発足1年 麻生派が狙う「安倍三選」支援の果実 【自民党総裁選】

カテゴリ:国内

  • 麻生派が発足1年。派内融和は進んでいるか 
  • 麻生副総理の“奔放”発言に党内の本音 
  • 「明るさ」を売りに目指すは安倍三選後のポスト確保か

麻生派=志公会が発足1周年

9月に行われる自民党総裁選。安倍首相は三選への支持固めにむけた地方行脚に、早くも力を入れ始めている。

そうした中、自民党内で安倍三選を支持している勢力の両輪が、麻生太郎副総理兼財務相と二階俊博幹事長だ。

その麻生副総理が率いる派閥、麻生派=正式名称「志公会(しこうかい)」が7月3日、発足1年の記念日を迎えた。

去年7月、麻生派は山東派・佐藤氏のグループと合流

一瞬、麻生派の歴史がわずか1年?という気がするが、実は麻生派は元々「為公会」という名称で2006年に、先輩の派閥(河野派)を引き継ぐ形で発足した。

その麻生派「為公会」は去年7月、さらに勢力を拡大し発言力を強めるため、かつて三木・海部両総理を輩出し、当時山東昭子元参院副議長が会長を務めていた山東派と、佐藤勉元総務相らのグループの2派と合流。

新たな麻生派となる「志公会」を立ち上げたという経緯がある。

「志公会」旧3派の融和と結束

3つの派が合流した結果、所属する議員は衆参合わせて59人に膨れ上がり、党内で2番目の規模を誇るまでに成長した。

「志公会」という名前の由来について、麻生会長は発足の際に「志のあり方は、どの方向に持つかは個々人の話だが、公・パブリックをきちんと腹に収めてやってもらいたいという思いもあり志公会と名前をさせて頂いた」と述べている。

その後、結成1周年の派閥総会の席で麻生会長は、合流した3つのグループの「志のあり方」に違いがあることを認めつつ、次のように述べた。

「それぞれ育ってきた派閥の正義等々から色々違いがあって当たり前の話なんで。それをいかに融和していくかというのは、各派の事務総長をやっておられた方々はじめ努力をしていただいた結果、少なくとも色んなものが出来上がりつつある」

 麻生氏が強調した融和による結束の固さは派閥としての強みと言える。

一方、不安定な要素として常に注目をあびるのは麻生氏自身の“奔放”発言だ。

物議を醸す麻生大臣の奔放発言

6月の新潟での講演でも奔放発言を連発

6月24日の講演では、去年の衆議院選挙で自民党が大勝したことを振り返り「10代、20代、30代前半は一番新聞を読まない世代です。新聞読まない人たちは全部自民党(支持)だ」と発言。さらに新聞社をこきおろした。

「新聞社いっぱいいるけど、頭に入れておいた方がいいよ、本当。新聞読まない人たちは全部自民党なんだ。新聞とるのに協力なんかしないほうがいい。新聞販売店の人に悪いけども、つくづくそう思いましたよ」

さらに別の日には「朝鮮事変が始まったとき朝鮮で戦争がはじまったと書いた新聞はひとつもなかった。新聞なんかその程度だと思ったほうがいい」と述べるなど、探せばキリがないほどの不用意発言を繰り返している。

野党からの批判はもちろんのこと、自民党内からも「麻生さんが話せば話すほど安倍政権の支持率が下がるから黙ってて欲しい」「麻生さんを知っている人は麻生節で良いとか言うけど、世論からしてみたらただの失礼な人にしか見えてない」と不快感を示す声が出ている。

しかし、麻生派内では「あれは失言じゃなくて麻生節だからね」「切りとられて報道されちゃうだけ」と擁護する声が大勢だ。

常に自分の思いのままを発言し、時に笑いを誘う麻生氏。7月5日の総会でも、麻生派の特徴をこう語り、笑いを誘った。

「このムラ(派閥)のいいところは明るいところだと思っています。他のところ悪く言うつもりはありませんが、少なくとも、このムラは優秀な方がいるかどうかは別として(場内笑い)、明るいというのは、いいことだと私はそう思っております」

総裁選をめぐって「暗いやつ」呼ばわりも

このように明るさが派閥の特徴だと話す麻生副総理。焦点の総裁選をめぐっても暗い人はあまり好みではないようだ。

5月には、2012年の総裁選を振り返ってのトンデモ発言もとびだした。

「暗いやつを選ぶか、あまり頭の良くないやつを選ぶか、だったらお腹の悪いやつを選ぶのは一番いい」

念頭にあるのは石破茂氏、石原伸晃氏、安倍首相とみられ、明るさを自称する麻生氏が、安倍首相の最大のライバルとみられる石破氏を「暗いやつ」と例え、笑いを誘った形だ。

結束して支える安倍三選の先にあるのは…

では麻生派は、一糸乱れずに、安倍首相三選を支持できるのか。

新たに麻生派に合流したある議員に、他派閥との関係について聞いてみると「もし他派閥と飲んでも言うことは一つ。『安倍三選支持をお願いします』この一点だけですよ」と、派閥一丸となって安倍首相を支える自信を強調していた。

麻生派が一丸となって支える安倍三選、その先に見ているものは何か。

それは総裁選後の要職の確保という課題だ。

森友問題など財務省の不祥事により、与党内からも辞任論の出ている麻生氏の続投や、派閥幹部である甘利元経済再生相の要職への復帰、さらにいわゆる入閣待機組の大臣起用などを勝ち取ることが焦点だ。

そのためには安倍三選を支え派閥としての存在意義をアピールする必要がある。

特に大臣起用をめぐっては、前回の組閣では、元々の麻生派に所属していた古株のみが入閣したため、外からの合流組議員から『合併した意味が全くない』という不満の声が漏れた経緯がある。

今回の総裁選後の人事で、一層派内の融和を進められるのかも注目されている。

安倍三選に向けた麻生派の動きは、総裁選そしてその後の組閣に向けて、今後さらに活発になるとみられる。

(政治部 官邸・与党担当 杉山和希)

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