日本のバスケは世界レベルになれる! チェアマンが断言する2つの理由

Bリーグ大河正明チェアマンインタビュー(前編)

カテゴリ:芸能スポーツ

  • Bリーグの認知度が上がっていると感じている。
  • 2つの理由から日本のバスケは世界レベルになれる。
  • スポーツの産業化にもやり方がある。

3年目となるBリーグ。昨季の総入場者数は1年目よりも11.8%多い250万2931人を記録。2年目のジンクスを打破し、成長への道のりを着実に歩んでいることは証明した。

2018-19シーズンは、9月に各地で行われるアーリーカップから本格的な活動がスタート。B1とB2の限られたチームが参加した昨年と違い、韓国KBLの1チームを含めた36チームが出場し、6都市で開催される大きなイベントとなる。

「日本人がバスケットで世界と互角に戦える時代がやってくる」と話す大河正明チェアマンは、Bリーグの現状をどう思っているのか。海外に比べて足りない点などを率直に話してもらった。

2017年のアーリーカップ(写真提供:B.LEAGUE)

「1試合に1億円」の第一歩

――Bリーグの柱でもあるレギュラーシーズンでのファイナル(※)で、成功と思えたこととは何ですか? (※5月26日に行われたアルバルク東京対千葉ジェッツ)

良かったのは1万2000人強のお客さんに来ていただいて、おかげさまでチケットも即完売したということは、Bリーグの認知度が少しずつ上がってきたのかなということでよかったと思います。

チケットの単価とか総収入とか、その辺のところは気にしていたのですけれども、Bリーグの1試合で8000万円くらいのチケット収入がありました。

「1試合に1億」というのは我々の目標でもあったので、そこに踏み出せる第一歩ができたかなということです。

ファンサービスで「1試合に1億円」(写真提供:B.LEAGUE)

――サッカーW杯などもそうですが、やはり日本が強いと盛り上がります。バスケットは日本人の体格が小さいことから世界のレベルに追いつくのは大変ですが、世界と互角に戦える時代はやってくると思いますか?

やってくると思います。理由は2つあって、1つはアテネ五輪で金メダルを取ったアルゼンチンは、高校生の平均身長が日本の高校生よりも1cm高いだけです。日本の場合は「ビッグマン」と言われている大きな選手は、ゴール下に立ってリバウンドを取っておけと言われるんです。

渡邊雄太選手(身長206センチ。日米で活躍)がなぜドリブルやディフェンスができるかと言えば、小さいころ身長が小さかった。急激に背が伸びてオールラウンドになったわけですけど、最初から大きな選手もドリブルし、外からシュートを打つような指導をずっと小さいころからやっていればできるようになるので、強化をしていきたいと思います。

もう1つは日本がどういうバスケットをすればいいか、ということです。

女子は徹底的にトランジション(攻防の転換を素早くすること)で走る、第4クォーターになると相手がばてているのに、日本はまだ平気で走っているみたいなバスケットをやるんです。あとは3P。平面でバスケットをやる必要があるので、そうしたバスケットのスタイルを確立していくといいのかなと思います。

3Pシュート(写真提供:B.LEAGUE)

――海外と比べて、今のBリーグでここが足りないということはありますか?

アリーナです。各チームとも、エンターテイメント性もかなり頑張ってくれているし、選手の強化もそれなりにしっかりやっているので、何が足りないかと言うと、体育館で試合をやっていることですね。

自由にアリーナを使えない、そこがNBAやヨーロッパ、もっと言えば、中国や韓国との決定的な差であると思います。これが変わると、1日おきとか2日とばしでリーグ戦を半年間くらい継続的にやって、「Bリーグの試合がいつもどこかでやっている」という世界観ができる。

ウィンタースポーツで平日にいつでもBリーグが話題になるという世界観になるためには、ここに力を入れなければならない。だから、夢のアリーナ実現というのは、我々が最初に言ったミッションの一つであるわけですね。
体育館に行くと大体窓があるわけです。カーテンを閉めているだけで、風がピュッと流れるとせっかく暗転しているのに「そこから陽が漏れているぞ」みたいになる。アリーナには窓がないですよ、基本。コンサートもそうですけど、中に入っただけで楽しくなる。これはライト層に来てもらえる一つの要因になると思いますから、とても大事です。

中に入るだけで楽しくなる会場(写真提供:B.LEAGUE)

日本再興計画が2016年にできた中にも、新しい産業の創出ということの4番目に「スポーツを産業化していきましょう」というのが入っていて、その中心がスタジアム、アリーナと書いてあったんですね。

僕はサッカーにもいたからわかりますけど、スタジアムをプロフィットセンターにするのは相当しんどいですよ。でも、アリーナはできる、やり方によっては。

Bリーグができた1年目に集客が5割くらい増え、パーンとジャンプアップしたわけですけど、ここからの成長はそんなに5割、5割と行かないかもしれない。でも、アリーナが出揃ったときには、今の時点から見ると多分倍とか、それくらいになると僕は見ています。  NBAに追いつけというのは、さすがに僕が生きている間だと無理かもしれないけど、「NBAの次はBリーグなんだ。Bリーグで活躍するとNBAに行けるんだ」と思ってくれれば。

「そんなこと、できるわけがない」

――集客ができて、選手の給料が高いとなれば、それで憧れる子どもたちが増えることになりますよね?

いま日本人の平均年俸というのはJリーグの半分くらい、プロ野球の4分の1とか3分の1くらいです。サッカーを超えるくらいのレベルになる前に、選手の給料の総額にサラリーキャップをかけるとかという発想にいってしまうのは、自ら成長を止める議論しているのと同じじゃないですか。

上手な子が将来プロになりたいと言ったときに、お母さんから「あんたどう見てもバスケットなんて給料、報酬もらえないよ」って元々思われていましたけど、いま少し期持が出てきている。これを止めるような議論というのは、僕の立場では基本ないという感じですね。

子どもたちの憧れの職業に?(写真提供:B.LEAGUE)

「成長を大きくしていくにはどうしたらいいか?」というので、皆さん一生懸命頑張ってもらっています。千葉でも栃木でも琉球でも本当に良い集客力のあるチームが倍増の事業計画にするには、どうするか。

2020年度に沖縄に1万人規模のアリーナができますけど、それがきっかけになって、琉球は20億くらいの事業規模のチームになっている可能性がありますよね。そういうことがバスケット界、スポーツが産業化していくことだと思います。


――それぞれのチームは、期待感と、このままやっていくのは大変だと思うのと、どちらが強いでしょうか?

大変だなと思っている人は多いと思います。ただ、一流の企業はそうですけど、トップが「こう行くぞ!」と言って「そんなこと、できるわけがないじゃないか」と従業員が思うような目標をやるのが、素晴らしい企業じゃないですか。

僕がここまで行こうと思うことは、8割くらいの人が「何言っているの、チェアマン」と思うかもしれない。一つはアリーナですし、他にもいくつか経済的な面で考えていることはあります。そういったことを実行していくことで、将来への期待感とか、スポンサーやメディアの方への投資意欲を高めていくことになると思います。

【シリーズ特集】Bリーグのススメ

【B.LEAGUE EARLY CUP 2018 KANTO】
https://www.bleague.jp/earlycup2018
関東大会:9月7日(金)8日(土)9日(日)会場:ブレックスアリーナ宇都宮
https://www.fujitv.co.jp/sports/basketball/earlycup/index.html

大河 正明(おおかわ まさあき)
B.LEAGUEチェアマン
1958年生、京都大学法学部卒業/1981年 三菱銀行入行 ローン事業推進室長や支店長などを歴任/2010年 日本プロサッカーリーグ入社/2015年 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長に就任

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