キッシンジャーは米ロ首脳会談を評価「とっくに開催されていなければならなかった」

トランプは歴史の節目に登場する稀有な人物だ

カテゴリ:ワールド

  • キッシンジャー氏は世界の重大事がさらにエスカレートすることを懸念
  • 「ロシアは世界の重大事を脅威として認識するユニークな国」
  • 「トランプ大統領は、時代の虚構を終わらせることができる」

「ロシアは世界の重大事を”脅威”として認識する国」

米ロ首脳会談について、米国内のトランプ米大統領の評価ははなはだかんばしくないが、あのキッシンジャー元米国務長官は別の評価をしていた。

フィナンシャル・タイムズ紙のエドワード・ルース米編集長は首脳会談の翌日、ニューヨークでキッシンジャー氏と昼食を共にしながらインタビューした。20日付けで同紙電子版に掲載された記事によると、キッシンジャー氏はまず会談についてこう述べている。

「会談はとっくに開催されていなければならないものだった。私は数年前からそれを主張してきたが、米国の国内事情で沈んでしまった。まぎれもなく好機を失っていたわけだ。とは言え、誰かが修復しなければならなかった。シリアやウクライナの現状をみれば分かることだ。ロシアという国は、世界のどこで起きる重大事でもその影響を受けると考え、脅威として認識するユニークな特徴を持っている。そうした重大事は続き、エスカレートすることを私は懸念している」

「トランプは歴史上の稀な人物」

キッシンジャー氏は、西欧がプーチンがクリミヤを併合する数年前からロシアは西欧式の法に基づく秩序を取り入れるだろうと誤った推測を持っていたのが間違いの元だったと言い、北大西洋条約機構(NATO)も西欧からの尊敬を熱望する根強いロシアの気持ちを読み違えたと指摘した。

「NATOの過ちは、ユーラシア大陸で歴史的改革が進行していると信じ、それが西欧とは異なった価値観と対立するということを理解しなかったことだ。ロシアにとって、それは自らのアイデンティティに対する挑戦なのだ」

またキッシンジャー氏は、トランプ大統領の存在をこう表現した。

「トランプは、ある時代の終わりを告げるために時折登場する歴史上の稀な人物のひとりだと私は思う。彼はその時代の虚構を終わらせることができるのだ。彼がその役割を認識しているとは限らないし、そうした重大な選択肢を考慮しているとも限らない。彼が登場したのは偶然だったのかもしれない」

トランプは世界の救世主なのか

最後にルース氏がインタビューを総括すると、キッシンジャー氏は話をこう締めくくった。

「我々は今世界にとって非常に、非常に重大な時代にある。私は数えきれないほどの首脳会談を仕切ったが、彼らはこの(ヘルシンキの)会談については私の意見を聞こうとはしなかった」

この「彼ら」がトランプ大統領を指すのか、同大統領を批判する勢力かは定かではないが、キッシンジャー氏は世界が今重大な岐路に立っておりトランプ大統領はその行方を今までにない方向に導く稀有な指導者と考えているようだ。

ヘルシンキの米ロ首脳会談は、トランプ大統領がプーチン大統領にウィンクをしたことなどよりも、歴史的見地からの分析の必要がありそうだ。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)

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