保育士試験が台風で中止…“再試験なし・返金なし”に200人の受験者「何とかして!」

カテゴリ:国内

  • 沖縄で実施予定だった保育士試験が、台風7号の影響で中止
  • “再試験なし・返金なし”に受験予定者「納得できません」
  • 沖縄県庁から要請を受け、再試験の有無について改めて協議中

関東甲信地方は、統計開始以来もっとも早い6月中の梅雨明けを発表し、連日うだるような猛暑日が続いているが、そんな中、四国・九州地方で猛烈な雨を降らせた台風7号の余波が、思わぬところで生じていた。
(台風7号は、4日15時に温帯低気圧になった。)

沖縄・那覇市内で7月1日に実施予定だった2018年度前期の保育士実技試験が、「台風7号の影響により中止」と試験2日前の6月29日に発表されたのだ。
再試験はなく、約200人の受験予定者は、半年後の12月に行われる後期試験を受けるしかないという。

全国保育士養成協議会HPより

保育士試験を実施する全国保育士養成協議会のホームページには、確かに「自然災害等により試験が中止となった場合、再試験は行いません。」と記載されている。

さらに、試験を受けるための「手数料1万2700円の返金もない」ことに加えて「他県での受験はできない」との発表に、SNS上では実際に試験を受ける予定だった当事者や、人手不足が嘆かれる保育士業界の人たちなどから「何とかして」との訴えが相次いだ。

受験予定者が嘆きの声



H30前期保育士実技試験が沖縄県のみ台風の影響で『中止』となりました。後期試験は半年後。今までの努力、時間はどこにぶつけたらいいの?地震の際は他県で受験受け入れなど対応あったらしい。なぜ台風は対応してくれないの?『中止』→『再試験』の流れになってほしい。
【再試希望@保育士試験(台風で中止)さんのツイッターより】

実際に受験予定だった「再試希望」さんは、試験当日に「めっちゃ晴れてる…。保育士試験できたんじゃない?」とツイートしており、難なく試験会場に到着できたことを報告している。
急きょ、受けられることになっても対応できるように、受験票も持って行ったそうだが、発表の通り、試験が行われることはなかった。

同じく、保育士実技試験を受験する予定だった「ゆいまる」さんも悔しさを吐露してくれた。

「正直早すぎる決定だと思った。台風が進路を変えることはよくあること。ここ数年、暴風域に入ったとしても公共交通機関は動いていることもよくあり、そうなれば職場は通常通りの勤務になるし、保育園だって開園する。暴風域に入る予定だけで、しかも2日前の決定は納得できません

あくまで結果論に過ぎないが、試験予定日当日は晴れ間が見えており、問題なく外出できるレベルだったそうだ。試験実施予定時間は8時45分からだったが、沖縄都市モノレールは18時まで、沖縄バスは19時まで運行していたとのこと。

こうした受験予定者からの嘆きの声の一方で、6月29日に保育士養成協議会ホームページに掲載されていた、「沖縄保育士試験の中止が決定致しました」というお知らせが消されていた。(4日現在)

2014年度の筆記試験の時にも台風の影響を受けて、その際は延期対応の形をとったということだが、今回も再試験などの対応がとられる可能性が出てきたということなのか。
保育士養成協議会に問い合わせてみた。

沖縄県庁から中止要請

ーー7月1日に実施予定だった、沖縄保育士試験が中止となった理由は?

今回、発生した台風7号によって、受験者の身の回りの安全確認が懸念されたためです。
保育士の試験は47都道府県それぞれで実施されていますが、私共はあくまで試験を請け負っている立場です。

今回のように、台風の影響で受験者の安全を脅かされるような事態が予想された場合は、まず県庁に報告するのが通例ですので、私共としては金曜日(6月29日)の午後時点で、沖縄県庁に台風の危険性等を報告しました。そして、沖縄県庁から「中止してほしい」との連絡を受けまして、中止を発表させて頂きました。


ーー2014年度の筆記試験では、台風の影響により延期対応の形をとったとのことだが、今回の試験で延期や再試験などの対応を行わないのはなぜ?

2015年度までは、保育士試験は年に1回だったんですが、2016年度から年に2回実施する方針に切り替わりました。年に1回の実施をしていた2014年度当時は、万が一の事に備え、試験の予備問題を作成していました。

なので、中止した際には、その予備問題を使用しまして、再試験を執り行っていたのですが、2016年度から年2回になり予備問題を作成する余裕がなくなってしまいました。計4回分の問題を作成することになってしまいますからね。作問を担当してくださる先生も、専属でつけているわけではないので。

ーー受験手数料1万2700円の返金ができないのはなぜ?

こちらはですね、個人的な意見を申しますと、返金してあげたいのが大前提なんです。
ですが、先程も申し上げました通り、テストの作問であったり、テスト会場の予約など、中止に至るまでにも既に運営費としてコストがかかってしまっているんです。こちらとしましても、中止は本意ではありません。ただ、そういった経費としまして、手数料条例で決定しております。

現在、再試験を実施するか協議中

ーーホームページに掲載されていた「中止」のお知らせが消されているが?

最初に申し上げましたが、試験を運営しているのは県庁です。その県庁から、どうにか再試験をできないかとの連絡がきまして、現在、協議を行っています。年2回に試験が増えたことで、年間のスケジュールは細かく調整されておりますし、実質、既に後期試験の準備が進められています。

そうした中での、今回の県庁からの要請ですので、早いうちに再試験の有無について結論を出しませんと、後期試験のスケジュールにも影響が及びかねません。ですので、早急に結論をまとめまして、発表させて頂きます。「中止が決まった」とのお知らせを掲載させたままですと、誤解を与えかねないと考え、発表文を落とさせて頂きました。

ーーネット上で「何とかして」との声が多数寄せられているが、「何とかなる」可能性は?

「何とかなる」と言い切ることは厳しいですが、現在協議中です。今しばらくお待ちくださいますよう、お願い致します。

ーー前期の筆記試験合格者も、後期の筆記試験を受けなければならない?また、1万2700円も再び支払わなければいけない?

筆記試験は、合格した際に3年間の免除がつくことになっております。ですので、前期の筆記試験を受験されて合格し、実技を受けようとされていた方は、後期の筆記試験を受ける必要はございません。
また、今年より以前に合格されていた方々も、3年以内であれば実技試験のみの受験が可能です。
手数料につきましては、申し訳ありませんが、お支払いください。先ほどの質問でもお答えした通り、試験前から運営費が動いているため、ご理解いただけると幸いです。

試験実施側の事情もわかるが、受験予定者の次の試験の機会が半年後というのは酷。
早急に結論を出すとのことだが、慢性的な人手不足が続く保育士業界にとって賢明な判断となることを望みたい。


(追記)
7月5日、再試験を実施することが保育士養成協議会から発表された。
再試験の日程は1か月後の8月5日で、会場は調整中とのこと。
受験予定者205人には、全国保育士養成協議会が、個別に電話で連絡をとるという。

 取材を受けてくれた「再試希望」さんも、Twitterで喜びの声をあげた。

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