アイスランドの“氷河”を空から見てみた…合成写真じゃないの!? 撮影者と専門家に聞いてみた

カテゴリ:ワールド

  • アイスランドの“氷河”を上空から撮影したツイートが10万いいね!
  • 撮影者「はい、無加工です!!!」
  • 専門家「氷河の底面近くにあった氷は、泥で汚れていて層状になっている部分もある」

プロカメラマンがドローンで撮影

気象庁が「危険な暑さ」と表現するほどの猛暑が連日続いているが、それは日本だけの話ではない。
7月19日に、WMO(世界気象機関)は、「北半球で異常な高温や豪雨、干ばつが起きるなど、異常気象が起きている」と、警鐘を鳴らしている。

異常気象は地球規模で起きていて、温暖化の影響で北極海の氷が解けているという話も聞く。
こうした中、フォトグラファーの「わかめら」さんがTwitterに投稿したアイスランドの上空から撮った写真が3日現在、10万を超える「いいね!」がつけられ、いろんな意味で話題になっている。
それがこちら!


嘘じゃないし合成もしてないしドローン撮影jpeg撮って出しなんですが、あまりにもなんだか変な気持ちになるアイスランドの氷河の写真を見て下さい。【わかめらさん Twitterより】

「アイスランドの氷河」を上空からドローン撮影した写真ということだが、影がまったく見えず、平面のように見えることや、茶色く濁った川の色の均一さ、氷の素材感も相まって、リアルな写真ではなく合成写真のように見えるのだ。

実際に、Twitter上に寄せられているコメントを見てみると…

・合成感すごいけど合成じゃないところがもっとすごい
・鳥肌がたつほどすごい写真ですね!
・縮尺とか色とかなんか全部おかしい


など、自然の中に現れた人工物のような風景に、驚きを隠せない様子だ。

この写真は本当に合成ではないのか?そして、これは地球温暖化が引き起こす不思議な現象なのか?
いろいろな疑問がわくが、まずは写真を撮影した、わかめらさんに詳しい話を聞いてみた。

「はい、無加工です!!!」

ーーなぜアイスランドへ行こうと?

アイスランドは日本から見て最果ての地。ここは火と氷と水の国で、私たちフォトグラファーにとっては絶景しかない憧れの地だったんです。そこで、インスタグラムを通して知り合った、3人のカメラマン仲間と共に向かうことにしました。

せっかくの旅なので、この旅に #icelandjourneyfromjp というハッシュタグをつけています。私たち4人のフォロワー総勢80万人に、まとめてご覧頂きたいというのが、この旅の一番の目的です。

ーードローンで撮影した写真は、本当に加工していない?

はい、無加工です!!!
私は画像加工が好きですが、 Photoshopなどの画像編集ソフトで、バリバリやるクリエイティブデザイナーではありませんので分かりませんが、似たようなものは作れるのかも知れませんが。

Twitterの反応で皆さんが言っているように、コラージュじゃないのか?と疑うことは有り得ることだと思います。私自身、撮影してみて最初に写真を見たときは、「え?これなに?どういうこと?」と思いました。仲間にもモニターを見せて、「気持ち悪いんだけど!」と共有しました。


ーー陸から見た風景は、ドローンで空から撮影したものと全然違う?

まったく違いました。陸から見た時は、薄いブルーに見えたのと、大きい!と思いましたが、空からは青が濃く、さらに切り立っているように見えました。

地上から撮った写真

ーー日本は連日のように猛暑が続いているが、アイスランドの気候は?

涼しくてというより、寒いです!気温は10℃前後、日が出ると14~15℃ですが、風が冷たいのでマウンテンパーカーや、薄手のダウンが必須です。私たちが到着する前から、記録的な雨が続いており、大きな川はだいたい濁っています。

わかめらさんによると、アイスランドは記録的な雨続きで、どろどろと泥水が川全体に広がっているそうで、写真のような川の色になっているという。

一方、今回の合成のような写真について、氷河の専門家はどんな見解を示すのだろうか。名古屋大学 雪氷研究グループの藤田 耕史教授に地球温暖化との関係についても聞いてみた。

「氷河」ではない

ーー写真を見た印象は?温暖化と関係は?

写真に写っているのは「氷河」ではなく、氷河から崩れ落ちた氷が氷河湖に浮かんでいる様子です。どのような視覚効果、色のコントラストがこのような「合成感」を出しているのかはわかりませんが、氷河湖に接している氷河から氷が崩れ落ちて氷河湖に氷が浮かぶ、ということ自体は良くある現象と思います。温暖化とかそういったものとは無関係に生じます。

ーー氷河はどれくらいの温度で解ける・崩れる?

おおよそ0℃以上で解けます。氷河湖への崩壊は0℃以下でも生じますが、やはり気温が高い方が頻繁に生じます。

また、北海道大学北極域研究センターの方にもお話を聞くことができた。

ーー写真を見た印象は?

湖(または海)に流入する氷河の末端に見えます。このように水中に流入する氷河を、「カーピング氷河」と呼びます。黒い複数の塊は、カーピング氷河の末端部が崩れてできた氷山です。氷河の底面近くにあった氷は泥で汚れていますし、その汚れが層状になっている部分もあります。

また、背景は氷河から流入した懸濁物質で濁った湖水です。濁った水を背景に、様々な色と形の氷が浮いているので、奇妙で印象的な写真に見えるのかと思いますが、汚れた氷や濁った水は、それほど珍しいものではありません。

その後、氷山が流れ出して、湖岸に寄せられていますね。陸上に氷河が見えず、緑も見えるので、奇妙な印象を与えています。

専門家の話では、これは氷河から崩れ落ちた氷で、温暖化とは関係なくよくある現象のようだ。氷の黒っぽい色や層状になっていることの理由もわかったが、それにしても不思議な写真だ。

(写真撮影:@wacamera)