日本のコメンテーターは好感度を大事にしすぎ? パックンの“情報発信術”

メディアの未来を考える

カテゴリ:暮らし

  • 答えにくい質問をさわやかに答えさせる術を心がけている。
  • 「日本の新聞」と「海外のテレビ」から、独特な方法で情報収集をしている。
  • 日本メディアは「好感度」を大事にしすぎる傾向がある。

4月にスタートした日曜朝の報道番組『報道プライムサンデー』にレギュラー出演中のパックンことパトリック・ハーランさん。ファシリテーターとして、政治や経済、スポーツ、文化など、あらゆるジャンルのニュースに的確なコメントをしている。
日米のメディア事情にも詳しいパックンはいかにして情報取得をしているのか?番組で気を付けていることなどについても話を聞いた。

日によって読む新聞を変えている

――プライムサンデーにレギュラー出演するようになって、面白いと感じている点は何ですか?

佐々木(恭子)さんの進行とボクの茶々が今のところ絶妙で楽しいですね。毎回毎回、終わって必ず言うことは「もの足りないな、もっとやりたいな」ということです。日曜の朝、さわやかで楽しいけど、ちょっと一週間じっくり考えたくなるような話題の提供が毎回できるといいなと思っています。
 

――気を付けていることは?

ゲストがちょっと答えにくい質問でもさわやかに答えさせる芸風というか、ファシリテーター術を目指しています。毎回番組が終わったあと、控え室のコーヒータームがあって、もっとざっくばらんに話しているんです。ボクらもゲストの皆さんもコメントの振れ幅がもう少し広くなっているし、できたらああいう雰囲気をスタジオに持ち込みたいなと毎回思います。
 

――控え室の様子を私も見ましたが、番組の内容をさらに掘り下げたトークが展開されていましたね。
 
もちろん放送されていないから内容も尺も制限がないというのは大きいんですが、そういう方向性を保って放送もできるといいなと思っています。

――どんなジャンルでも答えられるのはさすがだなと思っています。普段、情報収集はどういうところでしているんですか?
 
独自の感性をもちつつ、日本の皆さんの感覚もわかった上で話したいので、日本のテレビと海外のテレビを両方見るようにしています。日本の新聞は、日によって読む新聞を変えている。朝日だったり、毎日だったり、産経だったり、読売だったり、少しずつ新聞を変えて、その新聞の社説とか読んで、その色合いを把握したうえで物事を考えるように心がけているんですね。


――いつも変えるんですか?
 
そう。いま定期購読していないです。コンビニに行って、興味ある見出しとかの中から、きのう手に取らなかった新聞を手に取る。きょうは毎日でした。日によっては職場で、タダでもらえますし!

日本のコメンテーターは「好感度」を結構大事にする

――海外のテレビは何を見ているんですか?
 
アメリカだったらFOXテレビを見たり、MSNBCも見たり、左右両極端のなるべく幅広い意見を取り入れようとしているんです。これを長年続けているおかげで、新しく出てくるニュースに対して、内容だけを知っておけば、おそらく左だとか右のとらえ方はこうだろうとわかる。で、自分の意見もどのあたりに入るなというのが大体わかるんですね。


――それをコメントに生かすんですね。
 

「これに対する日本人の一般的な感覚はおそらくこのあたりになる」ということが見えるから、何かそれについて番組などでコメントすることになりますと、日本の感覚のギリのところを狙うんです。その感覚を使って、新しく考えさせるような材料をとりあげて、なるべく議論の幅を広げようと頑張っています。

――コメントは極端すぎないようにしているんですか?

極端すぎると、日本人はとりあえずみんな引くんです。日本の価値観を理解したうえで、これも考えていいんじゃないかという材料を提供するのがボクの仕事です。


――アメリカと日本のメディアの特性、違いはありますか?
 
日本のコメンテーター、メディアのプロは「好感度」を結構大事にするんですね。極端すぎるコメントはとりあえず控える。それに対して、アメリカは極端な発言から議論をスタートさせる。あれもちょっと過激すぎるので、日本とアメリカの間くらいがちょうどいいかもね。信頼できる、でも一般論からはちょっと離れたところ。右と左の両方、もしくは上下みたいに右左の幅以外のものがあるはずなんですけど、一般論からもう少し離れた声をもっと日本にも導入すべきだと思うんですよ。


――アメリカのように極端になりすぎるのも問題ですね。
 
アメリカがもっと日本に見習ってほしいのは、発言に責任を取らないといけない。フェイクニュースだったら翌日に謝る。日本のメディアのように穏やかにやるのももっと大事だと思います。アメリカは怒鳴り合い、罵り合いになったりする番組も多くて、楽しいけど、見ていて嫌になっちゃう。日本のような穏やかさは大事です。

【プロフィール】
1970年 米コロラド州出身。お笑い芸人・東工大非常勤講師・ナレーターなど多彩な顔を持つ。2018年4月から『報道プライムサンデー』(フジテレビ系列・日曜朝7:30-8:25)にレギュラー出演中。スタジオ討論のファシリテーターとして番組を盛り上げる。2018年6月29日から、WASEDA NEO「動かす」ラボの講師として「ビジョンを示して人を動かすコツ」を伝授する。

「動かす」ラボ ~グローバルリーダーから学ぶプレゼン力~
講師:パトリック・ハーランさん(全5回)
https://wasedaneo.jp/waseda/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=124831