務であったことになりますから、無駄な仕事をさせたことになります。その意味では、先生の「業務を妨害した」ということができるとも考えられます。

しかし、こうした内容は、被害届を学校側が出すかどうかにもよりますし、さらには同種の前例があるとも言いがたい状況です。理論上は成立する余地はあると考えられますが、「偽計業務妨害罪になる」とは言いがたいです。

ただ、特に私学の中には、平常点を厳しく評価し、夏休みの宿題とはいえ、進学との関わりが強いといえるような学校もあるようです。良い成績を取るために宿題代行などを使ったということになると、学校が深刻な問題と判断し、警察等への相談を行う場合があるかもしれません。

学校側が生徒に処分を下すことはできる

ーー提出された宿題に代行業者を利用したことが発覚。先生は宿題の受取り拒否をすることはできるの?

学校は、代行サービスなどを使ったことを理由に生徒に処分を下すことは当然できると考えられます。学校は、あくまでも、各自の生徒の成長の為に、個別の夏休みの宿題を課しています。

そこには、当然、各自生徒が自習することを前提にしていますし、さらには、学校の先生は本人達がその夏休みの宿題ができたことで、成長していることや、しっかりと頑張ったことを2学期以降の成績に反映させるわけです。

ーー宿題代行の人気の理由は何だと思いますか?

特に、宿題代行を頼む親には2種類あって、時間のない子どもの為に代わりに宿題をやって提出させたいと考える場合と、夏休みの宿題で結果を出すことで、2学期以降の成績を良くしたり、入賞を成果として進学の役に立てたいという場合が考えられます。
しかし、この両者ともに、特に後者に関してはより強く、代行が発覚した場合には、得ようとした利益以上に宿題代行発覚によって失うものが大きいと考えられます。

宿題代行が人気の背景には、親や家族が子どもと一緒に宿題をやってあげる時間がない家庭が多いというのがあるのではないかと感じます。子どもに限らず人はなかなか一人では宿題や勉強ができません。だからこそ浪人生には予備校があり、夏休みには塾の合宿や夏期講習があります。

ひと昔前であれば、親や家族の誰かが宿題を一緒にやっていたものが、今は手が足りないのかもしれません。そういった家庭の事情が原因だとすると、宿題代行を非難することを気の毒に感じる部分もあります。

しかし、なりふり構わずお金でズルをして解決した経験は、子どもの中に残ります。また、家族が監督するのが難しいのであれば、宿題代行ではなく、塾や家庭教師が一緒に宿題をやる「監督代行」も考えられるところでしょう。

遠回りや非効率的に感じることが実は一番の成長につながることがあるのはよくあることです。本人がやり遂げる成長の経験を、リスクを負って、わざわざお金を払って捨てていると思えば、宿題代行は全く効率的とは考えられないのではないでしょうか。


法的な問題になる可能性は少ないようだが、バレたら再提出をさせられたり、先生に叱られることは間違いなし。まだ、夏休みの宿題が終わっていない子ども達は、今が頑張りどきだ。

髙橋知典弁護士

髙橋知典弁護士
第二東京弁護士会所属。学校・子供のトラブルについて多くの相談、解決実績を有する。テレビ・ラジオなどの出演や、東京こども専門学校非常勤講師としても活躍する。