うどんをすする“虚無”…心揺さぶられる香川土産が話題!作者に聞いた

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  • はにわ作家が作った陶芸品が6万超“いいね”の大人気!
  • 名前は『のんのさん』 趣味・将来の夢などのプロフィールもあった
  • パターンは無限?「数えたことがありません」 

猛烈な暑さが続く日本列島。食欲が湧かないという人にぴったりのメニューといえば、ツルッとした喉越しが爽やかな麺料理だ。

そんな中、ある麺料理をモチーフにした“はにわ像”がツイッターに投稿され、ユーザーたちの心を揺さぶっている。
「香川で見つけた虚無です」という簡潔な紹介文の下に現れる衝撃的なビジュアルに、あなたは何を感じるだろうか?
さっそくご覧いただきたい!



な、なんだこれは…!? やわらかな曲線で形作られたうどんをすする人物。
象牙色のつややかな顔につぶらな瞳と大きな鼻、食いしん坊なおちょぼ口が配置され、こちらを見上げる表情は、うどんのおいしさを訴えかけているようにも、どこか寂しげにも見える。
なぜか箸を持たずに、器から豪快にうどんをすすり上げているのか、出しているのかも解釈が分かれそうだが、添えられた腕は細く繊細だ。


「のんのさん」という名前のこの像を見つけたのは、香川県高松市にある「道の駅 源平の里 むれ」を訪れたもじ(@Q_knsd)さん。
四国各地の特産品が並ぶお土産コーナーに鎮座してたという。

見続けていると癒されるような、不安になるような…ただ一度見たら忘れられない破壊力抜群の像である。

投稿は話題を呼び、7月23日現在で6万を超える“いいね”を獲得し、「うどんを生成する県民の像」「これはヤバイ…すっごい欲しい」「香川に住んでるけど見たことない!知らなくて戦慄してる」といったコメントが寄せられている。

県の観光協会も「うどん県」を名乗るほどの香川県を代表する特産品・讃岐うどんをPRしているようだが、謎の多いキャラクター「のんのさん」の正体をもっと知りたい!
作者の松江直樹(@eustam)さんに聞いた。

インドからも「作品を買いたい」とメールが届いた

松江直樹さんは、福祉関係の仕事をしながら和歌山を拠点に活動する“はにわ作家”。
作品は、大阪・兵庫・奈良・東京・四国・静岡などの雑貨屋などのほか、手作りアイテムの通販サイトでも販売している。

はにわ作りを始めたのは、大学4年生の頃から。
おもちゃメーカーへの就職を目指して入った大学のゼミで陶芸と出会い、のめり込んでいったという。
現在は職場で陶芸を教えることもあり、はにわの魅力を「半永久的に作品が残ること」と話す。


ーーのんのさん誕生のきっかけは? 通販でも購入できる?

香川にあるメイクメリーという雑貨屋さんにお声掛けいただいて、2010〜2011年頃から作っています。
今回のツイートによる反響で、海外のフォロワーが増えました。
インドからも「作品を買いたい」とメールが届いたのですが、のんのさんは香川のお土産ということで、牟礼の道の駅での限定発売なんです。
道の駅にも問い合わせが殺到しているようで、新たに追加注文が来ているので急いで作っています。通販については、検討中です。


ーーなぜこのようなインパクトのある見た目になった?

昔の作品はもっともっと毒気があったのですが、作るたびにデトックスされていきました。
活動をはじめて10年くらい経って、いい感じに力が抜けてきた頃に、のんのさんは生まれました。
モデルは特になく、あまり何も考えずに手が勝手に作っているという感じです。


実は、「のんのさん」はこのほかにも様々なポーズや表情があり、何種類あるのかを聞くと「パターンは数えたことはありませんが、一度の納品で、できるだけ被らないように作っているつもりです」ということだ。
松江さんのお気に入りは、鼻で麺をすすっている「のんのさん」。
他にも、頭上にうどんが載ってしまった「のんのさん」や、うどんが体に巻き付いた状態のミイラのような「のんのさん」などがいる。

麺はすすっている?出してる?

ーー「のんのさん」の正体と名前の意味は?

「うどんをすすっているオッサン」というイメージです。
名付け親は、制作を依頼された香川の雑貨屋・メイクメリーさんだったと思います。
私は「のんきなおじさん」という意味だと思っていたのですが、調べたら「神様・仏様」というような意味だそうです。


ーー趣味・座右の銘など、プロフィールを教えてください。

好きな食べ物:ノンオイルドレッシング
趣味:お遍路さん
特技:服を汚さずにカレーうどんを食べる(そもそも服は着ない)
座右の銘:座右の麺は釜玉うどん
将来の夢:メンズノンノに載ること

うわぁぁこっち見ないで!

ーー好物のうどんを食べているはずなのに、寂しそうに見えるのはなぜ?

もしかしたら見る人の気持ちの写し鏡なのかもしれません。
ちなみに、麺は吸ってる人もいれば、出してる人もいたり、吸ったり出したりしてる人もいたり、とそれぞれです。

ーー制作におけるこだわり・ポイントは?

ポーズのアイディアは、普段の生活の中で見たものを「どうにか作品にならないか」と考えますが、実際作る時は吹き替えの映画を流し見ながらあまり考えずに作っています。
うどんの部分は、注射器をはんだごてで改造したもので絞り出すようにして作っています。
表情を作るのには、陶芸用の木べらを細く削った道具を使います。陶芸を始めた頃からの手に馴染むものなので、さまざまな表現ができます。

のんのさんが箸を使わないのは、決して技術的に難しいとか面倒くさいとか、そんな理由ではなく、いろいろなバリエーションが作りやすいからです。
そういう事です。

ちなみに、ツイート画像の背後に見えるお値段3086円(税込)は、顔だけバージョンの「のんのさん」。
全身バージョンは、個体差はあるが平均して座高10cmほどで、1個3780円(税込)。
数あるポーズは「自然と思いつくというか、大げさにいうと“粘土がどうなりたいか伝わってくる”感じ」だというので、リクエストも可能なのか聞いてみると…
「あんまり無茶なものが来ないか少しこわいですけど(笑)やってみましょか」と前向きな回答が!

新作も楽しみだが、いまのところ香川でしか会えない「のんのさん」に夏休みに会いに行ってみてはいかが?



(画像提供:松江直樹さん)