高知県立大学が蔵書3万8000冊を焼却。譲渡や売却は考えなかったのか?図書館の担当者に聞いた

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  • 蔵書3万8000冊を焼却処分したことが議論になっている
  • 処分リストを作成するなど入念にチェックしたうえで焼却を決めた
  • 図書に大学名が入っているため売却という発想はなかった

図書館の蔵書3万8000冊を焼却処分

高知県立大学が、図書館の新設に伴い、旧館にあった約3万8000冊の図書や雑誌を焼却処分していたことが議論となっている。

高知県立大学が8月18日、野嶋佐由美学長の名前で出したコメントによると、高知県立大学は2017年4月、永国寺キャンパスに図書館を新設。

提供・高知県立大学

新たな図書館は、広さを旧図書館の約1.5倍としたうえで、旧図書館にはないディスカッションルームやグループ学習室を設置。
座席数も大幅に増やすなど大学図書館としての機能を充実させる一方、将来、蔵書が増加し続けることを考慮し、3万8132冊の図書や雑誌を処分する方針を決定した。

内訳は、図書2万5432冊、雑誌1万2700冊。
2014~2016年度中に13回に分けて、焼却している。

焼却した図書2万5432冊のうち、複数冊所蔵している図書、いわゆる「複本」を減らしたのが1万8773冊。
残りの6659冊は複本がなく、この中には古書店でも入手が難しい絶版本や高値で取引されている図書が多数あったという。

今回の図書の焼却に関して、高知県立大学は「県民の皆様の知的財産である公立大学図書館の蔵書を立場にある大学として配慮が十分でなく、多数の図書を焼却するに至ったことについて、お詫びいたします」とコメントを発表している。

複本がない貴重な図書であるにもかかわらず、なぜ焼却という決定に至ったのだろうか?また、譲渡や売却という選択肢はなかったのだろうか?

高知県立大学、永国寺キャンパス図書情報部の担当者に話を聞いた。

入念にチェックしたうえで焼却を決めた

――「複本」がない図書を焼却した理由は?

新しい図書館の収蔵スペースを考慮したうえで、県立大学として3万8132冊の除却(管理から外すこと)を決めていたからです。
これには雑誌も含まれていますので、図書に限ると、除却を決めたのは2万5432冊となります。

複数冊所蔵している図書は基本1冊残し、もう1冊は除却することにしたのですが、これでも除却する図書は1万8773冊にとどまりました。

そのため、ここから複本がない図書を入念にチェックする作業に入りました。

まずは、司書が分類ごとに除却の候補リストを作成し、そのリストを分類に該当する専門性のある教員に見てもらい、さらに、その除却リストを全教員(約130人)に見てもらいました。

そのうえで、必要な図書は引き取っていただき、残りの6659冊を焼却処分としました。

図書に大学名が入っているため売却という発想はなかった

――焼却以外の「売却」や「譲渡」といった選択肢はなかった?

所蔵する図書には全て、大学の名前が入っているので「売却」という発想はありませんでした。

「譲渡」に関しては、県立図書館に相談はしました。
県内の公立図書館に打診、調整は可能と言われていて、検討はしたのですが、図書を長期に保管する場所がなかったことなどから、結局、譲渡は実現しませんでした。

今回の焼却処分は、意見が分かれるところではあるが、大学としては熟慮を重ねたうえでの決定だということがわかった。
高知県立大学はホームページに掲載したコメントで「公立大学の図書館として、貴重な財産である蔵書の適切な管理に努めてまいります」としている。