“世界に一つだけ”の最新・最速レーダーで気象予測!

カテゴリ:国内

  • 体温を超える暑さは災害
  • 豪雨と猛暑は来年も続くおそれ
  • 困難な予報もより早くより的確に

「数十年に一度の異常気象の連鎖」

災害レベルの暑さが続いた日本列島

日本の天気がおかしい。多くの方がそう感じているに違いない。

今年7月西日本から東海地方の広い範囲に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」をはじめ、ここ数年日本各地を襲った大雨は激甚化している。
豪雨が去った7月の中旬からは埼玉県熊谷市で国内史上最高気温を更新する41.1℃を記録するなど危険な猛暑に見舞われた。

記録的な猛暑について気象庁は「暑さはひとつの災害だ」と表現し、下旬に発生した台風12号は東から西に進む初めての「逆走台風」となり、8月には統計を開始して初めて「5日連続で台風が発生」するなど、これまで経験したことのない現象が相次いだ。

こうした異常事態を受けて、気象庁は8月10日に専門家による緊急の異常気象分析検討会を開き、6月後半以降日本では数十年に一度の「異常気象の連鎖が起きていた」と発表。

”息苦しくなるような圧迫感と恐怖を感じる”雨が1.6倍

各地で発生したゲリラ豪雨

この異常気象はいつまで続くのか。

異常気象と気候変動に関する第一人者であり検討会の会長を務める東京大学の中村教授は、「来年以降も続くかどうか、いま判断することはできない」としながらも、「地球温暖化による気温上昇によって大気中の水蒸気量は増えていて、今後も顕著な豪雨のおそれがある」という見解を示した。

実際に雨の降り方は以前より激しさを増している。

気象庁が定義する雨の降り方で“息苦しくなるような圧迫感と恐怖を感じる”とされる1時間に80ミリ以上の「猛烈な雨」の年間発生回数を見ると、最近10年間の年平均は約18回で、1976年に統計が開始された最初の10年間と比べて約1.6倍に増加している。

さらに1時間に100ミリや120ミリなど猛烈な雨が短時間に降った時に発表する「記録的短時間大雨情報」の1年間の発表回数は、九州北部豪雨があった去年は福岡管内の45回を含む合計109回を記録し、今年は7月の豪雨の影響や8月に上陸した台風に伴う情報発表で、すでに80回を超えている。

「記録的短時間大雨情報」が連続発表

記録的短時間大雨情報発令の流れ 気象庁HPより

さらに注目すべきは、情報が同じ地域で連続して発表されていることだ。

今年7月岐阜県内で1日7回、奈良県内で1日5回、愛媛県内で1日4回など立て続けに「記録的短時間大雨情報」が発表されていて、同じ地域で猛烈な雨が断続的に降り続いたことがわかる。

一度だけでも土砂災害や浸水害、河川の氾濫の危険があるとされる情報が複数回発表されるという異常な状況が被害を拡大させた大きな原因だ。

処理能力が10倍!新スパコン導入

局所的な現象であるため予測が難しいとされるいわゆる「ゲリラ豪雨」や積乱雲が連なって激しい降雨をもたらす「線状降水帯」などの予測の実現に向け、気象庁は観測と予測技術の改善に挑戦している。

その挑戦を後押しする強い味方を、ついに今年6月に導入。

新しいスーパーコンピュータは、これまでに比べて気象計算のプログラムをおよそ10倍の速度で処理する能力があり、より多くのデータを高速に扱うことが出来るようになった。

気象庁はこのスパコンの処理能力を最大限に活かしながら、AI=人工知能など最新の科学技術を気象の観測や予測に取り入れることで、およそ10年先の2030年までに、「ゲリラ豪雨」や竜巻など局地的で激しい現象の発生を1時間前までに精度よく予測し、スマホなどに知らせる「シビアストームアラート」と呼ばれる新たな情報発信を目指している。

官民学一体で予測技術開発

埼玉大学に設置 世界最新のテクノロジーを誇るマルチパラメーター・フェイズドアレイレーダー

一方「ゲリラ豪雨」対策に関しては、官民学一体となって予測技術を開発する動きも注目される。

内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」のひとつとして、情報通信研究機構などの研究グループは世界に一台しかない最新の気象レーダー(マルチパラメータ・フェーズドアレイレーダー)を使って、ゲリラ豪雨の発生を直前に予測する技術を開発し、今年7月から実証実験を開始している。

研究グループは予測精度をさらに高め2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技運営や防災情報に役立てたいとしている。
 
気象庁は今後、大学や外部の研究機関との更なる連携強化を表明していて“オールジャパン”での技術革新を目指す。
 
日本を襲う異常気象で激甚化する気象災害に立ち向かうためには、観測と予測に関する技術開発と観測態勢を強化し、“より早くより的確な”予測に基づく防災気象情報を発信することが不可欠だ。

(執筆:フジテレビ 気象庁担当 長坂哲夫)

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