「ブロック塀」の悲劇が突き動かした被災地訪問【リアル首相動静】

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震度6弱に首相の初動は?

6月18日午前7時58分、大阪北部を震源とする最大震度6弱の地震が起きました。

首相官邸では、直ちに官邸対策室を設置し、情報収集にあたりました。

こうした災害が起きた場合、首相や官房長官が緊急に官邸に駆けつけるかどうかが、政府が被害の大きさをどう見ているかの1つのバロメーターにもなります。

今回の地震でも、9時ごろに予定されていた安倍首相の官邸入りが早まるのではないかという話も一時ありました。

ただ、緊急に官邸入りするほどの被害が出ていないと判断されたためか、当初の時間通りの出邸となりました。

ちょうど地震発生から1時間後の8時58分に官邸に入った安倍首相は、険しい表情で記者団の取材に応じ、「人命第一、この基本方針で政府一丸となって臨んで対応しております」と答え、足早に自らの部屋へと入っていきました。

夕方には、関係閣僚会議が行われ、安倍首相は「大切なのは先手、先手で対応すること」と述べ、対応に全力を挙げるよう改めて指示しました。

突然決まった被災地訪問

安倍首相の対応で次に注目されたのは、被災地を訪問するかどうかです。

発生翌日の19日には、現地には行かないとの見方が有力でした。

その理由は、復旧に全力を挙げるべき関係機関が首相の視察への対応に追われ、活動に支障をきたす恐れがあるからです。

また、今回はライフラインも徐々に復旧していて、避難所も数日で閉じられるとの見通しもありました。

しかし、事態が動いたのは、発生2日後の20日夕方でした。

安倍首相が翌21日に大阪の被災地を訪問するということが、突然発表されたのです。

なぜ、被災地に行くという決断に傾いたのでしょうか。

背景にあるのは、ブロック塀の下敷きとなった9歳女児の命が失われたことです。

しかも、そのブロック塀は、安全と思われていた小学校の塀でした。

この悲劇に対する世間の反響は大きく、安倍首相も看過できなくなり、早期に視察すべきだとの判断に至ったということです。

また、今回の地震での帰宅困難者への対応など、今後、首都圏で地震が起きた際に備えて、現地を視察すべきだという事情もありました。

地震発生3日後の現地入りというのは、現場に混乱をきたす恐れもある微妙なタイミングですが、逆に遅すぎても対応が後手に回ったと批判を受ける恐れもある中で、そのバランスを考慮した末の首相の最終決断でした。

安倍首相の被災地視察で思わぬハプニングも

21日、安倍首相は、大阪府を訪問しました。

最初に訪れたのは、自衛隊による入浴施設が作られた、茨木市内の公園です。

平日の昼間にも関わらず、多くの人が入浴に訪れていました。突然の安倍首相の訪問に被災者の人も驚いていました。

首相は、「ゆっくりしていってください」などと声をかけ、写真撮影にも笑顔で応じていました。

そして、女児がブロック塀の下敷きとなった高槻市の小学校では、校門前に設置された献花台に花を手向け、女児が亡くなった現場で黙とうをささげました。

終始険しい表情を浮かべていた安倍首相は、地元の職員からの説明に神妙な面持ちで耳を傾けていました。

その後、避難所となっている場所に向かう途中にちょっとしたハプニングがありました。

安倍首相の乗ったバスが渋滞にはまり、動かなくなってしまったのです。

実は、急きょ決めたこの視察は、予定がびっしり詰まった強行日程になっていて、しかも夕方には東京に戻り、アメリカ軍の司令官の表敬を受けることになっていました。

渋滞にはまったままだと、こうした首相の日程に狂いが生じてしまう恐れが…。

そこで、切り札が発動されました。

安倍首相の前後を走るSPを乗せた車が、突如サイレンを鳴らし緊急走行を始めたのです。

その先導により安倍首相の乗ったバスも、対向車線を走る車を止めて、道路を疾走しました。

その後、大阪府の松井知事らと意見交換を行った安倍首相は記者団の取材に対し、「全国のブロック塀の緊急点検を行い学校の安全を確保したい」と述べた上で、政府として復旧に全力を上げる姿勢を表明し、帰京しました。

W杯で日本が劇的勝利!安倍首相も大興奮!?

森友・加計疑惑による支持率の低下も一服し、安倍首相にとって政権運営の危機を脱したようにも見える中、世の中の空気が変わる大イベントが始まりました。

4年に一度のサッカーの祭典W杯の開幕、そして日本代表の快進撃です。

安倍首相もここは勿論日本代表応援モード。

歴史的勝利を挙げたコロンビア戦前日には、日本代表のユニフォームを着て、応援メッセージを送る動画をインスタグラムに投稿しました。

首相官邸インスタグラムより

その日は、早めに公邸に帰宅し、テレビで試合を観戦したということです。

さらに、勝利の翌日には集会でのあいさつで、「この中で何人が日本が勝つと思っていただろうか」と試合に触れて会場の笑いを誘うと、「諦めずに可能性を信じて鍛錬を重ねたことが勝利につながった」と日本代表をたたえました。

秋には総裁選という絶対に負けられない戦いを控える安倍首相。

三選という歴史的な勝利を上げられるのでしょうか。

(政治部 首相番記者 梅田雄一郎)



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