宇宙に散骨も⁉︎自分の代で「墓じまい」…これからの“お墓のカタチ”を考える

カテゴリ:暮らし

  • スタンダードな和型・洋型だけでなく、自由なデザインやQRコード付きのお墓も
  • 一方、後継者不足で「墓じまい」を選ぶ人は「レンタル墓」や「バーチャル墓」
  • 「“お墓以外での供養”を選ぶ人が非常に増えている」

お墓は“自由に”進化中

お盆に入り、お墓参りのために帰省している人も多いだろう。
代々受け継がれ、先祖の霊をまつるお墓も、実は時代と共に進化しているのだ。

まず、何と言ってもその形状が進化している。
墓石を扱う、千葉・市川市の田中石材店・田中康雄社長にお話を聞いたところ、現在あるお墓は「和型」と呼ばれる墓石が8割、「洋型」と呼ばれる墓石が2割のシェアになっているという。

しかし、近年の人気傾向としてはこれが逆転し、注文数は「和型」が2割、「洋型」が8割を占めているのだという。

(左)和型 (右)洋型の墓石デザイン

この「洋型人気」、2011年の東日本大震災以降、和型の背の高いお墓よりも背の低い洋型の方が安定性があり、倒壊の危険が少ないということも人気のひとつの理由になっているという。

そして、日本古来のお墓のスタイルにしばられないものとして登場したのが、和でも洋でもない「デザイン墓」だ。
様々なデザインの「デザイン墓」を提供している、メモリアルアートの大野屋では、現在、注文の4分の1がデザイン墓だという。

画像:メモリアルアートの大野屋 窓(SOU)シリーズのデザイン墓。ガラスと石の組み合わせになっている

様々な素材の組み合わせや、故人が好きだったもの・職業にちなんだもの・気に入っていた旅行先の風景を模したものなど、自由にデザインできるのが一番の魅力。生前から自分のお墓をデザインする人も増えているのだという。

人生の最後を迎えるにあたって様々な準備を行う「終活」という言葉が浸透した今では、お墓も「こうしたい!」と自ら提案できる時代になっているのだ。

さらに、デザイン墓は特殊な機能も備え始めている。
石の声株式会社が提供している「チェリッシュ」シリーズの墓石には、QRコードが設置できるのだ。

(左)自宅にも置けるコンパクトサイズのお墓 (右)扉を開くとQRコードが!

QRコードを読み取ると、事前に登録した故人の情報が見られるようになっている。
コードが刻まれる部分は鍵付きになっているため、個人情報ならぬ故人の情報が盗み見られるという心配もない。
写真やプロフィールを登録しておくことで、直接会ったことのない「ご先祖さま」にも、お墓参りのたびに会えるお墓になっているのだ。

後継者不足で「墓じまい」

しかし、お墓の種類が増える一方で、少子化による後継者不足も深刻化している。
将来「墓じまい」を考える人に広まりつつあるのが「レンタル墓」や「自宅供養」というスタイルだ。

レンタル墓はその名の通り、「5年間だけ」など短期間、お墓をレンタルすること。
将来墓じまいしたい、けれどやっぱり墓石は必要…と考える人も、転勤や引っ越しが多い人でも、お墓を持つことができるというサービスだ。
また、お墓の購入はどうしても高額になってしまうが、レンタル墓なら維持費以外がかからないのも魅力だ。

石の声株式会社では、コンパクトサイズのお墓での自宅供養という方法も提案している。
自宅供養は、埋葬ではなく、自宅で遺族の元に遺骨を安置して故人をしのぶもの。
レンタル墓を一定期間利用したあとは自宅で安置する、という使い方もできる柔軟性の高いお墓のスタイルだ。
また、自宅安置の後は永代供養墓にて供養することや、遺骨自体を自然へと還す「気化葬」などの選択肢もある。

最近では「メル友」や「ママ友」ならぬ、「ハカ友」という言葉も生まれている。
「ハカ友」とはそのままズバリ「墓友達」の略で、共同で購入した同じ墓に入る友人・知人同士のこと。
高齢者向け住宅や老人ホームなどで、一緒のお墓に入る仲間を募って共同墓地を設置するところもあり、「ハカ友」同士が交流を深めるサークル活動も登場しているのだ。
以前なら一緒のお墓に入るのは家族や親戚が当たり前だったが、それが友人・知人へと広がりを見せている。

さらに、もはや「お墓がない」というのもひとつのお墓のカタチとして登場している。
それが、「バーチャル墓」「ネット霊園」と呼ばれるサービスだ。

従来の霊園や墓地・納骨堂に設置したウェブカメラの映像を自宅で見ることで、直接お墓に行かずに「お墓参り」ができるというスタイルの「バーチャル墓」もあるが、特にユニークなのは「インターネット上にだけ墓をつくり、実際の墓地を持たない」というタイプだ。

実際の墓を持たない「バーチャル墓」のメリットは、永代供養を選んだり、散骨したりして遺骨が手元になくなっても、個人的な記念碑をネット上に残せるということ。
自分の代で墓じまいをしよう、と考えている人にとって、「バーチャル墓」も選択肢のひとつというワケだ。

宇宙空間に散骨する「宇宙葬」

墓じまいを選ぶ人に広まっている、選択肢のひとつ「散骨」。
最後に、こんなロマンチックなプランをご紹介したい。

様々な散骨プランを提供している、株式会社銀河ステージのプランのひとつが「宇宙葬」だ。
これは遺骨をパウダー状にしてロケットに載せ、文字通り宇宙空間に散骨する、というもの。

遺骨を入れるカプセルと、打ち上げの証明書

最もスタンダードな「宇宙飛行プラン」では、宇宙空間に打ち上げた遺骨入りカプセルは最終的に地球の引力にひかれ、大気圏突入の際に燃え尽きるのだという。
「短時間ですが宇宙へ最後の旅行へ行って頂き、最後は流れ星に」と語る宇宙葬のプランでは、同社が提供を始めた2014年以降、これまで2回の打ち上げで5人の方が旅立ち、25人が打ち上げを待っているそうだ。
国内ではまだまだ利用者は少ないが、宇宙葬事業が開始してから世界では1200人以上が利用しているという。

気になる値段は、標準クラス・シングル(1g)で「宇宙飛行プラン」の45万円(税別)から「宇宙探検プラン」の250万円(税別)まである。

銀河ステージのメモリアルプランナーは「これまで当たり前だった『最期はお墓へ』ではなく『お墓以外での供養』を選ばれる方が非常に増えている」と語る。

銀河ステージでは「今後国産ロケットによる国内からの遺骨カプセルの打ち上げができれば」という希望を持っていて、これが実現すれば、宇宙葬という壮大なエンディングもぐっと身近になることだろう。

様々なお墓のカタチが選べるようになった今。
「亡くなっても自分らしく」という選択肢を増やす進化と、より深く故人と繋がれる進化が、最近のお墓事情から読み取れた。