「愛情がズレただけ?」DV防止ポスターに込めた思いを聞いた

FNN.jp編集部
地域

  • 福岡県が制作したDV防止啓発ポスターが広告賞を受賞
  • こだわったのは赤く塗られた部分の位置で印象を変えること
  • 「愛情がズレて暴力になるわけではない」と伝えたかった

昨年1年間に全国の警察に寄せられたドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数が7万2455件となり、最多を更新した。

こうした中、「シンプルなのに胸に刺さる」などと昨年ネット上で話題になった、福岡県のDV防止啓発ポスターが6月6日、福岡広告協会賞のポスターL部門で銀賞に選ばれた。

ポスターには、2つの顔のイラストが描かれていて、1つは、ほおの部分が赤く塗られ、微笑んでいるように見える顔。
もう1つは、赤く塗られた部分がズレ、目と口が赤く塗られ、暴力を受けた後のように見える顔。

この2つの顔のイラストには「愛情がズレただけ?いいえ、それは暴力です」というメッセージが添えられている。

ネット上で話題になり、広告の賞も獲ったポスターにはどのような思いが込められているのか?
「福岡県」男女共同参画推進課の担当者に話を聞いた。

「女性に対する暴力をなくす運動」の一環

――このポスターが制作された経緯は?

福岡県では毎年11月、「女性に対する暴力をなくす運動」の期間に合わせて、DV防止の啓発活動を行っています。
DV防止の啓発ポスターも毎年、制作していて、駅や商業施設などに掲示してきました。

――今回、賞を獲ったポスターのデザインはどのようにして決まったの?

公募し、提案していただいたものの中から選びました。

男性にも女性にも、大人にも子どもにも見える

――このデザインを選んだ理由は?

DVは性別や年齢にかかわらず被害を受ける場合があるのですが、年齢や性別を特定せず、男性にも女性にも、大人にも子どもにも見える、というのがまず1つの理由です。

もう1つは、今まではかわいらしいデザインが多かったのですが、今回はこれまでと違い、シンプルで伝えたいことが伝わり、インパクトがあったこと。

こうした理由から、このデザインを選びました。


――デザインを担当した広告会社から何かこだわりを聞いている?

見る人によっていろんな捉え方ができるように工夫し、赤く塗られた部分の位置を変えるだけで大きく印象を変えることにこだわった、と聞いています。

愛情がズレて暴力になるわけではない

――「愛情がズレただけ?いいえ、それは暴力です」という印象的な文言はどうやって決まった?

広告会社の方に提案されたのは「愛情がズレて、暴力になったら」だったのですが、女性支援の専門家の方の意見を聞いて、文言を少し変えました。

DV被害者の中には、DVを受けることを愛情と捉える人もいるのですが、そうではなく、「暴力は暴力であり、愛情ではない」と伝えたいと思い、「愛情がズレただけ?いいえ、それは暴力です」という文言にしました。

――ポスターに表記されているDVの相談窓口は「女性」「男性」「LGBT」に分かれている。これはなぜ?

男性からのDV相談が増えているという実態を受け、2016年に「男性」の相談窓口と「LGBT」の相談窓口を設置しました。

――最後に、このポスターを通して伝えたかったことは?

DVの被害は深刻なので、まずはDVに関する正しい知識を知ってもらいたい、という思いがあります。

また、自分がDVを受けていることに気づいた人がどこに相談すればいいのか、それを伝えたいという思いが込められています。