「やばい」も判別!? AIがあなたの気持ちにぴったりのフォントを選んでくれる画期的システム

カテゴリ:国内

  • 文章の内容に合わせて最適なイメージのフォント全12種に自動変換
  • 絵文字での判別も可能!状況に応じた「やばい」感情を表現
  • 複数の感情が含まれた長文だとどうなる? 担当者に聞いた 

“フォント” で気持ちを伝える

喜びや悲しみといった感情を文章のフォント(書体)で表現する。
そんな、今までありそうでなかったシステムを大日本印刷(DNP)が開発した。

「DNP感情表現フォントシステム」は、AIがテキストデータを解析して、文章の内容に見合ったフォントを自動的に判別。
例えば「ライブおもしろかった」と入力すると、丸みを帯びた楽しげな印象のフォントで、「テレビで怪談見て怖い」と入力すれば、血が滴るようなホラー系のフォントで表示される。

解析はリアルタイムで行われ、文中の言葉や絵文字が持つ感情・イメージによって、安らぎ、穏やか、楽しい、喜び、好き、哀れ、不安、恐怖、怒り、驚き、デジタル、ニュートラルの全12種に分類される。
そして、それぞれの分類にマッチした12種類のフォントに自動変換する。

つまり、AIが文章から入力者の感情を読み取って、フォントを選んでくれるというのだ。

どのような場面での活用を見込んでこのシステムを開発したのか?
大日本印刷の担当者に話を聞いた。

「文字は、送り手の意図や気持ちが伝わりにくい」

ーー開発の経緯・期間は?

SNSやメールなどが日常的に利用される中、声のトーンや表情が直接伝わる会話と比べて、文字によるコミュニケーションは、送り手の意図や気持ちが伝わりにくいという課題がありました。
それを解決するため、DNPは、明治時代から続くオリジナル書体「秀英体」の開発などで培ってきた文字表現技術や、印刷会社として印刷物に用いられる多様なフォント・コンテンツを用いたコミュニケーションのノウハウを活かして「DNP感情表現フォントシステム」を開発しました。
開発期間は2年ほどで、世界初かどうか厳密には言えませんが、日本国内では他に類を見ないシステムだと思います。


ーー多様な意味を持つ「やばい」という言葉は、絵文字を基準に判別しているようだが、絵文字がない場合はどうなる?

絵文字がない場合は、前後の文脈から判別します。
例えば「オバケが見える。やばい」という文章であれば、「恐怖」に分類され、血文字のようなフォントになります。
「やばい」と単語だけで入力した場合には、他の単語と同様に12種類のフォントに変換された候補が表示されるので、その中から最適なものを選択していただけます。

ーー前半が「喜び」の感情、後半が「悲しみ」の感情の長文だったら?

文章全体を総合的に解析して、より強く表れている感情にマッチしたフォントに変換されます。
また、当システムは、文章中の一部の単語だけをフォント変換するものでもありません。
例えば、運動会などの応援シーンで「よっしゃ!白組がんばれ!」と入力すると、「よっしゃ!」も「白組がんばれ!」も「喜び」を表現する「TAあっぱれR」というフォントになります。


ーーこのシステムをどう活用する?

スマートフォンで利用するSNSで使うフォントは、これまでゴシック体が主流で、少し不愛想な印象でした。
また、企業のキャラクターが自動返信するチャットボットでも、文字だけでの感情表現は難しいと言われていました。
このようなシーンで、フォントによる豊かなコミュニケーションの実現を目指します。
デジタルサイネージにおいても、デザイン経験のない人でも広告の内容に合ったフォントを簡単に選ぶことができるようになり、業務負荷を軽減して効率化を図ることができると考えています。
今後、導入先のニーズに応じた商品開発を進めていきます。

現段階でも利用者が好みのフォントを選択する機能がある「DNP感情表現フォントシステム」だが、その選択結果を収集して、AIの判別精度の向上を図るという。
さらに、ディーブラーニング(深層学習)によって、利用者の嗜好にあわせた変換の実現も見込んでいる。

また、システム開発段階のため、一般ユーザーが実際に利用できるようになる時期については未定ということだが、「要望があれば英語や中国語などへの対応も検討する」としている。

フォントで感情を表現することにより、文字によるコミュニケーションでの誤解も生まれにくくなって、やり取りがさらに楽しくなれば一石二鳥、今後どのように実用化されるか注目したい。