元側近2人"有罪”でトランプ大統領弾劾手続き開始の可能性浮上かー中間選挙の結果次第も

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  • トランプ大統領元顧問弁護士が司法取引に応じ、選挙資金法違反はトランプ氏の指示だったと証言
  • コーエン被告の担当弁護士も「トランプは違法行為を実行するよう指示した」
  • もう一人の元側近も有罪判決で、二人は量刑の軽減を狙って爆弾証言をする可能性が

「大統領弾劾を求める声を呼び起こす」?

トランプ大統領の顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏

「コーエン氏によるトランプ氏に関する主張は大統領弾劾を求める声を呼び起こすかもしれない。だが、刑事訴追には繋がらないだろう。」

“Cohen’s claim about Trump may spark calls for impeachment but is unlikely to lead to charges”

米ワシントン・ポスト紙の解説記事の見出しである。

 日本でもかなり大きく報じられているのでご承知の方も多いと思うが、おさらいをすると、コーエン氏とはトランプ氏の顧問弁護士として長年に渡って汚れ役を担ってきた元側近である。

この御仁、21日、ニューヨークの連邦裁判所に出廷し、選挙資金法違反や自分自身の脱税など計8つの罪を認め、その際、選挙資金法違反はトランプ氏の指示だったと証言したのである。

法廷内のコーエン被告の様子

「トランプは違法行為を実行するよう指示した」

選挙資金法違反とは、具体的には、トランプ氏と関係を持ったポルノ女優に13万ドルを2016年の大統領選挙投票直前に支払った件と、やはりトランプ氏と関係のあった元プレイ・メイトの告白本の出版権買い取りに関わる件で、いずれも目的は口止めで、トランプ氏の指示に従って実行したと述べたのである。

これを受け、コーエン氏の担当弁護士はツイッターで「本日、コーエン氏は、法廷で宣誓の上、証言し、ドナルド・トランプ氏が彼に対して、選挙結果を左右する目的で2人の女性に金銭を支払うという違法行為を実行するよう指示したことを明らかにした。この支払いがコーエン氏の犯罪というなら、それはドナルド・トランプ氏の犯罪でもあるのではないか?」と指摘している。

一方、いわゆるロシア疑惑とこれから派生した一連の問題で現在のトランプ大統領の法律顧問を務めるジュリアーニ弁護士(あの元ニューヨーク市長)は「コーエン氏の訴追に絡んでトランプ大統領の行動は全く問題になっていない。コーエン氏の行動は長期に渡る彼の虚言と不誠実を反映したものである。」と反発している。

現職大統領は、訴追されることはないのか?

通常、ある違法行為をした者が有罪になるなら、その行為を指示した者も基本的に同罪である。しかし、このコーエン氏の選挙資金法違反に関する限り、トランプ大統領が罪に問われる可能性は低いというのが現時点での大方の見方である。

何故ならば、現職大統領は、その職にある限り訴追されることは無いというのが、憲法に基づく司法省の見解とされていて、この点は、誰かが裁判に訴えて連邦最高裁まで争い引っ繰り返らさない限り、遵守される可能性が極めて高いからだそうである。

ただ、任期終了後の話は別らしいし、勿論のことだが、この憲法解釈が連邦議会による大統領弾劾手続きを制限するものでは全くない。

この稿冒頭に引用したワシントンポスト紙の解説記事の見出しの所以はここにある。

もう一人の側近も8つの罪で有罪に

トランプ大統領かつての側近 ポール・マナフォード被告

折しも同じ21日、もう一人のトランプ氏のかつての側近・マナフォート元選対本部長が、ヴァージニア州の連邦地裁で脱税などやはり8つの罪で有罪判決を受けた。

このマナフォート被告は、いわゆるロシア疑惑について、その核心を知り得る人物ともみられているのだが、この日問われた罪は個人の犯罪で、トランプ氏とは全く関係ない。

だが、マナフォート氏はまだ他にも幾つかの罪に問われており、全て有罪となり、法が定める一杯の量刑を科せられると合計して数十年の刑に服することになるという。年内に量刑言い渡しを控えるコーエン氏も最大で懲役80年が言い渡される可能性があるのだそうである。

司法取引で爆弾証言か

アメリカの犯罪捜査には司法取引きが多用される。そして、生涯に渡って刑務所から出てこられない程の量刑を目の前にすると、多くの被告が司法取引に応じるという。このため、2人の元側近が、量刑の軽減を狙って取引に応じ、爆弾証言をする可能性もあると気の早い向きの間では早くも取りざたされている。

もちろん、トランプ大統領は、いわゆるロシア疑惑の捜査を”魔女狩り”と批判し、先の大統領選挙においてロシアとの共謀はなかったと主張している。

また、口止め料の支払いという選挙資金法違反だけで、現在は与党・共和党が多数を占める下院が弾劾手続きを開始する可能性はゼロに近い。大統領弾劾手続きは、相当な根拠が無ければ始められるものではないし、ましてや、現時点では上下両院で少数派の民主党だけでどうこうできるものではない。

そこで注目されるのが、この2人の元側近を巡る司法手続きの行方と11月の中間選挙である。トランプ氏には大統領権限を行使して2人に恩赦を与えるという奥の手もあるのだが、それはさておき、ぎりぎりの勝負とも言われる下院の結果次第では、ワシントンの風向きが大きく変わる可能性はあるのである。

(執筆:フジテレビ 解説委員 二関吉郎)

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