総裁選は「真実一路」VS「正直」? 安倍首相お国入りで「気力」注入

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  • 総裁選出馬をまだ「表明していない」安倍首相 地元・山口県に「お国入り」
  • 「気力」と「体力」を見つめ直し判断…「気力」は地元のパワースポットで?
  • その後、河口湖の別荘で夏休み 「体力」のコンディションを整える?

総裁選出馬、いつ正式表明?

政治ニュースを連日賑わせている自民党の総裁選挙。9月20日投開票で調整が進められていて、現職総裁である安倍首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなる公算です。
しかし、ともすれば忘れられがちなのは、安倍首相はまだ正式には出馬を「表明していない」ということです。

安倍首相はこれまで総裁選出馬については「この夏は蝉しぐれを聞きながらよく考えたい」と述べ、明言を避けてきました。
蝉しぐれを聞いて決断する時期は果たしていつ頃なのか記者団が頭を悩ませる中、毎年恒例の首相の「お国入り」、すなわち地元・山口県への帰省の時期を迎えました。

「気力と体力」を見つめなおし判断

長門市で父の故安倍晋太郎元外相の墓参りをした首相。
その後、記者団に、自民党総裁選について「6年前に挑戦した時の志はみじんも変わらない」と述べ、立候補への意欲を重ねて示しました。

 その上で「蝉しぐれ」に続く総裁選出馬の新たなキーワードが飛び出しました。

 「夏の間にさらに3年の任期に耐える気力、体力があるかを見つめ直しながら判断したい」

出馬表明への要素として「気力」「体力」という言葉が飛び出した瞬間でした。
これを受けて、お国入りへの同行取材は、この気力と体力とめぐる首相の心中を推察するものとなりました。

「気力」を養うパワースポット

安倍首相は今回のお国入りで、3つの“パワースポット”とも言える場所を巡りました。

①安倍家のお墓参り
前述のように父のお墓参りをした安倍首相。
記者団に対し、初当選した1993年の衆院選に触れて「私の初陣は、この墓前での父に対する勝利の誓いからスタートした」と語りました。今回も総裁選での「勝利の誓い」をしたのかもしれません。

②住吉神社参拝
安倍首相が毎年決まって参拝するのは、地元・下関市にある「住吉神社」です。
昔、長門国の一の宮だった歴史ある神社で、“勝ち戦の神様”が7柱も祀られています。

一意専心の面持ちでお祈りした安倍首相。
参拝後、首相は一般の参拝客らとの写真撮影に笑顔で応じ、首相が自ら「(写真撮影を)何組かに分けようか」と仕切るなど、非常に上機嫌な様子でした。総裁選では“勝ち戦の神様”は微笑んでくれるのでしょうか。

③琴崎八幡宮
お国入り最終日、空港への道中で参拝したのは、中選挙区制時代の選挙区だった宇部市にある神社「琴崎八幡宮」でした。こちらにも“勝利・開運の神様”が祀られています。

作法通りに「茅の輪」をくぐる安倍首相。
「茅の輪くぐり」とは穢れなどをお祓いする神事で、琴崎八幡宮では夏の風物詩として親しまれています。
一般の参拝者から「これで厄が取れた!」と声をかけられると、首相は嬉しそうに笑いながら「よかった!」と応えました。

参拝を終えた首相に、参道で待っていたおばあちゃんが色紙を差し出すと、安倍首相が書いた言葉は「真実一路」でした。
普段は「至誠」や「不動心」と書くことが多い安倍首相ですが、今回は「真実一路」。
総裁選でのライバル石破氏がキャッチフレーズに「正直」と掲げたのを意識した可能性も無きにしも非ずです。

こうした「戦いの勝利」にまつわる場所をめぐることは、安倍首相にとって出馬への「気力」を確かめる機会になったのかもしれません。

地元の人気者

私が安倍首相のお国入りを取材するのは3度目でしたが、毎度驚かされるのは地元・山口県での首相の「人気ぶり」です。

地元の集いにはこぞって支援者が駆けつけるほか、首相が祭りに顔を出すと、まるで「フェス」のような盛り上がりに。首相官邸前のデモなど、「反・アベ」の動きがどうしても目立ってしまう東京とは対照的な雰囲気です。

「人気者」の首相に対して老若男女がこぞって写真撮影を求め、行く先々の現場は大混乱。
熱烈歓迎ぶりに首相はもちろん大喜びで、「2人で撮ろうか」「逆光だからこっち向こう」などと芸能人ばりのファンサービスを展開。地元の人にとっては普段は縁遠く感じられる首相が、ことさら近くに感じられるお国入りでした。

また、山口では安倍首相の確たる「一政治家」としての表情もうかがうことが出来ました。

支持者らを集めた集会後、一人一人と握手を交わす安倍首相夫妻。
首相は、写真のように力を込めて目を見開き、アイコンタクトを取って「きょうは有難うございました」話しかけ、がっちりと握手をしていました。
来場者数はおよそ300人。首相は、文字通り全員と握手をし、挨拶を交わしたのです。

首相官邸で取材をしていると、外交行事や国会答弁をこなす「一国のリーダー」としての安倍首相の印象が強いですが、そんな首相も、地元支援者に支えられる「一政治家」だということを強く感じました。
「一政治家」としての「気力」は健在であると共に、地元の支援者に新たな「気力」を注入される機会にもなったと言えるでしょう。

「体力」は河口湖で

「私もふるさとに戻ってまいりますと、美しい山並みや日本海の風景を目に焼き付け、おいしい空気を胸一杯、吸い込むことにしています。代わりに肺にたまった永田町の空気は、この際、目いっぱいはき出して帰ることにしています。
そうやって永田町の空気を全部はき出して、ふるさとの空気を吸うと、すがすがしい人間になったと思っています」

下関市での講演で、このように語った安倍首相。お国入りを通して、総裁選出馬を決める要因の一つ、「気力」が十分に養われたといえるのではないでしょうか。

「ふるさとのかき氷」安倍首相のインスタグラムより

総裁選出馬にあたり、残る要素は「体力」のみ。
安倍首相は山口から戻ると、別荘のある山梨・河口湖での夏休みに入りました。
ここでは趣味のゴルフを数回にわたって楽しみつつ、身体のコンディションを整えることにしています。

この夏休みが終われば「気力」も「体力」も備わったことになる安倍首相。休み明けの動きに注目です。

(執筆:フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)

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