「少年の心を持ったおっさん」からの脱却はどうすればいい?専門家に聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 子育ての中でできること「間合いをとること」
  • 思春期世代は「思う存分、満喫すること」
  • 40、50代でもまだ大人になれる!

「あの年になって恥ずかしい…」「まるで子どもだな」上司や同僚、友人たちを見てこう思うことはないだろうか。

自分が考える大人像から外れた人に対して哀れみにも似た、何とも言えない感情を抱くことはあるし、もしかしたら自分も周囲からはそう思われているかもしれない。

では、よくいえば「少年の心を持った大人」、悪くいえば「大人になり切れないおっさん」から脱却する方法は?

また、自分の子どもを「大人になり切れない大人」にしないためには?

『「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?』(イースト・プレス)や『「若作りうつ」社会』(講談社)などの著者を持つ、精神科医の熊代 亨さんに年代別の対策を聞いた。

小学生までの子どもに親世代ができること

30代、40代ともなれば、子育て真っ最中の人も多いだろう。まずは、「大人になり切れない大人」にしないために重要なことを聞いた。

「核家族家庭が多い現代社会では、親と子どもの関係が占めるウェイトが大きいと思います。今は共働きも珍しくないので意識が子どもにだけ集中するというリスクは低いかもしれませんが、幼児期のようにいつまでも親と子どもが密着したままだと、お子さんの心理発達が子どもの頃のままとどまってしまいやすくなります。そのことを自覚して、意識的に親離れ・子離れを頭に入れておき、心の距離を調整して間合いを取っていくことが大切です」(熊代さん、以下同)

親と子どもの心理的な距離が近すぎると、「親はいつまでも親」で「子どもはいつまでも子ども」のままになってしまうという。

すると、大人になり切れずにまるで子どものような大人になってしまうというわけだ。

思春期以降の世代は「今を楽しむこと」

では、先ほどの小学生よりも少し年齢を上げて、思春期から20代までの間にできる対策を聞いていこう。

「思春期には、思う存分、思春期を満喫することが一番の対策です。というのも、『大人』というステージは、思春期のひとつ外側にあるもの。思春期を疎かにして無理に大人になろうとしてもそう簡単にはなれませんから。今しか出来ないことをやっていいと思います」

ただし、やりたいことをやる際には、注意点もあるという。

「何かをするにあたって、年上のロールモデルがいるほうがいいです。自分がやっていることの延長線上にどんな大人がいるのかをよく見て、いいところは真似をして、悪いところは反面教師として真似しないようにする。今これをすることでどんな人生になり得るかを想定しておけば、その道を歩む覚悟にもつながります」

40代・50代でもまだ変われる?

ここまでは、これから大人になる人たちの話を聞いてきたが、すでに大人になってしまった「大人になり切れていないおっさん」は、変わりたいと思ってももう手遅れなのだろうか?

ご安心を。熊代さんいわく「そんなことはありません」とのこと。

「自分ではあまり意識していないかもしれませんが、『どんなキャリアを走っていくか』とか『どんな生き方をしていくか』といったことは、自然と年上の人の生き方や悩み方を見て判断していることが多いです。

自分の『生きるロールモデル』を見つけると、『自分より年上なのによく頑張っている』とか『年を取ったら体力が落ちるんだなぁ』とか、色んなことが見えてきます」

正直、「年上のロールモデルを見つける」ということを通して、熊代さんが何を伝えたいのかがわからなかったが、話の続きを聞いて納得した。

「私は、『自分自身のことしか考えない大人』は大人ではないと考えます。ほかの世代や立場のことも見えているというのが理想の大人像だと思うのです。つまり、世代や立場が違う人に、それを踏まえて対応できる人が大人ということです。『ロールモデル』を見つけることで、その人のことを気に掛けるようになる。

また逆もしかりで、部下の姿を見て、『若いのに頑張っているなぁ』とか『俺があのくらいの時はこうだった』とか、若者の気持ちに寄り添うことができるようになります。それは、自分自身のこと以外にも目を向けられている証拠で、大人らしい大人に近づいているともいえます」

「大人になり切れない大人」を脱却するには、まず「ロールモデル」を見つけること。

そのためには、大人への第一歩は「人とコミュニケーションを取ること」、「人に興味を持つこと」も重要だ。まずは、「趣味の集まりでも、なじみの店に食べに行くのでも、ネット上でつながっている人とオフ会をするのでも、定期的に誰かと会うようにするといい」と熊代さんはアドバイスする。

「太いつながりを作ろうとしなくてもOK。細い縁でいいので、長くつながって自分以外の人の行動を見て、何か思うことがあるだけでも構いません。情報というものは、触れなければゼロですが、触れさえすればいくらでも入ってくるもの。人に会うことは、そのきっかけになりますよ。『自分だけ』の視点からだんだん視野が広がっていく。それが大人に近づく糸口です」

なかには、「ロールモデルにしたい大人がいない」という人もいるだろうが、「思春期」同様、必ずしも尊敬できる相手でなくてもいいという。少し苦手な相手でも、まずは誰かに目を向けることで「こうはなりたくない」と反面教師として自分に活かせることもあるからだ。

最後に、熊代さんは「大人になり切れない大人」について、こう話す。

「大人とは『大人になりたい』と思ってなれるものではなく、じつは心の奥で長い間準備していて、気づいたらなっているもの。まずは自分の歩んできた足跡を受け入れ、これからの道をイメージできることが大切です。また、私は、『大人になり切れない大人』が悪いとは思っていません。

実際、大人になり切れていない大人のままでも上手に生きられる人はいますから。先ほど自分以外の人にも目を向けられる人が大人と言いましたが、自分の関心だけをまっすぐに追いかけられるというのも、素晴らしいことですよね。一途に自分の成長ややりたいことを追うことができるのは、ある意味『若者の特権』。これは良くも悪くも、大人になると失われてしまうものです。自分の心にまっすぐに生きたいのなら、『大人にならない』という選択があってもいいのではないでしょうか?」

取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力=熊代 亨
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