「判断」が遅れたのには“先入観”や“迷い”…避難のタイミングを専門家が解説

カテゴリ:国内

  • 2016年にハザードマップを作成していたのに被害拡大
  • 「避難の判断」が遅れた背景に“先入観”や“迷い
  • 被災者に聞いた「身の危険を感じた瞬間」

避難勧告発令も「まだ大丈夫」?

西日本に甚大な被害をもたらした記録的豪雨から12日で7日目。
岡山県では、58人が死亡し、17人が安否不明となっている。

「直撃LIVEグッディ!」では、特に被害の大きかった岡山の倉敷市真備町を取材した。

真備町では、浸水区域を想定した「ハザードマップ」を一昨年、作成していた。そして今回浸水した区域は予測されていた区域とほぼ同じだった。
にも関わらず、なぜここまで被害が拡大してしまったのだろうか?

被災者に話を聞くと、「避難の判断」が遅れたのには
“先入観”や“迷い”があった可能性が見えてきた。
静岡大学防災総合センターの牛山素行教授にスタジオで聞いた。

立本信吾フィールドキャスター:
住民の方は「いつ逃げたらいいのか分からなかった」という人が多かったそうです。なぜ、避難に迷ってしまったのでしょうか?

・真備町では、小田川が氾濫危険水位に達するなどすると、避難勧告を発令する
・しかし今回は、市職員や消防団の見回りの情報から、まだ氾濫危険水位に達していない段階で避難勧告を発令(6日午後10時ごろ)
・発令直前に雨が弱まっており、実際に川を見に行き「まだ氾濫危険水位を越えないだろう」と思った人も多かったという

⇒避難勧告が発令されても「まだ大丈夫」という思いが避難を遅らせた?


グッディ!では、被災者の方へアンケートを実施した。

勧告・指示という言葉を聞いたらすぐ行動

ーーいつ避難するか迷った?

「YES」 25人  「NO」 14人


ーー迷った人が、最終的に避難したタイミングは?

身の危険を感じた瞬間:15人
倉敷市による“避難勧告”発令:5人
周辺の人が避難するのを見て:2人
気象庁による“特別警報”発令:1人
回答なし:2人


実際に避難勧告などが発令されても、避難のタイミングに迷った人は少なくないことがわかる。
災害にあった場合、どのタイミングで避難を始めるべきだったのだろうか。

牛山氏:
避難勧告が出る前の段階で、“避難準備”などの情報も出ていたと思います。
特に危険な場所にいる方は、この避難準備の段階で避難を開始する。
避難準備は「お年寄りなど時間のかかる方は避難を始めてください」という意味もあるんですが、他に「特に危険な場所にいる人は行動を開始してください」という意味もあるんです。

安藤優子:
避難準備や勧告、指示など、言葉が具体的ではないから、どこでタイミングをはかったらいいか分からない部分もあるんでしょうか。

牛山氏:
勧告と指示の違いについては分からないとよく言われるんですが、どちらも大変な状況なんです。
避難勧告、避難指示、避難なんとかっていう言葉を聞いたら、すぐに行動を起こすべきです。

ヨネスケ:
避難勧告の発令は、早ければ早いほどいいと思ってたんですが…

安藤:
今回の場合は早めに出したことによって、かえって「大丈夫じゃないか」と思ってしまったんですよね。
最後にみなさんが頼るのは、自分で見て感じた、自分の感覚みたいなものなんでしょうか。

牛山氏:
自分で感じることはとても重要なんですけど、自分の感覚だけを頼りに「これでいいんじゃないか」となるのは危険です。
ハザードマップや雨量の情報、いろんな情報を集めた上で考えるべきでしょう。


今回の被害を受けて、政府は年内に避難情報の基準を見直す考えを示している。

「言葉の意味の周知をはかっていくことに注力を」

菅官房長官:
従来とは、けた違いの豪雨被害が繰り返し発生している。
気象庁が発表する防災気象情報と自治体の避難情報の連携なども含め、検証していく必要がある。

⇒災害時の住民避難情報と、特別警報など気象情報の提供のあり方を見直す考え


安藤:
避難指示など、言葉を見直す動きはないんでしょうか?

牛山氏:
言葉は、今まで繰り返し見直されています。
気象情報と避難の連携もガイドラインが作られていますが、ほぼ毎年のように見直されているんです。いわば、途上にあると言っていいでしょうね。
私は、言葉を変えるよりも意味の周知をはかっていくことに力を入れていくべきだと思います。


(「直撃LIVE グッディ!」7月12日放送分より)