【西日本豪雨から学ぶ】被災について考えておきたいこと…

カテゴリ:地域

  • 平成最悪の被害をもたらした「西日本豪雨」
  • 西日本豪雨は、場所・時間で需要が変わる広域災害
  • 効率的な救援のために必要なこと

死者200人超…西日本豪雨

ついに死者が200人を超え、平成になって最悪となった西日本豪雨。犠牲となられた方々や家族の無念に言葉は詰まり、被災者となった方々にも、軽々しくお見舞いの言葉もかけられない。そうした中、私心なく、ボランティアで駆け付けた方々には、頭が下がる。

場所と時間で変わる被災者のニーズ

救援活動の前提は、ニーズ(需要)を掌握すること。今回の広域災害の特徴の一つは、被災した場所それぞれで、救援に必要な物資の種類と量、それに、して欲しいことが異なり、さらに、時間の経過とともに、需要が変わっていったということ。

飲料水が必要だったエリアに飲料水を運んでみたら、いまは薬品・食料が必要との声を聴くようなものだろうか。それは、時間の経過の結果であって、決してわがままという言葉に当てはまるものではない。

自治体・消防・警察・海上保安庁等、組織立って動けるところは、状況の掌握に大変な労力を払っていたと考えられるが、自衛隊でも、需要を掌握するのに、約30ヵ所に連絡要員を合わせて約100人送り込んだという。この規模は、東日本大震災に次ぐかもしれない。

提供:葛城マサカズさん

今回も、陸上自衛隊の装備、「野外入浴セット」が各地で活躍した。陸幕広報室に尋ねると、テント内に脱衣場とお風呂、シャワーがセットされる野外入浴セットだが、「脱衣かごはあっても、貴重品を入れるロッカーのような物はないので、貴重品は極力持って来られないように。ビニール袋を持参して、靴を入れるなど使用する側も工夫して頂ければ」とのこと。

ビニール袋など、何もない時には、ありふれた品物だが、被災時には落ち着いて、確保しておくことも重要なのだろう。

自衛隊の救援予定が分かるSNS

また、被災した側にとっても情報は重要だ。水、食料等の配給は、いつ、どこで行われる予定なのか。医療を受けられるのは、いつ、どこなのかも重要だ。自衛隊では、陸、海、空3自衛隊と内局の救援活動予定が、例えば、防衛省統合幕僚監部の公式Twitterアカウント等で見ることが出来る。是非チェックしてほしいとのことだ。

統合幕僚監部Twitterページ

被災した建物や場所から脱出するのを助けるために、駆けつけてきたのが、普段は見かけない自衛隊の装備であることもあるだろう。

患者ら約300人が一時孤立したとされる岡山県倉敷市真備町の「まび記念病院」には、周囲にあふれる水の中、陸上自衛隊員が渡河用ボートを建物の壁に付け、救援を待つ人々がいるベランダに梯子を掛けた。慣れない人が、この種のボートに乗る際には注意が必要で、ボートが建物や岸壁に付いているときには、ボートの縁に手を掛けないこと。そうでないと、腕がボートと壁の間に挟まれてしまいかねないという。

陸上自衛隊・渡河用ボート

また、「ボートのバランスが崩れては大変なので、乗る際は、隊員の指示に従って欲しい」とのこと。普段、落ち着いているときならば、言われるまでもないことかもしれないが、自戒を込めて言えば、非日常的状態に置かれると、常識的な思考が飛んでしまうかもしれない。

さらに、状況によっては、自衛隊や警察、消防のヘリコプターに救助されることもあるだろう。地上で、メインローターが回転したままのヘリコプターに乗ることになるかもしれないが、落ち着いて、乗務員や地上要員の指示に従えば、耳慣れぬ音を立て、眼の前を回転するローターに恐怖を感じなくてすむかもしれない。

効率的に救援を受けるということ

救援が効率的に行われれば、より多くの被災者が助かるはずだ。ヘリコプターやボートの乗り降りに時間が無駄に費やされることがなければ、少しでも多く往復できる。効率的な救援には、被災した方々も効率的に救援を受けるという意識が必要かもしれない。

ただ、見慣れないモノを前に、すぐ「乗り降りしろ」と言われても、戸惑うかもしれない。そのためには、どんな組織や装備が救援に来る可能性があるのか。普段、機会があれば知っておくのもよいかもしれない。

例えば自衛隊ならば、大抵の基地で年に一度、一般への基地開放日を設けて、装備を見せている。前述の「野外入浴セット」を見せているところもある。そうした機会を生かすのもよいかもしれない。誰でも、被災者になる可能性があるのだから。

能勢伸之の安全保障の他の記事