現代版スターウォーズ計画か

トランプ大統領、レーガン元大統領に倣う?

カテゴリ:ワールド

  • 「宇宙軍」の評判がはかばかしくない
  • かつての「スターウォーズ計画」 に酷似?
  • 共通点が多いレーガンとトランプの時代背景

「正気の沙汰じゃない」宇宙軍?

トランプ米大統領が提唱した「宇宙軍」の評判がはかばかしくない。

「馬鹿げたアイデアだ。空軍にやらせればいい。その内に潜水艦の『海底軍』を作ろうと言い出だすかもしれない」(元宇宙飛行士マーク・ケリー氏)

「宇宙軍というと子どもの宇宙戦争ごっこを連想する。最後のフロンティアで軍事的な緊張を招くリスクなんか考えていないのだろう。正気の沙汰じゃない」(著名なキャスターのダン・ラダー氏)

大方の評価も「軍役の経験もない素人の思いつきのアイデア」というものだが、過去に同じような批判を浴びた大統領が居たことを思い出した。

レーガン時代に酷似した時代背景

SDIで対立し、物別れに終わった1986年の米ソ首脳会議(左:レーガン大統領 右:ゴルバチョフ書記長)

ロナルド・レーガン第40代大統領がその人で、1983年に人工衛星などを駆使した「戦略防衛構想(SDI)」を打ち出した時に「俳優出身の素人大統領の思いつき」と軍事、政治関係者から酷評され「SF映画」的との皮肉も込めて「スターウォーズ計画」と呼ばれた。

しかし、当時のソ連はこれを「フィクション」とは考えなかった。
SDIが現実となると、ソ連のミサイルが無力化して米国に対して決定的に劣勢になると危機感を持ったのだ。ソ連は対抗する宇宙兵器の開発を始めたが、それが財政的な破綻を招きソ連の崩壊をもたらした。

今では、SDIはレーガン大統領の「ハッタリ」だったとも言われるが、トランプ大統領はこの先人の「ハッタリ」に倣ったのではないだろうか。

SDI発表当時、ソ連はキラー衛星など衛星攻撃兵器の開発では米国より進んでいたと言われるが、それは今中国が対衛星破壊兵器の開発を進めていたり、ロシアが南極経由のミサイルの開発を発表したことなど米国が宇宙兵器開発で挽回を迫られている状況と似ている。

左:カーター大統領 右:オバマ大統領

また米国をめぐる国際環境も、レーガン大統領の前任のカーター大統領はソ連に対して「弱腰」でアフガニスタン侵攻を招いたと言われたように、トランプ大統領の前任者でやはり民主党のオバマ大統領も、ロシアのクリミア併合や中国の南シナ海の実効支配を許して今や地に落ちた威信の挽回が求められる点で同じだ。

「最後までつき進むぞ!」

こうした中で、米国が経済的に絶好調であることもレーガン時代とトランプ時代共通だ。この経済力を武器に宇宙兵器の開発競争を仕掛ければ、中国やロシアを疲弊させることができるという「読み」も感じ取れる。

「宇宙軍、最後までつき進むぞ!」
トランプ大統領、得意のツイッターで9日こう宣言した。

レーガン式「ハッタリ」効果を狙うのならば、トランプ大統領は今後もこの問題については勇ましい発言を続けそうだが、それを「できもしないことを・・・」と軽視しない方が良いだろう。

30年前も、冷戦が終わりソ連が崩壊すると考えた者はほとんど居なかったのだから。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)

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