ふるさと納税135億円!断トツ大阪・泉佐野市が、なぜ返礼品に他県の名産品も扱うのか聞いてみた

FNN.jp編集部
カテゴリ:国内

  • 泉佐野市のふるさと納税は、前年から約100億円も急増し断トツ1位!
  • 他県の名産も扱う理由は「地元の事業者が取り扱っているから」
  • 一方で、総務省は“自制ない”12自治体を実名公表

応援したい地域に寄付すると、一部の税金が控除され、さらに返礼品がもらえる「ふるさと納税」を、あなたは使っているだろうか?

総務省が6日、「ふるさと納税」の2017年度の実績を発表したが、2012年以降5年連続で過去最高金額を更新し続けていて、2017年度は前年から28%増えた3,653億円で、金額・件数ともに過去最高となった。

出典:総務省

市区町村別は大阪府・泉佐野市が断トツで1位

返礼品になりそうな特産品が多い地域といえば、北海道や九州を思い浮かべる人も多いだろう。
しかし、「ふるさと納税」の受入額の自治体別データで、No.1になったのは意外なことに大阪府の泉佐野市
いったい、どんな返礼品があるのかと市の特設サイトを見てみると、新潟県の米をはじめ、大阪名産ではなさそうな品々も並んでいる。

出典:泉佐野市ふるさと納税特設サイト

他にも、北海道の昆布・ホタテ、和歌山県の桃、大分県のウナギ、種子島のイモなど、全国各地のうまいものがズラリ。
さらに、日本全国どこでも買える缶ビールや、格安航空会社で使えるポイントなどもある。

これらの魅力的な返礼品が960種も用意してあるおかげか、泉佐野市の受入額は前年の約35億円から、なんと100億円もジャンプアップして135億円を突破。2位以下を50億円以上引き離した。
一つの自治体が100億円を超えるのは全国でも初めてだという。

出典:総務省 2017年度自治体別トップ20

ふるさと納税の“返礼品競争”に「待った!」

「ふるさと納税」は年々増え続けているが、今年4月に突然「待った」の声がかけられた。

総務省は4月1日、「ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている」、今の状態が続けば「ふるさと納税制度全体に対する国民の信頼を損なう」という通知を各都道府県あてに出した。

その中では、返礼割合(寄付額と返礼品価格の割合)を3割以下に抑えることと、返礼品は原則として地場産品にするよう見直しを求めている。

この通知には法的拘束力はないというが、はたして泉佐野市はどう受け止めているのだろうか?
そして、なぜ他県の名産品を扱っているのか?など、疑問を担当者に聞いてみた。

――ふるさと納税の寄付金が初めて100億円を突破し、全国1位になったことをどう思っている?

まず、全国の多くの方々からご寄付をいただいたことに対して、泉佐野市として厚く御礼申し上げます。
当市は財政健全化に向けて様々な施策を実施しており、ふるさと納税は、長年にわたって重点的に取り組んでいるもののひとつです。
お寄せいただいた寄付については、お申し込み時に寄付金の使途を選択していただけるようにしており、特に教育や子育て支援に積極的に活用させていただいています。
昨今、ふるさと納税をめぐる様々な議論が活発化していますが、当市としては、総務省ともしっかりと連携をとりつつ、ふるさと納税制度がつくられた意義を充分に踏まえながら、今後も健全な制度活用を図っていくこととしています。



――2017 年度に人気があった返礼品はなにか?

ふるさと納税では「肉、カニ、米」が三種の神器と言われていて、当市では特に肉のラインナップ充実に力を入れています。
そのほか、日用雑貨のカテゴリでは「泉州タオル」が、ここ数年で2~3倍に需要が伸びています。

「地元のお店が目利きしたお肉」

――泉州タオルは地元産と言えるが「肉」は? なぜ他県のフルーツや、どこでも買えるビールを扱っているのか?

当市としても、返礼品についていろいろなご意見があることは認識しており、検討のうえで随時見直しを行い、既に取扱わなくなったものもあります。
当市のように、肉・米・カニ・季節のフルーツといったふるさと納税で人気を集める地域資源が無い自治体は、アイデアで勝負するしかないと考えています。

それが当市で言えば、たとえばピーチポイント(格安航空会社で使えるポイント)であったり、地元のお店が目利きしたお肉などの返礼品であったりします。
当市としては当市産に留まらず、日本の地方を元気にできて、寄附者の方にも支持していただける取り組み・返礼品を意識しております。


――返礼品はどんな基準で選んでいるのか?

当市の返礼品は、市内に本店、支店、営業所などを置く事業者から提供いただいています。
基本的に、市内事業者が取り扱うものは隔たり無く扱いますが、例えば、外国メーカーのもの、海外から輸入し無加工で提供するものなどは、当方の独自のポリシーで掲載しないこととしています。
また、総務省が特に問題視している家電などは掲載していません。


総務省の通知は守るのか?

――総務省は原則として返礼品は地場産品にするようにとしているが、どうするのか?

地場産品については、突然の通知に困惑しているというのが正直なところですが、先の通知も含めてしっかりと受け止め、順次対応していきたいと考えています。
先般、総務省から指摘のあった宝石・自転車・高額返礼品等については、3月末に既に掲載を取りやめるなどの措置を行っています。
返礼品については、明らかに行き過ぎた部分を是正するという意味で、一定程度の枠をつくること自体は理解できますし、実際に当市においても取扱いを止めたものもあります。
とはいえ、なぜ調達率(返礼割合)3割なのか、何をもって地場産品ととらえるのかなど、きちんと地方自治体も納得できるような論議を経た基準づくりが必要ではないかと考えます。


――返礼割合は総務省が3割以下に抑えるように通知しているが、泉佐野市はどうだったのか?

昨年度は調達費 45.0%でしたが、既に見直しの意向は総務省にお伝えしていました。
時期については、当市のふるさと納税を支えていただいている多くの関係者の方々にしっかりとご理解いただくことも重要であると考えておりますので、ある程度のお時間は頂戴したいと申し上げています。
6日の発表では、8月までに見直さないとしている自治体を総務省が公表しましたが、泉佐野市としては「見直さない」とお伝えしているのではなく、「見直すが、一定の時間がほしい」とお伝えしています

12自治体を初の実名公表

総務省が6日に公表した資料では、返礼品について8月までに「見直す意向がない」とされた自治体のうち、受け入れ額が10億円を超えている12の市と町の実名の公表に初めて踏み切った。
泉佐野市もその中に入っている。

出典・総務省

――泉佐野市はこれからも「ふるさと納税」を拡大していくのか?

本市では、ふるさと納税が創設された平成 20 年度から寄附の受け入れを行ってきています。
財政難のために税外収入確保を目的に、重点施策として積極的に取り組んできました。
昨年度の実績は長年の取り組みの積み重ねの結果と認識しています。
したがって、基本的には定められたルールの中で、今までと変わらない努力を続けていきたいと考えています。
一方でふるさと納税をめぐる論議が活発化していることも承知しています。
創設してわずか 10 年の制度であることもあり、現状の形が必ずしもベストかどうかは分かりません。
今後、しっかりと検証し、必要な議論を通じて、あらゆる自治体が納得・共感できるような有効性の高いものに磨き上げていくことが重要であると認識しています。

今後については、当然のことながら、昨年度の実績を振り返りながら、今年度のふるさと納税事業計画もたてて進めていますが、獲得目標は定めていませんし、拡大するかどうかは寄附者の選択によるところですので、当市としてはこれからも地道に制度の普及、ふるさと納税を盛り上げていくために総務省としっかりと連携して取り組んでいきたいと考えています。

総務省によれば、ふるさと納税は「自治体と納税者の両者が共に高め合う関係」としている。
お得に地域の特産品を手に入れられることは我々納税者にとって確かに魅力的だが、“仁義なき返礼品競争”に総務省が歯止めをかけている現状の制度は、まだまだ改善の余地がありそうだ。