北海道・美瑛町で“インスタ映え”狙いズカズカ…「安易な立ち入り」がキケンな理由

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  • 私有地に入り込んで"インスタ映え"狙う観光客のマナーが問題に
  • 観光協会「農地への立ち入りは固く禁止」 
  • 安易に農地に入ると感染被害につながることもある

写真のために不法侵入…観光地トラブル

旅行にいったらぜひ押さえておきたい、フォトジェニックな風景。
しかし、こういった"インスタ映えスポット"でのマナー違反が、SNS上で話題になっている。

様々な作物が植えられている畑が連なる「パッチワークの丘」など、ぜひ写真におさめたいスポットが数多くある北海道の美瑛(びえい)町。
趣味の撮影のため訪れたというたこすけさんは、観光客と思われる日本人が、畑の中に駐車しているのを見つけたという。
たこすけさんはその場で注意したものの「『あ、はーい』とだけで、事の重大さを理解していない様子」だったそうだ。

また、以前にも美瑛町で外国人観光客が畑に立ち入っているのを見かけたため、ジェスチャーで畑から出るように伝えたことがあるという。たこすけさんは「美瑛は農家の方々の生活の地でもある」と訴える。


こうした観光客のマナー問題は、度々話題になっているが、「綺麗な景色!」と軽い気持ちで畑に踏み込むのは、私有地への不法侵入にあたるだけでなく、取り返しのつかないことにつながる可能性があるという。
美瑛町観光協会にお話を聞いてみた。

観光協会はパトロールを強化しているが…

美瑛町の丘

――美瑛町への観光客は年間どれくらいいる?

29年度は、年間約170万人の方がいらっしゃいました。
北海道は海外への観光プロモーションも盛んなため、海外からの宿泊客は5年ほど前から急激に増えています。

――私有地への無断侵入はよくある?対策は?

年間何件という正確な数はありませんが、多いです。
観光協会では、農地への立ち入りを禁止する看板を立てたり、観光マナーを掲載した冊子(日本語・英語・中国語・韓国語)を配布しています。
また、2017年からは「観光パトロール」を配置し、観光名所の巡回をしています。


6~8月の花のシーズンに観光客が最も多くなるという美瑛町。
道に迷った観光客の案内などのため、27年前から複数台の車で観光名所を巡回する「観光アドバイザー」を配置して、案内の際にマナー冊子を配布するなどしているという。
また、去年からは午前10時から午後4時まで、パトロールランプをつけた車で巡回する「観光パトロール」も配置し、不法侵入を見つけた際は注意しているという。

美瑛町の観光協会は、何よりも「農地への立ち入りは固く禁止」と強調している。
そこには、軽い気持ちで一歩入ってしまうと取り返しがつかなくなる、あるキケンな理由があるのだ。

安易な立ち入りがキケンな理由

冊子には美瑛町は公式サイトにも公開されている「美瑛町撮影ルール」が掲載されているが、その内容は

(1)私有地である農地(畑・牧草畑・山林等)や宅地に立ち入らないこと

(2)駐車する場合、畑の出入口等を避け農業者の迷惑にならないよう気をつけること

(3)農作業車等が移動する際は、撮影を中止し邪魔にならないよう気をつけること

(4)ゴミを捨てないこと、また自分のものでなくても拾うこと


となっている。

(1)の中にはさらに「看板表示のない農地でも立ち入らないこと」「不法侵入でもあり、踏み込んだ靴の裏の菌・病害虫が作物感染被害を起こします」「冬期間、雪で覆われていても下の農地は秋まき小麦などが栽培されています」などの注意事項がある。


――農地への立ち入りは作物に被害が出る?

実際に被害があったという報告はありませんが、可能性はあります。
数年前にも口蹄疫の注意喚起があり、未然に防ぐために農地への立ち入りは固く禁止しています。

本来、きちんと消毒しなければならない靴の裏の菌や病害虫が畑に入り、作物や家畜がウイルスに感染してしまう可能性があるのだという。
そもそも不法侵入は犯罪行為なのだが、農地の踏み入りはこういった被害を出してしまう可能性があり、「怒られたら出ればいい」などということではない。

観光客同士のトラブルも…

立ち入り禁止の看板

観光協会がマナー向上に努力し、立ち入りを防いでいるものの、農地の所有者からの苦情や相談は現在も寄せられているという。

さらに、別の問題も発生している。


――農地への立ち入りの他にトラブルは?

路上の迷惑駐車があります。
写真を撮りたいスポットを見つけ、「少しだけ…」と車を路肩に止める観光客がいると、それを真似して駐車する人が増え、結果的に何台もの車が連なってしまいます。
また、立ち入り禁止区域に入っている観光客を見つけた他の観光客の方が注意し、口論になるケースなどがあります。


正しい注意を受けても"逆ギレ"する観光客もいるといい、観光客同士で注意し合うのにも難しさがあるようだ。
美瑛町のケースに限らず、自分たちが楽しむだけ楽しんで、あとのことはどうでもいい…という態度はいただけない。
目の前に広がる美しい景色を未来につなげていくためにも、きちんと観光ルールを確認した上で、清く正しく"映える"旅を楽しんでほしい。