QBハウス「1000円カット」値上げは、さらなる店舗拡大への布石か

カテゴリ:ビジネス

  • 早い・安い・丁寧でお馴染みの1000円カット「QBハウス」が値上げ発表
  • 来客者数・店舗数は、どちらも右肩上がり
  • 担当者「スタイリストという人への投資」

「1200円カット」に値上げ

カットのみに特化したサービスを提供し、いわゆる“10分1000円カット”で忙しい人やお財布の味方となっているヘアカット専門店「QBハウス」の値上げのニュースが飛び込んできた。

2019年2月1日から、通常カット代が1080円(税込)から1200円(税込)に、シニア価格が1000円(税込)から1100円(税込)に値上がりするというのだ。この値上げの理由については、店舗運営に必要な人材確保の難易度が高まっているためとしている。

QBハウスHPより

来客者数も店舗数も右肩上がりの中、なぜ値上げ?

QBハウスは、駅ナカや駅近に多く店舗を構えていて、その店舗数は8月現在、全国で542店舗・海外でも118店舗を擁する業界No.1の呼び声高い企業だ。当初は男性ばかりだったが、最近では女性や子どもの利用も目立つという。

以前、QBハウスの北野泰男社長にインタビューした記事では「10分1000円カットで時間を売っている」として、時間をかけて綺麗にカットするのも大切だが、それをいかに10分でお客様の期待している髪型にするのかを大切にしていると語っている。
(髪を切るのに最適なのは何分?QBハウス社長が語る「儲かるカラクリ」)

そんなQBハウスが発表した、まさかの値上げ。業績が悪化でもしたのだろうか。
来客者数と店舗数のデータを見てみると…

来客数データ
店舗数データ

どちらも順調すぎるほどの、綺麗な右肩上がりだった。

実は、QBハウスとしては2回目の値上げ。2014年4月の消費税増税に伴い、1000円(税込)から1080円(税込)に値上げして以来となる。今回は消費税増税のタイミングでもなければ、業績悪化というわけでもなさそうだ。

店舗運営に必要な人材確保を理由に挙げているが、担当者であるキュービーネット株式会社の谷上さんに詳しく話を聞いてみた。

値上げは“人への投資”

ーー値上げが来年2月からというタイミングの理由は?

2月は、お客様の数が一番少ない時期、いわゆる閑散期なんです。価格改定し始めは、私共のスタイリストがお客様に、価格改定について説明する余裕や時間が必要なため、年末年始である12月~1月にかけての繁忙期を避けた結果、2月からスタートとさせて頂きました。


ーー現時点で、利用者からの意見や反響は?

まだ先の事ですので、個人のお客様から電話で問い合わせなどは確認しておりませんが、インターネット上の書き込みを見ますと、ありがたいことに、好意的・ポジティブな意見が多いように見受けられます。

といいますのも、今回の価格改定はスタイリストへの待遇改善を第一としておりまして、社内でも好反応でした。それが、社外であるお客様達にも理解頂けているようで、大変嬉しく思っております。


ーー2014年、消費税増税時に値上げをした際、する前とした後で、利用客の変化などは?

前回の価格改定は4月に実施したのですが、価格改定直前である3月中旬~下旬にかけて、駆け込みでいらっしゃるお客様が多かったですね。その反動もあってか、改定直後の4月~5月に関しましては、お客様の数は減りました。

価格改定してから半年ほど経過してからですかね、夏場を越えてからは、価格改定前と変わらないくらいのお客様が、来てくれるようになりました。


ーー値段が変わるだけ?サービス内容に変化は?

サービス内容に関しましては、今までと変わらず10分で迅速・丁寧にカットさせて頂きます。繰り返しになりますが、今回の価格改定は、スタイリストという人への投資になります。

年収が低いことで知られるスタイリスト・美容師という職業をやっていく上で、離職せずに一生やっていけるような採用・育成投資を考えています。

出店の立地候補は大量にあるが、人材が足りない

ーー来年10月、消費税が10%に増税する予定だが、その際に価格改定は行う?

2月以降の状況も鑑みて、総合的に判断できればと考えております。なので、現時点では検討中とさせてください。

また、あくまでも増税のタイミングは予定でして、絶対ではありません。延期や中止なども大いに考えられます。それに加えて、東京五輪も控えておりまして、今後の状況は目まぐるしく変化することでしょう。それらを待たずに、先行投資として、今回の価格改定が決まりました。

現状、立地候補というのが連日のようにFAXで大量に届いておりまして、私共としましても、人材さえ確保できればどんどん店舗を拡大していきたいと思っております。


ーー人材確保として、具体的に行っていることは?

6年ほど前から、シャンプーしかできないスタイリストのカット技術を養成する施設、ロジスを設けております。
一般的な理美容店がデビューまで2年かかる研修を、ここでは6か月間、給料を払いながら大事に育てております。その施設が出来るまでは30%あったスタイリストの離職率が、今では10%を切るところまできました。

設立当初は20~30代の入社者が中心でしたが、口コミで評判が拡大しまして、今では50代の新人も誕生するほど、年齢層は多様化しています。



今回の価格改定は国内店舗のみということだが、QBハウスの値上げは、右肩上がりの業績の中でのさらなる店舗拡大への布石のようだった。果たして、1000円カットで馴染んだ利用客にはどう受け止められるのだろうか。