核搭載可能B-52H爆撃機の東シナ海飛行と英海軍強襲揚陸艦「アルビオン」が東京港入港

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  • 1日、東シナ海を核搭載可能なB-52Hが訓練飛行
  • 3日、東京港に入港した「アルビオン」は、国連常任理事国の一国、英国海軍の軍艦
  • ASEAN地域フォーラムでの日朝外相接触

核搭載可能B-52H爆撃機の東シナ海飛行

米空軍B-52H爆撃機

 8月2日、アメリカ太平洋艦隊とアメリカ太平洋空軍は、それぞれ8月1日に、日本近くの東シナ海で共同訓練を行ったと発表した。発表によれば、訓練に参加したのは、アメリカ本土からグアムに展開中の米空軍のB-52H爆撃機2機と、米海軍のP-8Aポセイドン哨戒機2機。

米海軍P-8Aポセイドン哨戒機

アメリカ太平洋空軍は、この訓練に参加中のB-52H爆撃機の画像を複数枚リリースしたが、そのうちの1枚が、航空軍事評論家の石川潤一氏の目を引いた。石川氏によると、「後胴側面にARR-85 VLF/LF無線機の受信アンテナが追加されている。つまり、新START条約で核戦力にカウントされている機体の可能性が高い」と言う。

石川潤一氏が指摘したB-52Hの写真

VLF/LFというのは、超長波・長波ということを意味する。アメリカ軍は、海中に潜む戦略核ミサイルを搭載した戦略ミサイル原潜に、発射指示を出すため、E-6 TACAMOや、E-4Bナイトウォッチといった特殊な電波送信装置を持った航空機を運用している。これらの航空機は飛びながら、空中に、数kmもの長さのアンテナを繰り出し、海中に伝わるように超長波や長波で指示を送信する。

戦略ミサイル原潜に発射指示が出されるなら、それは、全面核戦争に米国が突入する事態も考えられる。だから、戦略核任務を帯びたB-52Hも、その通信をモニターし、状況を掌握できるように、ARR-85の受信アンテナが追加され、新START条約で、核兵器を運用できないように改修されたB-52Hとの外観上の差異となっている。

新START条約に基づいて、ロシアが偵察衛星その他の手段で米軍をモニターする際に識別しやすくするためでもある。

核兵器搭載可能なB-52H爆撃機が搭載・運用する主要な核兵器は、射程2400㎞以上とされるAGM-86B巡航ミサイルで、最大20発搭載できる。今回公表された画像には、翼の下にはミサイルは吊り下げられていなかったが、それでも、最大8発のAGM-86Bが、機内・弾倉内に搭載可能だ。   

米空軍B-52H爆撃機

東シナ海上空を飛べば、北朝鮮全域がAGM-86Bの射程内。勿論、核兵器搭載可能なB-52Hと言っても、常に核兵器搭載任務を負っているわけではなく、前述の石川氏によれば「機材繰りでたまたまグアムに派遣されたものと推定」ということもありうる。米軍が敢えて、意図を持って、ARR-85のアンテナが確認できる画像を公開したのかどうかは、分からない。

AGM-86

ただ、北朝鮮が、1発ないし2発のICBM(大陸間弾道ミサイル)を製造している兆候があると、米ワシントン・ポスト紙に先月30日に報じられたばかりの出来事であり、B-52Hの飛行コースから、AGM-86Bの射程内に位置していた国家、例えば北朝鮮にとっては、結果として、意識せざるをえない事態だったかもしれない。

英海軍強襲揚陸艦「アルビオン」

英海軍強襲揚陸艦「アルビオン」

北朝鮮による国連安全保障理事会の制裁逃れの一つ、洋上での密輸取引、いわゆる「瀬取り」の監視活動に参加するため、派遣されたイギリス海軍の強襲揚陸艦「アルビオン」が8月3日、東京湾晴海ふ頭に入港した。

アルビオンの飛行甲板

アルビオンは全長176メートル、満載排水量:1万8797トンと日本のおおすみ型輸送艦(全長:178m 満載排水量:1万4225トン)に匹敵する大きさの軍艦。アルビオンの後部には、マーリン・ヘリコプターを3機搭載可能な飛行甲板があるが、3日取材の際には、イギリス海兵隊用の水陸両用装甲車BsV10ヴァイキングやジャッカル四輪駆動車が並んでいた。

アルビオンのドック式格納庫

飛行甲板から内部の巨大なドック式格納庫(ウエルドック)へ、急こう配のスロープでつながっていて、車両は自走して、飛行甲板からウエルドックへ。また、その逆も可能な構造だ。ドック式格納庫には、海水を注入し、艦尾の巨大なランプドアを開けば、上陸用舟艇やヴァイキングは、そのまま洋上に出ることができる。

BsV10ヴァイキング

BsV10ヴァイキングは、日本の自衛隊やアメリカ軍にはない装甲車だ。2台のクルマを前後に連結したような独特の形状。前の部分に操縦手の他、兵士3人。後部に8人の兵士が乗って、前後につなぎ合わせたような構造を利用して45度の急な勾配や高さ1メートルまでの垂直な障害を越えることができる。

洋上に浮かび、幅広の無限軌道(いわゆるキャタピラ)にゴム製の水掻きのようなモノがあり、それで、水を掻いて進み、上陸後、障害を乗り越えて進むことが出来る。8月末には、イギリス海兵隊員と海上自衛隊で上陸訓練を行うという。

アルビオン艦長・ニールズ海軍大佐

アルビオンの艦長・ニールズ海軍大佐は、3日の記者会見で「我々がこの地域にいるということは、制裁決議に対する、英国の責任を明確に表している」と述べつつ、国連安全保障理事会・常任理事国の一国として、安保理決議に基づく制裁にコミットしていることを印象付けた。英国は、北朝鮮の制裁逃れを許さない立場を行動で示した形だ。

米・仏・露・中、そして、英国の国連安全保障理事会・常任理事国の5か国は、戦略核兵器の保有国。イギリスが保有しているヴァンガード級ミサイル原潜4隻には、射程7300㎞以上のトライデントIID5戦略核ミサイルが最大16発搭載出来る。インド洋の東のエリアからなら物理的に、平壌は射程内だ。

ASEAN地域フォーラム夕食会で日朝外相接触

ASEAN地域フォーラム

こうした状況下、シンガポールで開かれた、ASEAN地域フォーラム。北朝鮮からは、北朝鮮の李容浩外相が出席し、3日夜、日本の河野外相とも“接触”した。河野大臣は拉致・核・ミサイル問題を念頭に「こちら側の考え方、基本的な立場を申し上げ、それについて様々なやり取りをした」と述べている。

北朝鮮側が、非核化の「段階的な推進」と経済制裁の『緩和』、それに『朝鮮戦争の終結』という従来の立場を変化させ、拉致・核・ミサイルで、日本や米国の考えに歩み寄るのかどうかは、予断を許さない。8月6日、73年前の広島は、原爆を投下され焦土と化した。北朝鮮の非核化が実現しない限り、「ヒロシマ」は、決して、『過去』ではない。


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