“違法民泊”の実態を取材…新法施行でどう変わる?一部ルールに「厳しすぎ」の声

プライムニュース イブニング
カテゴリ:国内

  • マンション玄関に20個以上のキーボックス…なぜ?
  • 部屋は宿泊予約サイトに掲載 “違法民泊”運営者を直撃
  • 厳しすぎ?「家主の不在は1時間以内」新ルールに指摘

排水管に大量にぶら下がったキーボックス!!

6月15日から新法が施行される「民泊」。その背景にあるのは、違法な民泊の実態だった。 

東京・新宿区。都内有数の繁華街・歌舞伎町にほど近い閑静な住宅街にある一見普通のマンション。
ここに、キャリーバックを引く外国人が頻繁に出入りしている。
さらに、マンションの玄関脇の排水管には、ダイアルでロックされた大量のキーボックスが取り付けられている。
これは一体何なのか?

6月5日、周辺を取材すると、旅行者がスマートフォンを見ながらキーボックスを操作する場面に遭遇した。

開いたキーボックスの中から、部屋のものと思われる鍵を取り出したシンガポールからの観光客に話を聞いた。
「妻が今回、初めて調べて予約してくれた。子供がディズニーランドに行きたがっていて」

一般の住宅などで有料の宿泊サービスを提供する「民泊」の利用者だという。

その後も、部屋の利用者とみられる人が、マンションの玄関付近に設置されたキーボックスを操作する姿がみられた。
利用者の携帯には、チェックイン方法として、キーボックスの開け方やパスコードが送られていた。

この物件は、「エアビーアンドビー」や民泊を予約できるサイト「ブッキングドットコム」に掲載されていた。
電子レンジや冷蔵庫が付いたキッチンや、2段ベッドが3つ設置されたこのマンション室内の写真が複数掲載され、値段は、1部屋当たり6500円だった。

管理規則違反では?“運営者”の女性を直撃

観光拠点に利用する外国人も多いようだが、エントランスの張り紙には、民泊についてこのように書かれていた。

民泊運営の件について
(略)当マンションにて民泊を運営することは、管理組合、弊社ともに一切容認しておらず、明確な管理規約違反となります。

なんと、無許可の“違法民泊”の可能性があるのだ。

キーボックスの数は、少なくとも20個以上。
なかには、撤去されることを警戒してか、自転車のフレームに設置されたものもあった。

近隣住民から困惑の声があがるなか、無許可と知らずに利用した外国人観光客に話を聞くと、「(違法民泊だと)知らなかった。いやですね」と答えてくれた。
取材班は、外国人観光客が宿泊費を渡したという女性に直撃インタビューを試みた。

――ここで部屋の貸し出しをしているのですか?

いいえ、違いますよ。

――でも、予約サイトに掲載されていますよね?

いいえ、違います。

「管理規約で民泊は禁止されていますが?」という問いかけには、無言のまま自転車で走り去ってしまった。


ブッキングドットコムに確認すると、「届け出番号が確認できなかった」として、今後予約をできなくする措置を取ったことを明らかにした。
また、この物件の多くの宿泊客が利用していたエアビーアンドビーは、「個別案件は答えられない」とコメント。
しかし、届け出番号がない物件について、6月15日(金)~19日(火)の予約を取り消し、違法民泊は、順次掲載を削除している。

家主の不在は1時間以内…「厳しすぎる」の声

これまで法令上、明確な定義がなかった民泊。
現在の法律では、一般住宅などに有料で宿泊させる場合、旅館業法の許可などを得る必要がある。

しかし、各地でいわゆる“ヤミ民泊”が深刻化。
これを排除すべく、15日から新たに施行されるのが“民泊新法”だ。

新法では、自治体への届け出提出義務などの複数のルールが定められ、これにより、グレーゾーンの解消、健全な民泊の普及が期待されている
その主なルールは、次の4点。

(1)届け出が必要(無届け営業は100万円以下の罰金)
(2)営業は年間180日まで
(3)標識の掲示
(4)本人確認・宿泊者名簿の作成


一方で、「規制が厳しすぎる」という声もあがっている。
それは、家主がいる住宅の場合のルールで、「利用者が宿泊している時は、家主の不在は1時間以内(原則)」というもの。

例えば、家主として登録しているのが夫の場合、妻と子供は登録者ではないため自由に行動できるが、夫が家を不在にできるのは1時間以内。
さすがにこれは厳しいのではないかと言われている。

さらに、民泊というと、これまでに何度も指摘されてきた問題がある。
宿泊者のマナーの悪さと、犯罪の温床になる可能性だ。

13日には、高齢者を狙った特殊詐欺グループが摘発され、男3人が逮捕されたが、その活動拠点となっていたのが、大阪市内の民泊だったのだ。

こうしたことを踏まえ、「もし自分の住んでいる部屋の隣が民泊をはじめたら」と考えると、不安に感じる人も多いだろう。
民泊をやめてもらうことはできるのか?

弁護士ドットコムの田上嘉一弁護士に聞くと、「マンションの管理規則に『民泊禁止』と明記されている場合は、民泊の停止ができる可能性がある。しかし、一軒家やマンションのオーナーが民泊を始めた場合は、隣に住む人がやめさせることは困難」だという。

 2020年に向けて、日本を訪れる外国人観光客の増加が見込まれ、民泊は少ない宿泊施設の受け皿として期待されている。
その一方で、徹底したルール作りが必要とされている。

(「プライムニュース イブニング」6月14日放送分より)


プライムニュース イブニングの他の記事