待ち時間も楽しい!? 逆転の発想で大行列のスイーツ店“自分ごと化”の秘密

カテゴリ:国内

  •  1人のスタッフが1人の客に付きっきりで作るスイーツが7時間待ちの大人気
  • 「SNS映えだけでなくアイスができる空間・時間を楽しんでほしい」
  • モノからコト(体験)消費へ。付加価値のポイントは“物語”

若い女性を中心に人気を集めている「ロールアイス」。

2017年、東京・渋谷区原宿にオープンするや大人気店となり、オープン1年で大阪や名古屋など、現在4店舗を展開している。
かわいくデコレーションされた冷たいアイスクリームを求めて、お盆休みには最長7時間待ちの行列ができた。

「見てるだけで楽しい」というSNS映え間違いなしのロールアイスを前に、お客さんは写真を撮るのに夢中。

しかし、その人気の理由は、かわいいからだけではない。
待ち時間も苦にならないという人気スイーツ店の逆転の発想に迫った。

「自分だけに作ってくれる」約6分の特別な時間

店内には男性客の姿もあり、「見てて楽しいです。すごいですよね、トントントンが」と話す。
女性客からも「作ってるのも楽しい」「いろんな工程で、あっという間だった」という声が聞かれた。

お客さんが口をそろえて楽しいと言うのが、マイナス10℃以下に冷やした鉄板に、液状のアイスクリームを薄く延ばして固め、ヘラでくるくるっとロール状にする工程。

その丸めたアイスクリームをカップに盛りつけて、かわいくトッピングをすれば、ロールアイスの出来上がりなのだが、ロールアイスは注文から完成まで、1人分を作るのに約6分かかるという。
1人のスタッフが1人の客に付きっきりになるため、回転率がいいとはいえない。

Something NEWの浅野まり社長は、「どちらかというと、客単価をなるべく落として日常利用してもらうとか、回転率を上げて客数で利益を出す、という飲食店が増えている中で、これだけ1人ひとりに時間をかけて、人件費もかけるのは、なかなか理解してもらえなかった」と話す。

だが、お客さんにとって、自分でカスタマイズしたアイスクリームが作られていく時間は、ただの待ち時間ではなく、自分だけの特別な時間。
「自分のためだけに、ロールアイスを作る時間の提供」こそが、人気の秘密なのだ。

アイス作りは、1つのエンターテインメント

浅野社長は、店の運営方針について次のように話す。
「ただ単に、できあがりがかわいいとか、インスタ映えするとかじゃなくて、お友達と一緒に、メニューを見ながら選んで迷っていただく。それから、作っている工程も見て、撮って、楽しんでいただく。トッピングがずらっと並ぶこの空間を見て、楽しんでいただく。1つのエンターテインメントというか、時間を楽しんでいただけるお店にしている」

逆転の発想で、待ち時間を“自分ごと”として体験してもらう戦略が、人気店に新たな価値を生み出している。

「体験」を売るカギは“物語”

津田塾大学の萱野 稔人教授は、「消費は『モノを買う』ことですが、それが段々『体験を買う』ことに変わってきているといわれています。これはまさにその『コト消費』ですね」と言う。

「例えば、野菜でも安売りしてただ売るよりも袋に詰め放題という形で、お客さんに実際に詰める体験をさせる創意工夫をして買ってもらう方が、集客力があるものです。キーポイントになるのは、“物語”ではないかと思います。人気店で長時間並んでやっと食べられた、というのも物語になりますし、このスイーツ店の“自分ごと化”というのもひとつの物語だと思います。それが、体験を売る上での秘訣なのだと思います」と指摘する。

(「プライムニュース α」8月20日放送分)

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