トランプ・ツイートで分かる「貿易戦争は我慢比べ」

カテゴリ:話題

  • “トランプ企業”ハーレーダビッドソンの不甲斐なさに怒!
  • ゲーム・プランは米企業が戦列を乱さず耐えること
  • “我慢比べ”と分かればEUも中国も簡単には退かない

貿易戦争のゲーム・プランが垣間見える

ハーレーダビッドソンがヨーロッパ向けのバイクの生産をアメリカ国外に移すと発表した。
この決定に対するランプ大統領のツイートから、大統領が考える貿易戦争のゲーム・プランが垣間見えて面白い。



ツイートで曰く;
事もあろうにハーレーダビッドソンが最初に白旗を掲げるアメリカ企業になるなんてびっくりだ。
私は彼らのために激しく戦った。最終的に彼らはEUへの輸出で関税を払わなくて済むようになるのに。
奴らは貿易で我々を手ひどく痛めつけてきた。1510億ドルの赤字だぞ。
税金なんてハーレー一社の言い訳に過ぎない。耐えろ!

ハーレーダビッドソンの不甲斐なさに怒!

まず、ハーレーダビッドソンの不甲斐なさに対する驚きと不満だ。
トランプ大統領は就任直後の去年2月2日、ホワイトハウスでハーレーダビッドソン社の幹部と会い、「ハーレーはアメリカの象徴だ」と称賛。サウスローンにハーレーのバイクを並べご満悦な様子で写真に納まっていた。
『バイ・アメリカン、ハイア・アメリカン』政策を体現するトランプ企業のはずなのに‥
と苦々しい思いだったに違いない。

次に、大統領の貿易戦争に対する考え方だ。
目標は関税ゼロを実現すること。貿易障壁をなくすこと。追加関税や報復関税はそのための手段でありプロセスだ。
関税ゼロが実現可能かどうかは別として、アメリカの巨額貿易赤字に対する不満、怒り、削減への強いこだわりを感じる。今回は対EUでのツイートだが、大統領の考え方や心情は対中国でもNAFTAでも対日本でも同じだろう。

“我慢比べ”と分かればEUも中国も簡単には退かない

そして、この戦はアメリカ企業が戦列を乱すことなく一丸とならなければならない“我慢比べ”なのに、ハーレーが自社都合でいち早く脱落したことへの怒りだ。ツイート最後の「耐えろ!」は、ハーレーに向けられていると同時に、その他のアメリカ企業に対するけん制でもある。

“我慢比べ”は短期の業績を考えざるを得ない企業にとってはなかなか厳しいが、ディール・メーカーを自認する大統領のメッセージは、「EUや中国との戦いは俺が指揮をとって必ず勝つ。だからお前らは俺の言うことを聞け」ということだ。

しかし、今回のハーレーダビッドソンの裏切り行為とトランプ・ツイートで、図らずも「貿易戦争は我慢比べ」ということが確認できてしまった。トランプ側がそのつもりなら、EUも中国もそうそう簡単に白旗を揚げたりしない。

アメリカの多方面貿易戦争が短期間で終戦を迎えることは難しそうだ。

(執筆:フジテレビ 風間晋 解説委員)

トランプの頭の中の他の記事