【動画】日本より多い?!“マワシ締めちゃった”ポーランドの少女力士たち

カテゴリ:ワールド

  • ポーランドの相撲人口5000人のうち、女子選手は900人
  • 「相撲は“魂”を鍛えることが出来る」と大人気
  • 日本の国技「相撲」はSUMOに形を変えても、現地で確実に愛されている

ワルシャワでジュニア相撲全国大会

サッカーW杯を控えた5月、対戦国の実力と素顔を探るという取材機会を得て、私は生まれて初めてポーランドを訪れた。

そのころ、日本では大相撲で女性看護師が土俵から降りるようにアナウンスされた、いわゆる「女人禁制」の問題や、ちびっこ相撲に女の子が出場できなかったなどの問題があり、相撲とジェンダーを巡る問題が連日ニュースや情報番組で取り上げられ、有識者も加わり喧々諤々の議論が行われていた。

そんな中、ワルシャワ近郊でジュニア相撲の全国大会があると聞き取材に出かけた。
会場に入り正直驚いた。この日の出場選手は300人だが、主催者によると半分の150人近くが女子選手。とにかく女子の元気が良く、会場では常に少女たちの歓声が響いていた。

長い金髪をまとめ、中には化粧を施し、マニキュアを塗った少女力士の姿もみられる。
もちろん礼に始まり礼に終わるという基本姿勢は守られているのだが、会場からは、むしろカジュアルなスポーツの匂いがした。

「相撲で“魂”を鍛える」

ポーランドでは15年前に相撲協会が設立されて以後、競技人口は増え続けて現在は5000人。そのうち女子選手は900人。日本女子相撲連盟によると日本の女子選手の登録数は約500人で、これを上回ることになる。

女子重量級で優勝したユリア・クファシェニスカさん(15)は「相撲は魂を鍛えることができる。やめようと思ったことは一度もない。いつか日本で相撲を見てみたい」と、相撲の魅力を語る。

相撲チーム「サムスン」を率いるミロスワフ・フラク監督

女子団体で銅メダルをとった相撲チーム「サムソン」を率いるミロスワフ・フラク監督は「ポーランドの相撲界では最近女性が元気だ」という。「エキゾチックでシンプルな雰囲気」が若い女性にも受け入れられているのだとポーランドでの相撲人気を説明する。

相撲を通して地域コミュニティーが一体化

少女力士たちが通うコブリン村の中学校

ポーランドの少女たちが日本の国技「相撲」とどう向き合っているのか、このチームの練習を取材させてもらうためコブリンという小さな村に向かった。

メンバーは50人だが、うち30人が女子。フラク監督は国際大会に出場するため日本を訪れたこともある相撲選手だが、中学校の教師でもある。
教育のために相撲の練習に参加してみては、と何人かの少女を誘ったところ、相撲は面白いということでクラス中の女子が次々に参加することになったという。

相撲チームの全体練習は週3回2時間程度。フラク監督は厳しい指導を行いながらも時折ゲーム的な要素も取り入れ、生徒たちが楽しんで練習に参加できるようにしている。
授業中も放課後も少女たちは一緒。相撲を通じて教師と生徒、地域コミュニティが一体化している印象を受けた。

相撲で結ばれた友情は永遠

学生スポーツをめぐっても当時は日大アメフト部のタックル問題で監督と選手の関係などが議論され重苦しい雰囲気が漂っていたが、この明るい相撲チームをみていると日本での学生スポーツも何か参考になることがあるのでは、と思ってしまった。

少女力士の一人オリヴィアさんは「前は恥ずかしがりやで自分に自信がもてなかった。相撲を始めて自分は変わった。いつか欧州選手権でメダルをとるような選手になりたい」と夢を語った。日本の国技「相撲」はSUMOに形を変えていたが、遠く離れたポーランドの少女たちに確実に愛されていた。

実は彼女たちの通う学校は来年に統廃合を控えている。また進学や就職の際にはほとんどの若者がコブリン村を出ていく。私が取材した中学生の少女たちも、共に土俵で汗をかき、笑って過ごした中学時代が終わり、それぞれの道を歩みだす。

それでも私は相撲で結ばれた少女たちの友情は永遠のような気がするのである。

(取材・動画編集・ナレーション:FNNロンドン支局 立石修支局長)

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