インド太平洋地域の知られざる変化。注目の印Su-30MKI戦闘攻撃機が、豪ピッチブラック演習参加

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  • 多国間航空戦力演習「ピッチブラック2018」にインド空軍初参加 
  • インド空軍が送り込んだSu-30MKI戦闘攻撃機
  • 米豪2プラス2と南シナ海問題

豪空軍主催「ピッチブラック演習」

ピッチブラック演習想定CG

2年に1度の多国間航空戦力演習「ピッチブラック」が、7月27日からオーストラリアで始まった。3週間の期間中、昼夜を問わず、軍用機が飛び回るという演習で、オーストラリア・フランス・ドイツ・米国等12か国から140機、およそ4000人も参加するという大規模な演習だ。

米国からは空軍が、B-52H爆撃機2機、F-16CM戦闘機12機、米海兵隊は、F/A-18C/D戦闘攻撃機10機、MV-22オスプレイ輸送機8機など、40機。オーストラリアのEA-18Gグラウラー電子攻撃機が3機等、38機を上回る。

シンガポールからは、F-16戦闘機やF-15戦闘機。フランスからは、ラファール戦闘機が参加し、演習は多彩な軍用機が目白押しの状況だ。

初参加、インド空軍「Su-30MKI」戦闘攻撃機

ひときわ目を引くのが、今回、初参加となるインド空軍。米国製のC-130J輸送機の他、ロシアとの共同開発のSu-30MKI戦闘攻撃機を4機参加させることになった。

インド空軍・Su-30MKI戦闘攻撃機

Su-30MKIは、ロシアのSu-30MK戦闘攻撃機をベースに、インドの優れたコンピュータ・ソフトウエア技術を投入。エンジンの噴射口の向きが、動翼に連動して偏向。機動性を高めたという戦闘攻撃機だ。余談だが、その性能に目を付けたロシアが、自国向け戦闘機に発展させたのがSu-30SM戦闘攻撃機だ。

ピッチブラック演習直前に開かれた米豪2プラス2

ピッチブラックが開かれる直前にあたる7月23~24日、米国とオーストラリアは、外務・防衛閣僚級会談、いわゆるツープラスツー「2+2」をカリフォルニアで開いた。

米豪外務・防衛閣僚級会談「2+2」

今回の米豪2+2の共同声明では、インド=太平洋地域での米豪日印、それにASEANとの関係強化をうたっている。

米豪両国は南シナ海を軍事化することは、地域の平和的発展という望みに反するとして、国際法に従って、航行の自由を尊重することを強調し、北朝鮮については、米朝首脳会談を歓迎するとともに、北朝鮮の最終的な完全な非核化を達成するための圧力を維持し、協力を強化することをうたった。その言葉通りに、ハワイ周辺では、米海軍が主催し、25か国が参加する「リムパック2018」演習が開かれ、当初、参加を予定していた中国は招待を取り消された。2012年から参加しているインドは、今年も参加している。

つまり、対中国で日米豪印が結束し、ASEAN諸国との関係も強化する方針のようにも見える。そのような方針を米豪が示したうえでの今回のピッチブラック演習だが、インド軍は、Su-30MKIのピッチブラック参加にあたり、自国の空中給油機IL-78を使用して、オーストラリアまでの遠距離飛行させたが、演習終了後の帰途は、豪空軍のKC-30空中給油機が、空中給油を行う予定だと報道されている。

これが、物理的に可能だと実証され、実現すれば、将来の緊急事態の際の豪印協力、共同作戦にもつながるかもしれない。

南シナ海問題で、米豪印の歩調は合うのか

インドは昨年1月、日米印3カ国の海上共同演習「マラバール」へオーストラリア海軍の艦船を派遣し、オブザーバー参加したいという要請ををインドに出していたが、インド側は、豪海軍の艦艇派遣ではなく、人員の派遣だけにしてはどうかと提案。これは、インドが中国に配慮したためとも見られていた。

マラバール演習(2017年1月)

マラバールに比べれば、参加国の多いピッチブラック演習は、インドにとって、参加しやすいものだったのかもしれない。インドは、中露両国が中心メンバーとなっている「上海協力機構」の正式メンバー。

ただし、今年4月の同機構の外相会合で、中国が進める「一帯一路構想」に対し、インドだけは賛成を表明しなかったという。いずれにせよ、インドのピッチブラック演習初参加はインドの米豪への皿更なる接近を世界に印象付けるものとなるかもしれない。南シナ海問題への影響が注目されることになるだろう。

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