高野山の僧侶が"怒り"のコメント 急増する外国人観光客の「宿坊」トラブル

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  • 外国人観光客の批判に僧侶が厳しい返信コメント
  • 返信をした僧侶は「宿坊を完全にホテルだと思っている…」
  • 「想像と違う」とクレーム! 海外に向けた誤解を解く情報発信も必要

イギリスのガーディアン電子版が、7月27日に掲載した『僧侶でもイライラ 外国人観光客の批判に怒り、後悔』の記事が波紋を呼んでいる。

「宿坊」に対して外国人がマイナス評価…

事の発端は、和歌山県の高野山にある宿坊。

宿坊とは、お寺や神社に隣接する参拝者のための宿泊施設のことで、座禅や写経などの体験ができる場所でもあり、外国人観光客に人気が高まっている。

今回、問題となったのは、大手宿泊予約サイトにおいて、宿坊に宿泊した外国人が投稿したマイナス評価についての返信コメント。

ある外国人宿泊客が「スタッフの対応がそっけなかった」と評価。これに対して宿坊側は「なぜ、フレンドリーにしなければならないんだ??君たちは何のためにここに来ているんだ??」と回答。

また、別の外国人が「朝、お風呂に入ることが出来なかった」と評価すると、宿坊側は「日本では朝ではなく、1日の仕事を終えた夕方に風呂に入る。少しは勉強しろ」とコメントした。

返信した僧侶「少しはどういったところかを知るべき」

こういった厳しいコメントを返信していたのは、高野山に117ある寺院の1つ「赤松院」の僧侶・木村ダニエルさん。

「赤松院」は1000年以上の歴史があるお寺で、宿坊として外国人観光客も受け入れている。宿坊は、1泊2食付9450円からでテレビや風呂など宿泊施設としては整っている。

15年前にアメリカから来日し、父親の影響を受けて僧侶になったというダニエルさんは、今年から外国人宿泊客の評価に対して返信を始めたという。

だが、なぜ厳しいコメントをしていたのか。

ダニエルさんは「寺ということを分からない状態で、完全にホテルだと思っています。少しはどういったところかを知るべきではないかと思うんです。その時は自分も少しストレスを抱えていた…」と打ち明けた。

本来、宿坊とは参拝者のための宿で高級旅館やホテルのようなサービス・食事は提供されない。

そのためダニエルさんは「信仰の場所なのでその点を理解したうえで、修行のつもりで泊まっていただくということが正しい考え方ではないかと思うんです」と話した。

和歌山県によると、宿坊の外国人宿泊者は高野山全体で2012年の3万3653人から2017年は8万4333人と約2.5倍に急増し、外国人との間でトラブルも増えているという。

外国人にとって"滝行"はアクティビティ?

東京・青梅市の御岳山にある武蔵御嶽神社の参拝者のための宿坊。

トイレを洋式にしたり、シャワーを設置したりと設備面でも外国人への対応を進め、"滝行"が体験できる宿坊としても人気を集めている。

しかし、きちんと文化を理解していないことによるトラブルも多いという。

例えば、滝行の体験中に無断で撮影や雑談を行う外国人に注意をしても「なぜ、ダメなのか」と反論されてしまったという。外国人観光客は滝行を一種の"アクティビティ"ととらえていることが原因のようだ。

宿坊「駒鳥山荘」の馬場喜彦禰宜は「(外国人の宿泊者がドタキャンで)来ない。大損害です。そうすると、1泊分はチャージとして引き落としますとすると、『返せ』と言ってくることもあります」と明かした。

いま、増えている「宿坊」と「外国人」のトラブル。

そこには、現代ならではの落とし穴があるという。

航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「外国の方が実際に泊まられて『想像と違っていた』と。『ベジタリアンの食事が出ます』という表記がありますが、ただ具体的に『精進料理のような形で薄い味の料理が出る』とまでの表記がない」と指摘。

最近は、海外の宿泊予約サイトからも宿坊に予約が可能で、高級旅館やホテルとの違いを理解しないまま宿泊し、想像と異なるため、クレームをつけるのではないかという。

だが、宿坊からも誤解を解く情報発信が欠かせないといい、「英語圏だけではなく、その他の言語に対してもしっかり説明できないとトラブルの原因になると思います。宿坊について詳しい説明ができないのであれば、海外の予約サイトには載せるべきではないかもしれません」と話した。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが迫り、外国人観光客も今後増えていく中、日本の文化をどのように正しく伝えていくか、ということも課題なのかもしれない。

(「めざましテレビ」8月1日放送分より)

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