「いい湯だな」最寄り銭湯の情報満載! “風呂なし物件”専門サイトが話題

カテゴリ:国内

  • 新しい部屋探しサイト 「風呂なし物件」ではなく「銭湯あり物件」
  • リリース時で、東京12区の101物件が登録。“風呂なし”平均家賃は2~5万円台
  • 正直、需要はあるのか聞いてみた

銭湯のある暮らし

全国的に35℃以上の猛暑日が続き、岐阜県多治見市では40℃に達するなど、体温を超える危険な暑さが観測されている。
暑い夏はお風呂に入るのを敬遠してしまいたくなるが、クーラーや冷たい飲み物によって冷え、汗をかいて疲れた身体を回復させるには、やはり湯船に浸かることが大切だ。(入浴の前後には水分補給を忘れずに!)

そして、たまには夕涼みに近所の銭湯へ出かけて広い湯船を堪能し、コーヒー牛乳を片手にお客さんとの会話を楽しむというのも風情があるが、中には、家賃が相対的に高い都心などで、なるべく通勤・通学に便利で安い物件がいいという理由で、いわゆる“風呂なし物件”に住んでいたり探していたりする人もいるだろう。

近くに銭湯があるかは大事な情報だというそんな人たちのために、いわゆる“風呂なし物件”と銭湯を結び付けた新しいスタイルの部屋探しサイトが7月に誕生した。

「風呂がないんじゃない、銭湯があるんだ。」を標語に掲げる「東京銭湯ふ動産」は、都心部でも安く借りられる「風呂なし」や「シャワーのみ」「バランス釜」タイプの物件情報を紹介。掲載している物件には、徒歩1~15分圏内には銭湯があるという。


「家賃6万円以下・銭湯徒歩5分以内」で検索…どうなる?

さっそく、どんなサイトなのか見てみる。
トップページをスクロールしていくと、登録されているさまざまな物件が続々と出てきて、一見すると、普通の物件サイトのようだが…右上の「SEARCH」ボタンをクリックすると、エリア・賃料・駅徒歩分数などとともに、お風呂の有無や種類・銭湯までの徒歩分数の条件が入れられる。

そこで、エリアは指定せず、「風呂なし・銭湯徒歩5分以内・駅徒歩5分以内・賃料6万円以下」にしてみると、中野区、新宿区、杉並区、大田区、目黒区、台東区にある18件がヒットした。

その中の1件、中野区にある「一の湯」から徒歩3分の物件を見てみることに。
家賃は3万円で、15㎡のワンルーム。

そして、設備など詳細情報と並んで「最寄り銭湯」の文字がある。通常、立地条件として気になるのは「最寄り駅」だが、東京銭湯ふ動産では自宅から銭湯への距離を重視しているようで、駅よりも銭湯の情報が先に記載されている。

さらに、部屋の間取り図はあるが、建物の外観の写真などはなく、そのかわりに掲載されてるのが、最寄り銭湯の外観・内部の写真。
こちらの銭湯は露天風呂もあり、マッサージチェアや漫画も用意されていて、存分にリラックスすることができそうだということがわかる。
つまり、このサイトを見ると、部屋の情報以上に、最寄りの銭湯情報がイメージしやすくなっているのだ。

サイトを運営するのは、ウェブメディア「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」を手掛ける株式会社東京銭湯。
10~30代の若年層をターゲットに銭湯文化を発信し、業界の活性化を目的として、埼玉県川口市で実際に銭湯の運営も行なっている。

銭湯ファンには魅力的なサイトだが、いわゆる“風呂なし物件”は都内にどのくらいあって、需要はどれだけあるのだろうか? 東京銭湯の担当者に聞いた。

関東の都市圏で“風呂なし物件”は6%

ーーなぜ“風呂なし”に特化した物件紹介サイトを開設することに?

「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」で、“風呂なし物件”とその近隣の銭湯を見て回る「風呂なし物件ツアー」を3年前から開催してきました。
そうするうちに、これまでの銭湯だけに特化した情報発信だけでなく、別カテゴリーへの展開といった銭湯自体の概念の拡張が必要だと感じるようになりました。
また、2016年から運営している川口市の喜楽湯では、銭湯を中心としたコミュニティが発生し、元々お客さんだった若者たちが銭湯に通い、風呂掃除を手伝い、一緒に寝泊まりし、生活をするというような「銭湯のある暮らし」が生まれています。

そこで、この度、風呂なし物件と銭湯をセットにした「銭湯のある暮らし」というライフスタイルの提案をはじめました。
不動産業を営んでいる当社のメンバーが、レトロ好きが高じて古民家鑑定士の資格を持っていることもあり、“風呂なし物件”に対しても銭湯に対しても、愛があったことが大きな理由です。


ーー“風呂なし物件”はそんなに多くないのでは?

昨今、風呂付きの住宅は当たり前のようになっています。
関東大都市圏では風呂保有率が94%ほどですが、残りの6%は風呂の無い、通称“風呂なし物件”が存在しています。

ーーどんな人に需要がある?

まず、銭湯好きの方から大変好評をいただいています。
また、都内の人気の街にも関わらず価格が安いことから、家賃を安く抑えたい学生や社会人、 単身赴任や事務所利用のため、入浴設備はなくてもいいという二拠点ユーザからの需要もあります。
他にも、物を極力所有したくないミニマリストや、地域コミュニティのハブとなる銭湯近くで暮らしたいという方にもオススメです。


ーーサイトに掲載されている物件の総数、平均家賃は?

リリース時点では12区101物件をご紹介していて、順次追加していきます。
平均家賃は、人気のエリアや物件ジャンルにより大きく異なるため単純にお答えするのは難しいですが、現在掲載されているものだと、“風呂なし物件”は2〜5万円台のものが中心となっています。
5万円以下で、誰もが渋谷や新宿などの都内中心地に住むことができるというのは、魅力のひとつです。

「最寄り銭湯」で生活リズムが整う

しかし、やはり自宅に風呂がないというのは不便ではないだろうか?
東京銭湯の社員にもサイトに記載されているような“風呂なし物件”に住んでいるスタッフがいるという。経験者はどう感じているのか、聞いてみた。


ーー家賃以外での“風呂なし物件”のメリットとは?

忙しく、情報過多になりがちな現代社会において、スマホなどを持ち込めない銭湯の浴場では、「考えない時間」を作ることができます。
また、生活時間帯も銭湯の営業時間が基準となって、生活時間が正しくなります。
そういった銭湯を生活に取りいれることによって、「無いを楽しむ」という思考を持ち、ライフスタイルを変えていければ、さまざまな現代病に対しても有効ではないかと思っています。
「風呂なし物件」=風呂がない物件ではなく、「銭湯あり物件」という考え方です。


ーーズバリ、銭湯の魅力とは?

銭湯に感じる魅力は人それぞれですが、主に次の4つではないでしょうか。
(1)広い浴槽、水風呂やサウナなど、機能面として家のお風呂ではできない「プラスアルファの入浴」ができること。
(2)建物としての面白さ・かっこよさ。銭湯ごとに設備、歴史、地域柄はさまざまです。若い世代では「レトロかわいい」と捉える人もいたり、浴場の壁に描かれたペンキ絵が好きだという人もいます。
(3)日常の中にありながら、他人と裸でつきあえる非日常の場。
(4)銭湯好き同士で語り合うことができる。

銭湯側にとっては利用者の増加、近隣ユーザー・コミュニティによるサポートが期待され、銭湯自体の持続性向上も狙っているという。
今後の展開としては、“風呂なし物件”をリノベーションして、従来のシェアハウスやシェアオフィスよりも交わりの少ない「ちょうど良い共同住宅」のモデルを生み出していく考えだ。
さらに、「銭湯を『買う。売る。建てる。』を実行し、銭湯(風呂)を中心とした街づくりができたら面白いと考えています」と話す。

サイトで気になる物件を見つけたら、詳細ページの問い合わせフォームから不動産会社への連絡が可能だ。
リリースされてから1週間が過ぎたが、すでに多くの問い合わせがきており、内見まで進んでいる案件もあるという。
実際に、サイト上でも「成約済み」となっている物件もいくつか見られる。

「最寄り銭湯」の項目から物件を検索することもできるので、お気に入りの銭湯を見つけてから近くの物件探しをしてみるのはいかがだろうか。


(画像出典:東京銭湯ふ動産 公式HP)