ブームの要因は?バーチャルYouTuberプロデュース会社が分析

FNNプライムセミナー第二弾(2018/07/13)リポート

  • バーチャルYouTuber(VTuber)が急増中
  • ポイントは「2Dライク」「スマホ最適」「投げ銭」
  • 「なぜ今なのか」“ミッキーマウス理論” で説明

サッカーや野球選手と並び小学生男子の「将来なりたい職業」トップ10にランキングするYouTuber。そんな世界に最近バーチャルなタレントが進出している。バーチャルYouTuberやVTuberなどと呼ばれ、カバー株式会社の代表・谷郷元昭氏もプロデュースを手がける一人である。

去る7月13日、フジテレビ社内でFNNプライムセミナー#02「バーチャルYouTuber入門」が開催された。

谷郷氏は急速に広まる「バーチャルYouTuber」について、基本的な内容からビジネス展開、未来像までを語ってくれた。その模様をお届けしたい。

バーチャルYouTuberブームの要因

カバー社がプロデュースする「ときのそら」

バーチャルYouTuberが伸びている要因として、アニメ産業が伸びているという点があります。2016年時点で市場規模は2兆円を超え、特に海外でのアニメ販売が伸びています。しかしアニメは作るのが大変で、3DCGアニメーションはピクサー社など資金力のある会社が大きなコストをかけて製作しているというのが一般的でした。

一方でバーチャルYouTuberに関しては3Dモデルを制作すれば、全部で30万円くらいの機材で動かすことができます。僕らの中では「デジタルふなっしーシステム」と呼んでいるのですが、基本的には着ぐるみショーのような仕組みです。

福田一行CTO

実際にデモをご覧いただきましょう。これはHTC VIVEというVRデバイスで動かしています。そこに立っているのが赤外線のセンサーで、3メートル×4メートルのスペースであれば空間の中を自由に動くことができます。

コントローラーや頭、腰と足の部分に取り付けたセンサーがリアルタイムに動きを取得して、カメラワークも切り替えながら配信することができます。表情の操作も手元のコントローラーで切り替える事ができます。

「2Dライク」「スマホ最適」「投げ銭」

人気の要因ですが、3DCGにも関わらず見た目が2Dアニメに近いこともポイントです。

加えて、スマホに最適化されたアニメとも言えます。外出先からYouTubeで見るというスタイルです。最近ですと、レシピ動画のDELISH KITCHENなどがコンテンツをスマホに最適化していますが、そのアニメ版というイメージが分かりやすいかもしれません。

生放送でのインタラクティブなやりとりも特徴です。生放送でユーザーさんから投げ銭を頂き、投げ銭をしてくれた方には、画面上にクマのぬいぐるみや自社のマスコットキャラを出すという演出を行っています。

バーチャルYouTuberという呼称ですが、最近はバーチャルタレントといった表現に変えていこうという動きもあります。それはYouTuberと言ってしまうと、「動画だけUPすればよい」と誤解を招くこともあるのですが、基本的にはバーチャルな“タレント”としてTwitter等で日常的に触れ合えるところがポイントだからです。

誕生は2016年のキズナアイ

バーチャルYouTuberの誕生は、2016年12月に開始したキズナアイちゃんです。当初ファンの大半は海外のアニメ好きの方でした。その後2017年11月頃に複数のキャラクターが登場したことで、バーチャルYouTuberブームというのが到来しました。リアルの芸能界に近いところがあって、四天王などと呼ばれたり。

キャラクターが増えてくると、Twitter上でキャラクター同士の掛け合いが始まり、そういう人間関係をファンの方々が楽しむようになったタイミングで、爆発的に伸び始めました。

バーチャルYouTuberはアニメファン層へのインフルエンサーであることも特徴です。複数のキャラクターで絡み合うことで、ユーザーさんの想像を駆り立て、ファンの方が二次創作をUPする。そういう画像をバーチャルYouTuber自身がTwitterでリツイートしたり、pixiv等で転載されたりしています。

ビジネスモデルは?

一般的にバーチャルYouTuberのビジネスモデルは大きく分けて2つあります。1つはライブ配信での投げ銭。もう1つは動画広告コンテンツの制作です。

我々自身で言うと『ときのそら』ちゃんというキャラクターを展開しています。もともと自社サービス「ホロライブ」を宣伝するための看板キャラクターという位置付けだったんですが、このブームを感じとり、バーチャルYouTuberとしての活動を始めました。

「なぜキャラクターに投げ銭をするんだ?」と疑問に思われる方がいるかもしれません。これまでアニメやゲームのアイドルが好きな方は、例えば「アイドルマスター」などのゲームをプレイされていました。ユーザーはゲームの中でキャラクターを成長させる為に課金をする事もあり、その流れが今につながっていると思います。

また“バーチャルな芸能界”みたいなものがふわっと誕生してきて、各キャラに対して自分が投げ銭することで衣装やステージが変わったり、バーチャルな芸能界でのヒエラルキーが上がっていきます。ある意味クラウドファンディングのような要素もあります。

面白いのが、ライブ配信が終わってキャラクターがいなくなっても、会話や投げ銭をする方がいらっしゃることです。オフ会をインターネット上でやっている感覚だと思うのですが、これまでライブ終わりに近くの喫茶店でファン同士が交流していたような事が、バーチャルYouTuberのページ上で行われているのです。

活動の幅は拡がりロケ番組に出演することも

今、バーチャルYouTuberの活動の幅は確実に拡がっています。当初はゲーム実況などゲーム広告のタイアップが多かったのですが、『ときのそら』ちゃんはクーリッシュのウェブCMにキャスティングされ、普通のタレント枠として使って頂きました。これにはネット上での拡散力が大きいという理由もあります。

『ときのそら』ちゃんで、今Twitterのフォロワー数が9万人くらいいますが、キャンペーンを展開した際にファンの方々がキャンペーンに乗っていくという現象が起きています。よりインターネットに親和性が高いタレントとして、ファンをリアルに動かす力があるのかなと思います。

なぜ今なのか?

谷郷氏のレクチャーが終わり、会場では質疑応答が行われた。

――バーチャルYouTuberのムーブメントを一過性で終わらせず、ビジネス面でも継続させていく為に、今後どのような戦略を取っていくのでしょうか?

これは各社さん異なるのかなと思います。ソーシャルゲームと同じく運営が大変なビジネスではあるのですが、そこまで稼ぎがあるわけではない。どのように収益化するか業界全体のテーマです。

これから起こりそうな事は、男性のバーチャルYouTuberですね。グループとしての活動も増えていくでしょう。たとえば女性ファンに向けて、2.5次元ミュージカルのようなコンテンツも出てくると思います。また、最初から複数のバーチャルYouTuberでストーリーを作り、アニメ化、ゲーム化も前提に、世界観ごとIP展開するケースも出てくるかもしれません。


――他のバーチャルYouTuberとの差別化ポイントは?

たとえば輝夜月(カグヤルナ)さんというキャラクターは、1枚絵の背景の前で演じているだけなのですが、ご本人のバラエティタレントに近い“タレント力”で笑わせたりしています。ただ、そこまでタレント力の高い方が大勢はいないとすると、バーチャルなスタジオのセットで様々な企画ができたり、そうした機能を開発できる開発力なども差別化のポイントになってくるのかもしれません。

――これまで弊社でもCGキャラクターをプロデュースした事はあったのですが…時代が早すぎました(笑)

そうですね、「なぜ今なのか」ということを、最近よく聞かれます。今まではCGキャラクターを作っても動かすのは難しかったので、露出の機会も限られていました。今は努力すればYouTubeやTwitter上にコンテンツを無限に生み出す事が出来るので、ユーザーともたくさん触れ合える。テレビのタレントさんも、よく見かけるから人気になる、という事があると思います。

僕はミッキーマウス理論と呼んでいるのですが、ミッキーマウスが何故あれだけ人気になったかと言うと、もちろんディスニーが生み出した良いコンテンツであることに加えて、世界初の長編アニメーション映画だったからだと思います。当時の最新のテクノロジーに乗せてどんどん波及させることによって、キャラクターが人気になっていった。バーチャルYouTuberも新しいテクノロジーに乗せることで、みなさんとの接触を増やし、それで人気が出ているという流れなのかなと思います。