総裁三選へ布石着々も…「赤坂自民亭」に思わぬ落とし穴【リアル首相動静】

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秋に行われる自民党総裁選での三選を狙い、約9年の長期政権を目指している安倍首相。その総裁選の票固めに向けた動きが、ここに来て増えています。

負け「なし」カレーで、三選への意欲アピール!

7月4日、埼玉県を訪問した安倍首相は自民党埼玉県連が開いたタウンミーティングに出席しました。

この席では、出席者に地元名産の「梨」を使った特製カレーが振る舞われました。

カレーを食べた安倍首相は「負け『なし』カレーだ。これを食べれば負けない、そんな気持ちになりました」とあいさつ、会場は笑いに包まれました。

総裁選出馬を明言こそしないものの、会場の人たちに三選への意欲をアピール、事実上、地方票固めの一環となりました。

なお、地元名産の「梨」は「洋梨(ようなし)」です。

運転シミュレーターに大興奮!あのライバルを意識!?

このタウンミーティングに先立ち安倍首相は、さいたま市の鉄道博物館のリニューアル記念式典に出席。あいさつでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、鉄道のバリアフリー化や多言語化を進める考えを示しました。

安倍首相はさらに、新幹線の運転シミュレーターを体験しました。

西村官房副長官のツイッターより

時速が250キロを超えたあたりになると「運転すると緊張するね」と語るなど、最高時速320キロの高速運転の世界を味わっていました。

政治と鉄道といえば、総裁選で安倍首相の最大のライバルになるとみられる石破元幹事長が、政界きっての「鉄道オタク」として有名です。
2012年の総裁選で安倍首相は、石破氏との決選投票で勝利したものの、党員投票による地方票が大きな比重を占める1回目の投票では石破氏に大きく後れを取りました。

安倍首相が鉄道博物館を訪れた中で、石破氏への意識もあったのかどうか…9月の総裁選まで、新幹線のように駆け抜けられるのか注目です。

「赤坂自民亭」に出席 “安倍酒×岸田酒”どっち飲む?

安倍首相を囲む、岸田政調会長、竹下総務会長ら(西村官房副長官のツイッターより)

7月5日の夜、安倍首相は東京・赤坂の衆院議員宿舎で開催された「赤坂自民亭」という会合に参加しました。

この「赤坂自民亭」は、自民党の若手議員らが、閣僚や党幹部などと、ざっくばらんに話し合う懇談会で、今回27回目となりますが、安倍首相は初参加。
このタイミングでの参加には、総裁選に向けた議員票固めという狙いも見てとれます。

会には、総裁選に出馬するか否か思案中の岸田政調会長も参加しましたが、そこで総裁選を意識したような一幕がありました。

安倍首相の地元・山口の地酒「獺祭(だっさい)」と岸田氏の地元・広島の地酒「賀茂鶴」がそれぞれ振る舞われたのです。
参加した多くの議員は「どっちを飲むんだ」とドキッとする質問を浴びせられ、戸惑いながら結局両方飲んだといいます。

後述しますが、この会合は、のちに批判をあびることになります。

週末は九州へ・・・の予定が豪雨で予定変更に

11日、被災者を見舞う安倍首相(岡山・倉敷市の避難所)

安倍首相は週末の7日~8日にかけて、鹿児島と宮崎への出張が予定され、自民党の森山国対委員長のパーティーなどに出席するはずでした。

これも総裁選での地方票固めを意識した活動の一環とみられていました。

しかし西日本豪雨により、出張は中止となりました。大きな被害が出ているにも関わらず、自民党議員のパーティーに参加するのは理解を得られないと判断したとみられます。

そして7日は東京に残り、官邸で大雨に関する関係閣僚会議を開催しました。安倍首相は「人命第一の方針の下、救助部隊を遅滞なく投入し、被災者の救命、救助に全力を尽くしていただきたい」と、人命救助に全力をあげるよう指示しました。

さらに翌8日には、2016年の熊本地震以来となる非常災害対策本部を設置。11日から予定していたヨーロッパと中東への訪問も取りやめ、豪雨被害への対応にあたることにしました。

災害対策に専念することで、危機管理に全力で取り組む姿勢をアピールできる機会になったと見ることもできます。

危機管理に落とし穴?「赤坂自民亭」に批判噴出

ところが、豪雨被害の全容が明らかになっていく中で、5日の「赤坂自民亭」への出席が思わぬ落とし穴になりました。
豪雨により一部地域に避難指示が出る中での対応として、参加は不適切だったのではないか、災害対応の初動が遅かったのではないかという批判が野党などからあがったのです。

安倍首相が振舞った「獺祭」の製造会社も豪雨で大きな被害を受けました。

しかも、オウム真理教事件の松本智津夫元死刑囚ら7人の死刑執行のサインをした上川法相が、執行を翌日に控えながら「女将」として赤坂自民亭に参加していたことも、批判に輪をかけました。

ツイッターに写真を公開した西村副長官も「多くの方に不快な思いをさせてしまった。おわびを申し上げたいし、反省もしている」と陳謝

安倍首相は、「政府として一丸となって、発災以来全力で取り組んできた」と、対応に問題はなかったと強調していて、周辺も5日の時点では特別警報は出ておらず、大きな被害も出ていなかったと説明し、批判はあたらないとしていますが、国会最終盤に思わぬ火種を抱えた形となりました。

(政治部 首相番記者 梅田雄一郎)

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