業界初「故人の形見に“DNA”」将来できるかもしれないこと

FNN.jp編集部
カテゴリ:国内

  • 故人のDNAを「形見」にする初めてのサービスが開始
  • 摂取したDNAは半永久的に保存可能
  • 現時点では「将来どう使いたいか」が大事

家族や大切な友人の形見に、あなたは何をとっておきたいですか。

一般的には故人が愛用していた“モノ”が多いと思われるが、7月1日、仏事関連サービスを手掛けるメモリアルアートの大野屋が「故人のDNAを形見として残す」サービスを開始した。
DNAという形のない「形見」を残すという葬祭事業では日本初の試みだという。

鑑定書と写真が飾れるフォトスタンド

この「DNAパーソナルサービス」は故人の口の中の粘膜からDNAを採取し、約2週間で鑑定。
情報が記載された鑑定書と、DNAが保存された「FTAカード」が入ったフォトスタンドが届く、というサービス。鑑定書のフォトスタンドは故人の写真も飾れるタイプや、別の形見が一緒に入れられるボックスタイプなどが選べる。
価格は鑑定証のみ保管する「メモリアルフォトスタンド」で7万8000円(税別)だという。

なぜ、葬祭事業では日本初となるこのようなサービスを開始したのか?DNAを残すことで何ができるのか?メモリアルアートの大野屋に聞いてみた。


“故人の姿を再現したホログラム”を作れるかも

――なぜDNA保存サービスを?

もともと、形見としては「遺骨を入れて身につけるタイプのペンダント」などをご提供していました。
特にお客様から「DNAを形見にしたい」といったご要望があったわけではありませんが、ペンダントなどと同じように、"命の設計図"とも呼ばれる「DNAそのもの」を形見として残したい、という考えがありました。


――DNAを保存することでどんなことができる?

このサービスの出発点は「形見として故人のDNAをお手元に遺し供養していただくこと」だったので、DNAの利用を見据えたものではありませんでしたが、たとえば将来的に、故人の姿を再現したホログラムを作ったり、声を再現することで亡くなった方に「会う」という体験ができたり、小さいお子様が亡くなった場合、DNAから大人になった姿をシミュレートすることなどができるようになったり、ということが考えられます。


――申し込みはいつできる?

生前からお申込みいただけます。
現段階では葬儀プランと併せてのご案内になりますが、将来的には「DNAパーソナルサービス」の独立したご案内も考えております。


DNA鑑定は、体質や病気だけの検査に使われる方法ではなく、犯罪捜査や血縁鑑定にも使われる、個人の識別が可能な方法を使っているという。
つまり、断片的な情報ではなく、故人の存在をまるごと保存してくれるサービスなのだ。

また、採取したDNAを保存する「FTAカード」とは、生の細胞そのものを閉じ込められる、ろ紙のカードのこと。
これを使うことにより、現在の研究では半永久的にDNAを保存しておくことが可能だという。

鑑定結果が書かれた鑑定書。これにFTAカードが貼られる

常温で保存が可能なため、自宅に置いておけるものの、カード自体が燃えてしまったりと修復ができなくなってしまうこともある。
そういったことが心配な方には、オプションでより確実にデータを残せる「DNAバンクサービス(年間保管料9,800円、更新制)」の提供もあるという。

「将来どう使いたいか」が大事

DNAの鑑定は、個人識別鑑定ができる国内最大級の民間鑑定機関「法科学鑑定研究所」の国内ラボで一貫して行われる。

法科学鑑定研究所にもお話を伺ったところ、DNAの研究はまだ未完成な部分が多く、これから研究が進むことが期待されている分野で、保存したDNAの活用方法として、今何ができるか、というよりも、「将来どう使いたいか」という点が大事だという。

さらに、故人のホログラムや声の再現に加え、人工知能との組み合わせでよりリアルな「会う」体験も期待できるのではないか、という話もあった。
なんともSFチックな話だが、近い将来、亡くなった誰かとバーチャルに再会できるかもしれないというのは、夢のある話だ。

そして実用的な例としては、たとえば自分の孫が病気の家系・遺伝リスクを調べようとした時、親世代のDNA情報だけでなく、祖父母の代のDNAが形見として保存されていれば、より詳しい情報が得られるという。

未来の子供たちを守るひとつの方法になる、ということで自分でDNAを残すのもロマンかもしれない。
いろいろ想像は膨らむが、今は技術的に無理でも「将来どう使いたいか」を考えて利用するサービスのようだ。