“国に頼らず自ら守れ” 台風接近!情報は自ら取りに行くべし

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  • 避難情報がなぜ伝わらない?
  • 自己責任の認識を!
  • 「洪水警報の危険度分布」を知ろう

「特別警報」は避難の最後通告

西日本を中心に積乱雲が発達している様子が確認できる画像 7月6日20時頃 気象庁HPより

今年の7月西日本から東海地方の広い範囲を襲った記録的な豪雨は多くの尊い命を奪った。

亡くなった方はなぜ避難できなかったのか。

観測技術や予測技術の改善によって様々な防災気象情報が提供できるようになった一方で、その情報の受け取り方の課題も見えてきた。

気象庁は7月6日から実に11府県(6日に福岡、長崎、佐賀、広島、岡山、鳥取、京都、兵庫、7日に岐阜、8日に高知、愛媛)に「大雨特別警報」を発表し危機的状況を会見で伝えた。

気象庁は「特別警報」は避難の機会の最後通告と位置付けていて、この「特別警報」の発表に至るまでには避難を完了していることが望ましいとしている。そのためそれより前には「注意報、警報」に加え、都道府県と共同で出す「土砂災害警戒情報」、さらに「記録的短時間大雨情報」を発表し注意喚起をしている。

避難情報を正しく理解するには

こうした気象庁からの防災気象情報に基づき、地域防災を司る市町村長は土砂災害や浸水害、洪水害の切迫度を判断し住民に対して「避難準備・高齢者等避難開始」、「避難勧告」そして「避難指示(緊急)」といった避難に関する情報を段階的に発信するのだが、今回は発信のタイミングや的確に伝達できたかなど課題が多く指摘されている。

また情報の種類が多いことや、気象庁が発表する情報と市町村からの避難情報との違いを正しく理解して防災行動に結びつける難しさも改めて感じさせた。

 気象庁はこれまで災害時に市町村が迅速かつ的確な避難情報を発信できるよう市町村と連携強化に取り組んできた。

各地の気象台長は日頃から市町村長と「顔の見える関係」を築き、気象情報をどう読み解き避難情報に結び付けるかなど研修・訓練を行い、緊急時には気象庁の職員で編成される防災対応支援チーム(通称JETT)を派遣し、市町村長や防災担当者にその地域の特性に沿ったアドバイスを送るなどしている。

情報は自分で取りに行くべし

平成29年7月九州北部豪雨の際の危険度分布 (提供:気象庁)

それにもかかわらず避難情報は住民にうまく伝わらず、専門家の分析では被害にあった方の中には、「避難しようと思って外に出たところ」や「避難先へ車で移動中」などに命を落とした可能性が指摘されている。避難しようとしたときには、すでにかなり危険な状況になっていたことが想像できる。

“命を守るために必要な情報は自分で取に行く”

 気象庁がホームページで提供している「洪水警報の危険度分布」は、自分の住む地域を流れる河川が溢れる危険がどれくらい迫っているかを5段階の色別に地図上に表示していて、避難など防災行動の判断には有効な情報だ。

国は水位計が無い中小河川で水位の上昇を早く把握するためには「洪水警報の危険度分布」の活用が有効であると認めているが、残念ながらこの「危険度分布」の存在は広く知られているとは言いがたい。

「危険度分布」をどう周知させていくのか、そしてパソコンやスマホを使えない人に最新の防災気象情報をどう届けるかは気象庁が解決すべき次の大きな課題と言える。

7月豪雨で被災した人から「ハザードマップの存在すら知らなかった」という声は少なくなかった。自分が住む地域がどんな場所でどんな災害リスクがあるのか普段から気にしていれば、いざという時の対処は違っていたはずだ。

「洪水警報の危険度分布」を地域のハザードマップなどの情報とあわせて利用すれば、自分の身に刻々と迫る河川の氾濫の危険をより早く知ることが出来る。

自ら積極的に入手した情報と、気象庁からの気象情報、さらに市町村からの避難情報をしっかり受け取り、自らの状況を自らが考え判断することが自分と自分の家族を守ることにつながる。

観測技術が向上し、防災に関わる予測精度の高い気象情報を発信できるようになったとしても、激甚化する気象災害から命を守るためには、社会全体が意識を高め、防災情報を受け取ったひとりひとりが「わがこと」として準備し避難する的確な防災行動につなげてほしいと強く希望する。

 (執筆:フジテレビ 気象庁担当 長坂哲夫)

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