ダム緊急放流後に川氾濫…住民は“異常事態”を把握できていたのか?

カテゴリ:地域

  • 豪雨でダム放流…川の氾濫で住民死亡 
  • 防災無線で呼びかけた警戒…住民は把握できたか? 
  • 「ダム放流しなければ被害拡大の恐れ」今後の課題は? 

ダムの放流で水位急上昇…川氾濫で住民死亡

西日本に甚大な被害をもたらした、記録的豪雨。
愛媛県西予市では、7日の早朝、市内を流れる肱川が氾濫。実はこの肱川の氾濫は、町の中心部から2kmほど上流にある野村ダムの放流が大きな要因だったという。

大雨に備え、事前に貯水量を減らす対策をとっていた野村ダムだが、予想を上回る雨量のためダムは満杯に。ダムの管理者である国土交通省は、入ってきた水の量と同じ量を放流する異例の措置を取った。
 
ダムからの放流で水位は一気に上昇。野村町の中心部は広い範囲で浸水。
西予市の住民からは、ダムの放流は適切な処置だったのか?住民への周知方法は正しかったのか?疑問の声が上がっている。
 
「直撃LIVEグッディ!」のスタジオでは、危機管理教育研究所講師の後藤武志さんが解説した。


立本信吾フィールドキャスター:
ダムの放流は正しかったのか?まずは時系列をご覧ください。

“放流”連絡から避難指示まで『空白の2時間40分』

・今月7日午前2時半ごろ国交省がダムの放流を増やすことを西予市に連絡

・午前5時10分、西予市が避難指示を発令・放流が決定してから避難指示を発令する2時間40分の間に、西予市は防災無線などで警戒を促していた

・避難指示発令からダム放流まで、西予市は防災無線で避難を呼びかけ、消防団も注意喚起していた

・避難指示発令から70分後、午前6時20分に野村ダム放流

 

後藤武志氏:
ダム側と市町村側での情報のやり取りは適切に行われていると思います。問題は、受け取った自治体側が異常事態だということをどのくらい認識できていたか。それからダム側が放流することによってどういう被害が起こりそうか、きちんと予想したうえで伝えられたか、そこのコミュニケーションの部分がどうだったのか一番のポイントかなと思います。

安藤優子:
最初に放流しますよと言ってから2時間40分後に避難指示が出たということですが、こんなに時間はかかるものなのでしょうか。

後藤氏:
私も自治体の職員ですのでよくわかるんですが、まず文書を作らなければならないんです。呼びかけるための文書を作って上席者に伝え、OKが出て初めて出せるということになります。1時間や2時間かかるケースはあると思います。今回は異常事態ですので、事前に文書をどう出すか、検討ができていなかったと思いますので、それくらいの時間はかかるものと思います。

立本:
おととい(11日)国土交通省は会見で、ダムの放流は“異常洪水時防災操作”というルールにのっとったものだと説明しました。他にも…

住民は“異常事態”把握できていたのか?

<国土交通省の会見より>

「今回の放流ではダムは洪水調節機能を発揮しており、避難活動にも貢献している」

「避難指示とか避難勧告が発令されてもすべてにおいて避難されていない方がいるというのが現状。住民の方の意識向上を図っていく必要があると思う」



立本:
下流域の被害は予想されたが、想定外の雨量で放流はやむを得なかったと説明していました。

安藤:
住民の意識うんぬんの前に、住民の方にこの情報がきちんと伝わっていたのかどうかが、一番大きなポイントだと思うのですが…

木村太郎(ジャーナリスト):
防災無線で警戒を促したといいますけど、あんな豪雨の中で防災無線なんて聞こえませんよ。そのあとの避難指示もどうやって出したのか?今後も、こういう事態の時にどう指示を出すのかっていうのは問題になってくると思います。

立本:
防災無線やスピーカーで警戒を促した時間が、まさに皆さん寝ている時間帯なんですよね。

後藤氏:
皆さん寝ている時間帯ですから、避難を開始するまでのリードタイムというのも考えて、避難指示などの発令はしていかないといけないと思います。

三田友梨佳アナウンサー:
時系列を見ると、午前2時半から防災無線で警戒を促しているのに、避難所が開設されたのが午前5時。避難しようと思っても、どこに行けばいいんだろうと思ってしまいますよね…


周知方法について疑問が残る、今回のダム放流。もし緊急放流をしなかった場合、どうなっていたのだろうか。

放流しなければ被害拡大か…制御不能の恐れも

<もし放流していなかったら>

・ダムが水没し、制御不能に。降った雨がそのまま流れて、被害がより拡大していた可能性も

・ダムが決壊した場合は、大量の水が流れ込み、より広範囲に被害が出ていた可能性もある

 

後藤:
ダム上部にある構造物が損傷を受ければ、その後機能を戻すまでに時間がかかるという問題も出てきますし、最悪の場合には構造物自体が下流部に流れ、もっと大きな被害を出すということは十二分に予想ができます。今回のダム放流はやむを得なかったものと思いますね。

八嶋智人:
悲しいのは、みんなやるべきことはきちんとやっているんですよね。避難指示も、伝える時の熱量の問題もあるのかもしれない。それぞれがやるべきことをやっているのに、時間帯や経験したことのない雨量…そういったことが重なったのが大きいのかなと思います。今回、問題なくやったのに滞ってしまったところはどこなんだろうというのが、今後の何かにつながっていけばいいのかなって。

木村:
今回は、放流することや避難指示を、どう伝えて、どう受け取ったかという問題ですよね。緊急地震速報と同じことを、がけ崩れや大雨、津波などでもすべきなんですよ。技術的にはできるはずです。

安藤:
なるほど。緊急地震速報のように、反射的に行動に移すような警告の仕方というのを、考える必要があるのかもしれませんね。
 
後藤氏:
そういったことも大事ですし、どこの被災地の方も“まさかこんなことが起こるとは”って口々に言われるんですよね。自分が住んでいるところにどういったリスクがあるのか、平時からしっかり学んで、過去にあった経験を受け継いでいくことが、私はとても大事なことではないかと思います。


(「直撃LIVE グッディ!」7月13日放送分より)